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2050年の日本の社会経済と国際変化の予測シナリオ(2)

2026年5月20日

社会資本研究所

南 洋史郎

2000年代の10年は米国が破壊と報復で凋落、中国が飛躍的に経済成長した

今回は2050年までの世界の情勢変化と日本の立ち位置がどうなるのかを考察してみる。 25年後の国際変化を考える前に過去25年間の世界情勢がどう変化し、日本がどう翻弄されたかを振り返ると今後の変化もみえてくる。  25年前の世界的な大変化をもたらした国際的な大事件といえば2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件を挙げることができる。  人類の歴史は、民族間、国家間の衝突、破壊から始まり、互いの報復の戦いがあり、その後に停戦や占領など新たな秩序や新展開に移行するプロセスを歩んできた。  911は人類の暗い過去の歴史を想起させるテロ破壊事件であり、米国の報復の戦いで21世紀は幕を開けたのである。

ブッシュ大統領の就任の年に起こった911は、中東過激派への報復のためアフガニスタンのタリバン政権との戦いに突入、2003年に大量破壊兵器の保有を理由にイラクまで攻撃、フセイン政権を打倒している。  一言でいえば、2000年初頭の10年間は、ブッシュ大統領の8年間と重なり、テロ攻撃の破壊に対する「米国のテロの破壊と報復の時代」であったといえる。  極め付きは、2008年9月15日に金融市場で起こったリーマンショックであろう。 サブプライムローンという詐欺的な債権市場の暴落に端を発して金融市場全体で崩壊が起こり、 大手の金融機関にまで連鎖的に倒産を誘発しそうになり、日米欧の金融当局が協調して短期間で莫大な資金を投入、金融市場を守ったが、これもある意味で金融破壊に対する戦いであった。

日本でも小泉政権は自民党をぶっ壊すという破壊を象徴するキャッチフレーズで人気がでて、今までの秩序破壊こそが21世紀の政治の象徴のような印象を与えた。  その後、第一次安倍政権になって教育基本法の見直しなど戦後初めて日本の本来の姿に回帰する政治的な動きがみられ、保守政治への流れが始まった。  共和党のブッシュ大統領と気が合った小泉政権に始まり、安倍、福田、麻生の各政権が1年毎に変わり、2009年1月に就任した米国民主党のオバマ政権に合わせるように2009年7月に日本は民主党の鳩山政権となり、 日米ともに親中の民主党という新秩序が生まれることになった。 一方、21世紀になって米国が破壊から報復の応酬で国力を棄損、GDPが伸び悩み、覇権国家の凋落の道を歩む姿を横目に飛躍的な経済成長を遂げた国が中国である。  中国共産党が国家を支配する国家資本主義を追求する中、全経済を掌握、国家財政と産業資本が連携、技術開発や不動産投資に莫大な資金を投入、驚異的な経済成長を遂げ、世界経済の覇権を握り始めた。  投資や産業の育成では、資本市場のルールを無視、採算度外視の廉価な製品で市場を席巻、日米欧の産業経済を掌握、新たな経済支配力を強めた10年と言える。 2010年にドル建て名目GDPで米国に次ぐ世界2位となっている。

2010年代は中国の露骨な経済や軍事の覇権拡大に日米連携で動きを封じてきた

中国では2012年11月の全人代で胡錦涛に代わり習近平が総書記となり、翌2013年3月には国家主席に就任、汚職腐敗の撲滅を名目に政敵を次々と粛清、独裁的な地位を固め、 海外では一帯一路など米国に対抗する覇権を強め、2017年以降はトランプ大統領と覇権を争う露骨な軍備拡張や欧州、日本や東南アジアなどにおける経済的、軍事的な影響力を強めていった。  一方、日本では2011年3月11日の東日本大震災の大規模な津波被害と原子力発電所の事故により、 壊滅的な損害を受け、復旧に注力せざるを得ない中、習近平就任と同時期の2012年12月に保守の安倍首相が政権を担(にな)うことになった。 311が日本を変えたのである。

安倍首相になって力強く大震災復興を推進、民主党政権時代の緊縮財政による経済低迷の時期を脱し、日銀の黒田総裁による異次元の金融緩和や積極財政のアベノミクスにより、経済が順調に回復、2020年9月まで8年間の長期政権が続いた。  2010年代は、習近平主席の中国が露骨に軍事や経済を拡大する中、親中色が強い民主党のオバマ大統領は弱腰に終始、共和党のトランプ大統領になって、逆に強腰で対抗するようになり、 安倍首相と連携して、日本は中国の覇権拡大を封じ込める自由で開かれたインド太平洋、通称FOIP(フォイップ)の外交政策を展開、一方で尖閣諸島などの軍事的な中国の脅威に対し毅然とした防衛姿勢を貫いてきた。

米国は、2016年までのオバマ大統領の8年間で実質GDPは17兆ドル弱から19兆ドルの年率2%強の17%の伸びを示した。 ブッシュ政権の8年間も金融恐慌で数年間停滞、最後の2008年はマイナス成長となったが、 軍需産業が伸びたお陰で14兆ドルから17兆ドル弱まで年率2%強の18%の伸びを示している。  2017年に政権をになったトランプ大統領の2019年までの3年間の実質GDPは、20兆ドル弱から21兆ドル強と年率2%の6%の伸びを示したが、 2020年に中国の武漢で起こったコロナ・パンデミックの影響で実質GDPはマイナス成長となった。  トランプ大統領の中国発コロナへの怒りは大きく、大統領の選挙戦でもコロナに対する米国民のアンチ中国の感情を扇動、中国との戦いを鮮明にしたが、 郵便投票という不正選挙の疑惑の中で民主党のバイデンが当選、政権を明け渡すことになった。

コロナ・パンデミックは、2019年12月の中国武漢の海鮮卸売市場かウイルス研究所からの漏洩によるコウモリに宿るウイルスが感染源といわれ、 数か月間で全世界に広まり、WHOの報告では2021年までの2年間の累計で3億人以上が感染、死者5.5百万人を記録、 その後も増え続け、推計で死者7百万人、超過死亡を含むと1500万人以上の犠牲者がでたといわれるが正確な数字はわかっていない。  パンデミックは感染源のウイルスの特定と拡散ルート調査がその後の再発防止に必要不可欠だが、中国政府はWHO調査に協力せず市場(いちば)や研究所を勝手に閉鎖、いまだに正確な感染源や感染ルートはわかっていない。  一説に中国共産党による生物兵器開発中の漏洩事故とか、米国大手製薬会社の委託研究中の事故などの噂はあるが、隠ぺいにより原因不明のままで、WHOの弱腰姿勢を非難する声が強い。  2010年代の10年間は、中国共産党の習近平独裁政治による覇権拡大と日米の外交封じ込めや欧州での移民混乱が特色となっており、「中国の覇権拡大と日米欧の混迷の時代」と形容できる。

2020年代前半は権威主義国によるマフィアのような恨みと報復の時代となった

2021年から2024年までのバイデン政権の4年間の実質GDPは23兆ドル強まで年率2%の伸びだったので、コロナがトランプ大統領に与えたダメージがいかに大きかったかがわかる。  ただ、2021年以降、コロナからの経済回復の過程において、バイデン政権のもと2024年までのわずか4年間でGDPデフレーターは20%の驚異的な物価上昇となっており、 マスコミ論調はトランプ政権の物価上昇を喧伝しているが、バイデン政権の経済政策の誤りが2026年まで都市部の賃料高止まりなど庶民の生活苦をまねいてきたという見方が正しい分析となる。  ちなみにトランプ政権の2025年のGDPデフレーターは3.6%アップと鎮静化の兆しをみせ、トランプ関税で物価上昇をまねいたという識者もいるが、該当する事例もあったかも知れないが、全体的なマクロでみた場合は鎮静化の傾向となっている。  2020年代に入って米国は2024年までの権威主義の国々による破壊の時代から、2025年以降は権威主義の国々に対する米国による目標攻略戦の攻撃の時代へ突入している。  おそらくこの戦いは2030年ごろまで続き、権威主義の国々はその権威そのものの勢力パワーを失っていくと予想している。

2020年代以降の権威主義の国々による破壊の経緯を見ると実際に起こった国際的な事件をつなぎ合わせると憶測も多いが、ある程度見えてくるものがある。  ある識者は、2020年1月に起こった中国発コロナ・パンデミックを中国による米国や欧州、日本への報復と分析したが、その見方は考えられ、隠ぺい行為や異常な上海ロックダウンは先進国なら反社会的な行為となる。  2022年2月24日にロシアのプーチンが突然、ウクライナへ侵攻、ブッチャなど数々の住民惨殺の悲劇をみるとロシア軍が裏切り仲間の殺害を続けるマフィアのように近親憎悪の異常な神経で民間人を殺害し続けており、 いまだにその戦いは終わっていない。 2023年10月7日にイスラエルでイランの革命防衛隊の強い影響下にあるハマスが1200人を殺害し、251人を人質にするテロ事件を起こしたが、 その後のイスラエルのネタニヤフによる空爆と地上侵攻によるガザ地区への報復攻撃でパレスチナ側に数万人の死傷者が出ている。  その7割の犠牲者が女性や子供であり、血も涙もない非道なマフィアの恨みと報復の連鎖のような戦い方に暗い気持ちになった人たちも多かった。

権威主義国の中でも21世紀の覇権を狙う中国に目を向けると習近平主席の個人独裁が強まる中、2019年1月の式典演説で武力行使の選択肢を排除しないと台湾統一を明言、 中国軍の創設百年目の2027年や建国百年目にあたる2049年が統一に向けたデッドラインと言われる。  また、香港について2020年のコロナ・パンデミックで欧米からの批判が強まる中、同年6月30日に香港国家安全維持法案を成立させ、香港の民主化デモを厳しく取り締まり、実質香港を支配下においた。  2018年に憲法を改正して国家主席の任期を撤廃、2021年の党大会で習近平思想を党の絶対指針と定め、2022年の党大会では集団指導体制を廃止、2023年に金融、科学技術、社会管理など政府の重要部門、 2024年には内閣に相当する国務院をそれぞれ習近平主席の直轄の支配下に治め、清や明、元など歴代中国の皇帝のように14億人を支配する完璧な独裁体制を確立している。  その独裁統治を可能にしているのが2億台近いAI機能の付いた監視カメラであり、何かあればすぐに警察が駆け付け、取り締まる体制を完成させた。

2025年から米国が関税引き上げで軍事独裁を強める中国と目標攻略戦を始めた

2025年後半から人民解放軍の幹部を次々と粛清し始め、10月に何衛東(か・えいとう)、2026年1月に張又侠(ちょう・ゆうきょう)という長年信頼してきた腹心の部下の副主席2名を失脚させた。  その結果、中央軍事委員会は事実上機能しなくなり、習近平主席だけによる独裁的な軍統治体制を確立した。  ただ、専門家は、巨大な軍組織を一人で動かすことは不可能で、軍が指揮命令を聞かなくなれば、その時点で独裁者のメンツは失われ、失脚する可能性は高まると分析している。  その見方は正しく、大規模な軍事侵攻を命じた時が失脚のタイミングであり、そのことを習近平本人が一番よく自覚しているので、台湾への様々な軍事的な恫喝は続けるが、本格的な軍事侵攻の可能性はむしろ低くなり、 これからも軍内部の不満分子をあぶり出し、粛清し続け、ロシアのような上意下達の完璧な全体主義的なヒエラルキー組織を構築するのであろう。  組織論でいえば、一昔前の帝国陸軍や銀行、今のマフィアや麻薬カルテルの組織に似通っており、黒でも白と言わせる強制力があり、組織力として非常に強い。  数十万人の軍隊が習近平の号令で忠犬のように忠実に動く状態になった時に台湾への軍事侵攻は始まるとみている。

最大の欠点は、肝心かなめのトップや幹部が攻撃をうけ、やられたらお終(しま)いであり、国同士の目標攻略戦では諜報活動も含めAI通信技術や軍事力が進んだ米国のような覇権国にとっては最も戦いやすい相手となる。  長年ニューヨークで口八丁手八丁でマフィアも絡む不動産の取引経験が豊富で、政敵から訴訟を受けてもめげずに生き残ってきたトランプのような親分肌の大統領は、 権威主義国家の独裁者たちとのマフィア抗争のような目標攻略戦には向いており、天命のはまり役、天職といえる。 ものの言い方や物腰がマフィアの親分そのものを感じさせ、リベラル系の政府官僚や学者、エリート層には極めて不人気である。  逆にどろどろした実業の世界で生き残ってきた零細、中小企業の経営者や本流の無能なエリート集団から外され、実力の世界で生きてきたアウトローの学者や技術者、評論家、ビジネスマンたちには絶大な人気がある。

トランプは、忠誠を誓う幹部たちを集めホワイトハウス組を組織し、抗争相手の権威主義国家の中で覇権を狙う中国を倒すため、2025年の就任早々から先手を打ち始めた。  2025年2月1日にカナダ、メキシコ、中国にフェンタニルの違法麻薬関税を一律20%課して、その後、中国に対し100%以上の関税をかけると関税ボードを掲げ脅かす姿は、大統領というよりマフィアの親分の姿そのものである。  5月段階で中国からの米国輸入の関税は品目毎に異なるが平均4割程度になっている。  2026年2月20日に米連邦最高裁が、国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に議会承認なしに関税を課すことは違法の判断を下し、355億ドル、約6兆円の還付命令を出した。  5月7日に米国際貿易裁判所(CIT)が通商法122条に基づく10%の代替関税も違法と判断している。 今から議会を通せば過去にさかのぼり全ての関税が有効となるので法案が議会で審議される可能性はある。  トランプ支持派は賛成するが、農家やビジネス界の伝統的な保守派は慎重なため、5月14日と15日の米中会談で、中国による牛肉など年間170億ドル(約3兆円) の農産物の買い付けや中国との品目毎の関税引き下げを検討する貿易委員会の設置を約束、 議会はトランプ関税に今まで否定的であったが、米中会談後に議会が事後承認する可能性はでてきたとみている。

以 上

〔注〕本記事の著作権は非営利運営の(社)社会資本研究所に帰属します。 本記事の引用、転 載、転記などは自由にご利用いただいて大丈夫です。 複写は、本データのままであれ ば、大丈夫ですが、別データなどへ加工しての複写はご遠慮願います。

〔編集後記〕

2000年代に入ってすぐ起こったニューヨークのワールドトレード・センターの911テロ事件はテレビ中継を見ながら、なんてひどいことをする人たちもこの世にいるものだとあきれ、驚いたことを昨日のことのように思い出す。  ビルが崩壊してくずれていく姿はショックで人々が次々と死を覚悟して飛び降りる姿は今でもしっかりと目に焼き付いている。 米国の大統領が怒りに震え、テロへの報復に駆られる気持ちもよく理解できる。

日本では2005年4月25日に起こったJR福知山線の塚口駅と尼崎駅の間で起こった列車事故が思い出される。 当時、この路線で尼崎の事務所まで通っていたが、明け方4時過ぎに悪夢で起こされ、しばらく眠ることができなかった。  その日は9時過ぎの電車に乗ろうと思っていたので、そのまま起きて会社に行こうと思ったが、突然眠くなり、起きたら9時過ぎで、あわてて自家用車で事務所へ向かったが、車の中のラジオで事故のことを知った。  いつも前から2両目に乗っていたので、時間通り電車に乗っていたら生きていなかったであろう。 悪夢とは、広い川の真ん中にマンションらしき白いビルが建っており、そのまわりに老若男女(ろうにゃくなんにょ) 30人から40人ほどが全員頭から血を流し、川の浅い水の上に立って、こちらを寂しそうにじっと見つめていた夢で、思わず、叫んで布団から飛び起き、しばらく眠れなかった。  テレビで事故のマンションを見たが、夢で見たマンションと全く一緒であった。

2022年7月8日の安倍首相の暗殺後に見た夢もとてもリアルでいまだに何なのかよく理解できていない。  ベンチに座っていたら、その隣に一度も面識のない安倍首相がスーツ姿で黙ってお座りになって、リアルな状況の中でこちらをじっと見つめられ、何かを言いたそうな雰囲気であった。  よくよく考えてみるとすでに亡くなられていることを思い出し、怖くなってあわてて夢から起きて現実に戻ったが、何を言いたかったのだろうと考えることがある。  子供の時から金縛りにはよく遭遇し、首を絞められそうになり、やめてと叫んだら、わかったと言ってそれからそうした経験をしなくなったこともあり、すべて勝手な妄想と思うが、不可解な不思議な感じは今でもしている。  2000年から25年以上が経過したが、個人の妄想の世界でもこれだけ不可解なことがある。  ましてや、国際政治で起こることは人知を超えたなにか摩訶(まか)不思議の世界の出来事のように思えてならない今日この頃である。

合掌

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