2026年4月30日
社会資本研究所
南 洋史郎
2050年に大都市の中心は未来化し地方都市は繫栄か衰退の二極化に選別される
トランプ政権によるイラン攻撃で国際情勢が揺れる中、2050年の日本や世界の主要国の情勢変化を語ることは夢想に近く、数字的な根拠を問われても論理的な説明は難しい。
批判もあると思うが、それでも敢えて現実的な視点の延長で帰納法的に2050年の日本の社会経済、日本を取り巻く国際関係の変化を考えてみた。
今回は日本の人口が少子高齢化の影響で2050年に1億人前後となる予測の中、大都市や地方都市の街並みや交通機関、高齢社会で変貌する日本社会について考察をしてみたい。
若いころ、事業環境の予測調査を職業にしてきたので、面白味はなく、予期せぬ技術革新や大災害、戦争などで予測が大きく外れる可能性もあるので、関心の無い方は読み飛ばしていただければ幸いである。
まず、今から25年後を考える前に25年前の2000年の頃はどうであったかを思い起こすと当時の日本と比べ、景観が様変わりしたエリアが東京駅や大阪駅などの巨大ターミナル駅周辺である。
当時の人間がタイムスリップしたら、大手町周辺の巨大高層ビル群や大阪駅周辺の都市開発を見てびっくりするであろう。
一方、ほとんど変化が感じられないエリアが都市郊外や地方の田舎であり、外装工事や古民家のリフォーム技術の進化のお陰で大方の家の外観が小ぎれいになり、さっぱりした感じに変化しているが、
複雑な土地利権の影響などで都市部のボロ家も結構残って放置されたままとなっている。
老朽家屋の問題は過去の国交省の怠慢行政の影響もあるが、今後は都市部の耐震耐火規制がかなり強化されるので、老朽家屋リノベーションや立て替え工事が増え、廃屋に近い家屋はほぼ消滅、都市部の景観がさらに美しくなる。
2050年は、福岡や広島、神戸、横浜、仙台、札幌といった地方都市のターミナル駅周辺は都市計画通りに大きく変化、すでに主な開発が終わった東京や大阪の駅周辺も次々と新しい高層ビルが建設されて規模が拡大する。
一方、都市部の郊外や地方の田舎は、大きな変化はなく、今よりさらに綺麗にさっぱりした感じになるが、街並みそのものには大きな変化は起こらない。
敢えて変化を挙げれば、電信柱の無い通りが増え、いたるところに無人店舗があり、セキュリティ管理技術の発達で、地方都市の駅前のさびれたシャッター商店街が活気のある無人店舗や省人店舗による観光アーケード街へ変身している点であろう。
省人店舗とは、複数の無人化された店舗を運営管理する有人店舗を意味する。 シャッター商店街で残った店主の子孫や地元出身者が複数の無人店舗を掛け持ちで経営しながらきめの細かな客への対応をするのである。
無人店舗だけでは、つかみきれない細かな客のニーズをくみ取り、次の店舗商品の品ぞろえを臨機応変に変えるのである。
無人店舗でも、来店客とのコミュニケーションは不可欠であり、遠隔のリモート会話やAIロボットを活用した対話サービスなど様々な工夫がされるのであろう。
もともとシャッター商店街は地方自治体にとって町の衰退イメージを高めるネガキャンエリアであり、頭の痛い問題であった。
店舗兼住居も多く、権利関係が複雑で再開発が進まず、高齢化も影響して老朽店舗街を再開発したくてもなかなか着手できなかった。
今後は固定資産税の見直しやコンパクトシティ計画を推進する中で店舗居住者のマンションへの移住が進み、シャッター商店街の再開発プロジェクトが推進されて、その結果、商店街全体が美しい観光都市をアピールする重要拠点となるのであろう。
そのモデルは、ディズニーランドやUSJのアーケード街にあり、おもてなし観光サービスから昼間は有人、深夜や早朝は無人で店舗が運営され、中には真夜中でも無人営業することで深夜族が集まり、交流できる店も増えるとみている。
無人省人店舗街や観光アーケード街の出現はさびれる一方であった地方都市の駅前の人の流れを大きく変えることになる。 今まで人通りのなかった商店通りに地方の農産物、海産物、土産物、食料品、衣料、小物文具などの無人、
省人店舗が連なり、スマホで簡単にキャッシュレス購入ができ、別に郊外のショッピングセンターへ買い物に出かけなくても、すべての生活必需品が日々入手できるようになる。
無人省人商店通りや観光アーケード街へ変化させるためには、歩行動線を考慮したイートイン休憩所を一定間隔で設置し、
効率的に観光ルートを巡回できる交通機関との連携などかなり先行投資が必要となるため、コンパクトシティの人口集約化を推進したい地方自治体の公共投資による都市開発とうまく連動しないと実現しない。
そのため地方の県庁所在地の都市など財力のある一部の都市に限定されるとみている。
全国の交通不便なシャッター街は、思い切って先行投資をして無人化、省人化、観光アーケード化を推進できるところは生き残るが、そうでないところは空き店舗や空き地が点在、
店舗の老朽化、廃屋化も著しく、地域のゴースト化が進み、近くに住む住民も不便で気持ち悪くなって引っ越す人も増え、大都市近郊でも異常に高齢化率が高く、若い人が少ないゴーストタウンも増加する。
大都市の近郊や地方都市の自治体は繁栄か衰退、ゴールドシティかゴーストシティかの二択しかなく、どちらを選択するかは自治体経営をになう市長や町長、市議、町議の手腕にかかってくる。
これから市長選や町長選、市町議選で有能な人材確保が必要となっており、自治体経営と公共サービスの基本ノウハウを習得したプロの人材育成が必要となる。
自分が住んでいる地域が将来ゴースト化すると思うなら、ゴールド化すると思える地域へ引っ越す人も増えるので、
自治体として住民へ希望の持てるビジョンを提示、それを実現する実行力がともなわないと衰退スピードはさらに加速する。
2050年に交通機関の無人化や市区町村の併合が進み首都機能が地方分散される
2050年になると無人操作の垂直離着機VTOLの発着ポートが中高層ビルの屋上にでき、高台の公園などにも設置されて、ビルや都市の間を移動している光景を目にする。
ただ、利用者は特定の大手企業の幹部社員や富裕層の個人に限定され、一般の人たちが自由に利用できるようになるためには、さらに数十年はかかるとみている。
VTOLがもっとも活躍するのが、離れ島や山間部の移動であり、直線距離なら短いのに船や道路を使うとその何倍、
何十倍も時間がかかるエリア間の移動に最適であり、国の補助で自治体による定期運航もおこなわれている。 例えば、青ヶ島や八丈島にVTOLが定期運航され、観光客が気軽に訪(おとず)れるであろう。
都内の山手線や環状線は無人化され、駅構内の飲食店や店舗も省人化がすすみ、駅構内の駅員が今よりさらに少なくなっている。 町を歩いても、コンビニやスーパー、
飲食店に店員がほとんどおらず、来店客とうまく受け答えするヒューマノイドロボットが活躍するが、一部のお店では、従来通り人による接客サービスは残るものの、
伝統工芸や老舗店舗、高級レストランなど富裕層相手の商売に限定されるとみている。 人口は今より2千万人以上も減っているが、
無人化、省人化の劇的な技術革新により今より生活の利便性が格段に高まっているので、人口減少の悲壮感はなく、むしろ都心は人口が減って電車が混まず、毎日、余裕をもって通勤できるので歓迎する傾向が強まる。
東京や大阪、名古屋などの大都会郊外の駅から遠いバスを利用する閑静な住宅街は、その不便さから人口減少が著しく2035年ごろまではバス利用に人気がなく、廃れる一方であった。
ところが、自治体が自動車メーカーと組んで、新たに無人のオンデマンドの送迎バスや介護ロボットタクシーなど近中距離の巡回移動手段を積極導入、それらが頻繁に町中を巡回することで、交通の利便性が格段に良くなり、
再び郊外の広々とした住宅での生活に人気が出て、不動産価値も上昇すると予想している。 さらに機転の利く市や町の自治体であれば、住宅街の中でも10分程度の歩行距離の範囲に複数の空き家を改装、
小さな無人のコンビニスーパーや喫茶店、診療所、集会所といった人が集まるコミュニティの場をつくり、
コンパクトタウンのにぎやかさも住民へ提供する。 無人の診療所とは、一か所に内科や外科など患者をリモートでAI診断する専門医がいて、薬の処方までおこなうマルチ遠隔医療拠点を意味する。
逆に市や町でも、予算をうまく配分できず、何も対策をうてないところは、人口が急減、限界集落化が著しくなり、次々と消滅する。
ただ、市区町村の合併手続きが大幅に簡素化されるので、優勝劣敗で人口が急減、自治独立を維持できない市区町村は次々と隣接する人口があまり減らないか、増加する人気の市区町村に統合され、悲壮感は無く、むしろ歓迎する風潮が強まる。
現在、市区町村の総数は、市が792、町が743、村183、特別区23の1741だが、市が増えて、町村数が激減、1100の市、100の町、村が消滅、意外と東京都内の人口減少が著しく、特別区は15程度に減少するであろう。
理由はAI機能の高度化により、大企業中心に事務部門の大幅な合理化、縮小化が進み、リモート勤務の社員が増え、土地や家賃が高すぎる東京を敬遠する傾向が強まり、東京脱出の企業が増えるためである。
本格的なAIネット社会となり、オールドメディアと揶揄(やゆ)されてきた新聞社、出版企業、TV放送業界の凋落、衰退、合併が目立ち、AIによる小予算の企画製作の映画やドラマのコンテンツが増え、華やかな芸能界の産業規模が縮小、
逆に大阪や名古屋、福岡で制作される全国配信の番組が増え、東京以外の副首都や大都市とのコンテンツ競争の時代に突入する。
大企業の製造拠点や事業拠点の地方での集約化、大規模化も進み、本社も大阪や名古屋など副首都や地方大都市に移転する企業が増え、地方の就業機会が増え、地方の大学出身者の地元採用の意欲も強まっていくであろう。
全ては東京都内の人口の過密化、不動産価格の高騰が引き金になっており、一方で産業界はAIによる間接部門の思い切ったリストラ、縮小が進展、勤務先を家賃や人件費など物価の高い東京都内にこだわる必要が無くなっていく。
2050年に130歳最高齢が登場、平均寿命95歳、元気な高齢社会が到来する
今後25年間で劇的に変化するのが、医療薬の進歩による高齢者の長寿化、若返り化である。
すでに糖尿病薬のメトグルコ、メトホルミンが、長寿化に効果があることが広く知られており、大手の医薬メーカーがその長寿要因を徹底分析、
新たな若返りのためのオートファージ活性薬やオートファージ機能を阻害するルビコン抑制薬の開発に血眼(ちまなこ)になっている。 おそらく今の開発スピードであれば、
2030年から2040年にかけてメトホルミンの若返り効果の数十倍のオートファージ活性薬や新たなルビコン抑制薬が開発されて、病院で簡単に処方されて手に入れられる時代が到来するのであろう。
オートファージとは、古くなった細胞や変性たんぱく質をオートファゴソームで囲み、リソソーム酵素で分解、細胞をリニューアルする細胞の若返りメカニズムを意味する。
これを科学的に立証したのが東大の大隅(おおすみ)教授であり、ノーベル賞を受賞している。 ルビコンは、逆にこのオートファージ機能を抑制し老化を早めるたんぱく質であり、阪大の吉森教授によって発見された。
どんなものがオートファージ機能を強め、ルビコンの作用を弱めるかは完全には解明されていないが、メトホルミンがオートファージ機能にプラスに作用することは間違いない。
一方、ルビコンはたんぱく質のオートファージ抑制機能を弱めるものが発見されている。
伝統的な徳島茶葉の阿波番茶はその代表格であり、飲むことで長寿になると注目されている。 実際、阿波番茶の生産地の徳島県の上勝町は健康長寿の人が多いことで有名である。
こうした長寿薬が保険適用されれば、日本では近くの診療所で簡単に手軽に安く入手できる医療環境にあり、これが日本人の平均寿命を飛躍的、劇的にのばすとみている。
おそらく、2050年には平均寿命は男女ともに95歳を超え、多くの企業で75歳定年となり、百歳になっても会社で仕事をする経営者も結構な数にのぼるのであろう。
まさに百寿現役の経営者やビジネスマンが外見は今の70歳代で溌溂と活躍する時代が到来する。 百歳を超える高齢人口が百万人となり、130歳を超える最高齢者が複数人現れ、まさに人生百年を謳歌する長寿モンスター国家が誕生する。
欧米やアジア諸国から見ると理想の桃源郷に見えるため、何とかして日本人と結婚して日本国籍を取得し日本に住みたいと願う外国人が急増、自然の摂理、流れとして移民を抑制しても、
国際結婚で誕生する欧米系やアジア系のハーフやクオーターの日本人が増え、肌の色や顔立ちが様々でヘンリー小原や阿部寛のようなソース顔の日本人も急増する。
高齢者の若返りは、日本社会を根底からひっくり返す起爆剤となる。 何しろ年を取らずに元気なままで40年から50年を過ごす高齢者が増え、90歳、百歳を超える超高齢者も急増する。
見た目、40代の60歳、70歳のホステスが夜の街で活躍、見た目70代の90歳から百歳の男性客がシニアバーでカラオケやダンスに興じる今ならミステリーかホラーのような世界が現実のものとなる。
介護施設にお世話になる高齢者は85歳以上が多く、95歳までに亡くなる方が多いが、2050年になるとそれが95歳以上、105歳までと10年間シフトバック、介護施設で働く職員も70歳代や80歳代が中心になっていくとみている。
つまり、今の65歳定年で現役を退いた後も残り15年から25年は体に無理なく、現役でバリバリ働ける職場を探す高齢者が急増するであろう。
以 上
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〔編集後記〕
現在、71歳現役で従業員30数名の零細企業を経営している。 40代から体重百キロ以上を順調に維持し続け、若い時から医者から何度も2型糖尿病でこのままでは60代半ばで糖尿が悪化、終末を迎えると警告を受けてきた。
そのため今でも毎日、朝と夜は薬を欠かさず、最近8年間はメトグルコを服用している。 医者から運動による筋肉増強も必要と言われ、太っているので足に負担のあるウォーキングはご法度なので過去10数年、水泳による運動を続けてきた。
不思議なものでもともと凝り性なのか、1週間に一度の水泳を続けるとだんだんと面白くなって、いまでは2時間で平泳ぎ1キロ、クロール1キロ、背泳ぎ1キロの3キロのショートマラソンスイミングを続けている。
自分では年相応にぼけて、体もめっきり老化したと自覚しているが、周囲の誰からもそのようには受け止めてもらえず、何か困ると次々と相談してくる。
これは零細企業の経営者の宿命なのか、そうした問題を的確に処理できる人材も少なく、連日、終電まで申請資料やマニュアルの書類づくり、数字チェック、日当たり数十以上のメールの受返信を続けることもざらである。
夜の10時を過ぎても阪急梅田の通勤電車はどこの車両も満席で、優先席にどかっと座っている若者の前で足をひきずる真似をして、か弱い高齢者をアピールするが、誰も全く気にせず席を変わろうとしない。
ある時、会社の職員になぜだろうと真顔で聞いたところニコニコ笑いながら、そりゃ誰も社長の若いルックスをみたら50歳後半のバリバリのビジネスマンと勘違いするから、席なんかゆずったりしませんよとたしなめられた。
また、メトグルコが作用しているのかはわからないが、確かに鏡で自分の姿をみると醜く太っているが、50歳後半か60歳前半と思えるルックスで顔のつやや手足もツルツルしている。
むしろ当時より若返った印象も受ける。 最近、医者から会社通勤のため歩けなくなったらおしまいよと注意を受け、体重百キロ以下の90キロを目指してマンジャロを週に一回薬注入(やくちゅうにゅう)するようになった。
数キロはやせたが、それでも食欲は旺盛で、妻からマンジャロって「なんじゃろ」と揶揄され、笑われているが、とにかく食べることが人生の楽しみの一つなので仕方がない。
梅田においしい店ができたと聞いたら、多少遠くても無意識に足が向いて、いつのまにか食べている自分に気づき、なんでやろうと自問自答することも多い。
こんな楽しくおいしい飲食店が大阪梅田に多すぎるのが良くないのだと滅茶苦茶な言い訳を心の中でつぶやきながら、明日も終電かなと心で嘆く今日この頃である。
合掌

