お問合わせ
06-4708-8655

中国が静かな戦争を始め日米英はかく乱される

令和2年6月9日

社会資本研究所

武漢コロナ問題対策研究チーム

武漢コロナで日米英などの先進国と中国が静かな戦争を始めた

今回の武漢コロナのパンデミックの感染者数と死者数は、米国と欧州の主要国において、甚大な被害をもたらしています。 6月8日現在の世界の感染者数は691万人、死者数40万人、感染致死率は5.7%ですが、被害の大きい国々の感染者、死者数、致死率を列挙すると次の通りです。
国名=感染者数・死者数・感染致死率 (概要表示)
米国=194万人・11万人・5.6%
ブラジル=67万人・3.6万人・5.3%
ロシア=47万人・6千人・1.2%
英国=29万人・4万人・13.7%
スペイン=24万人・2.7万人・11.2%
イタリア=23.5万人・3.4万人・14.4%
ドイツ=18.4万人・8.7千人・4.7%
フランス=15.4万人・2.9万人・18.8%   (6月8日現在)

日本はそうした国と比較すると武漢コロナの感染者数は二けた低い数字になっており、感染者数1.7万人、死者数9百人、感染致死率5.4%、感染治癒数1.5万人、治癒率88%と1億人超える人口の国としては、傑出した優秀な実績を残しています。台湾のように初期段階から、強制的に徹底した隔離政策をとっていない日本だけが、なぜこのような桁違いに低い死者数なのか、その原因解明に医療関係者の関心が向いています。

なお、日本におけるその他の感染症と比較した場合、結核は平成30年度で罹患者数1.5万人、死者数が2.2千人、感染致死率が15%で武漢コロナの感染致死率の3倍となっています。インフルエンザは毎年推計1千万人が感染、14歳未満の子供がその半数を占め、超過死亡の感染死亡者数が1万人といわれています。2020年4月の実績は、730万人の感染者数で例年の4分の3におさまり、2年前の2018年実績になりますが、直接の感染死亡者数は3300人なので武漢コロナの3倍強となっています。

感染症として、日本では、今回の武漢コロナより結核やインフルエンザの方がはるかに深刻です。ところが、武漢コロナだけ、特別扱いで感染爆発を防ぐために、まるで戦争状態のようにステイホーム(自宅待機・外出自粛)や新生活様式でのビジネス活動の制約が厳しかった理由は、そのウイルスが国際法違反で研究開発中の中国の生物兵器の漏洩の疑いがあったためです。

  仮にそれが否定されても、武漢ウイルス研究所から漏洩した研究中の致死率の高いウイルスの可能性が濃厚であったと考えられています。フランスのエイズ発見のノーベル生理学医学賞を受賞したリュック・モンタニエ教授は、悪意ある生物兵器のウイルス漏洩の可能性は否定しましたが、コロナウイルスでエイズワクチンをつくる過程で武漢の研究所から漏洩した人工的なウイルスと考えるのが合理的だと主張しています。

日本政府が相当に慌てた対応からわかることは、いずれにせよ中国の武漢ウイルス研究所が発生源で、それが人工的なウイルスであったため、どれだけの人が感染、死亡するか全く読めなかったことが、今回の大きな混乱の要因であったと推察できます。

日本と比較し桁違いに大きな実害を受けた欧米の感染者数や感染致死率をみると諜報機関による情報収集能力をもった英米を中心として、フランスやドイツ、日本、イタリア、カナダの少なくともG7の7か国は、緊密な外交、安全保障の機密情報から、政府首脳間では、中国共産党による武漢コロナ感染の隠ぺい工作とその後の戦狼外交から判断して、中国は社会をかく乱、破壊する「静かな戦争」を始めたという認識を強めたとみています。

中国は日英米に対し静かな戦争を激しく仕掛けていく

    

静かな戦争(Silent War)とは、従来の軍事衝突で互いの国を破壊し殺し合う戦いでなく、主に軍事力で劣勢の国が、攻略すべき相手国の政治家やマスコミ、官僚、経済人、宗教家など人民統治に影響力のある特定の人物へアプローチをはかり、相手国への影響力を徐々に高め、資金提供(合法的な賄賂買収)と脅し、威嚇という飴と鞭をつかって、人を介して徐々にその国へ侵略をおこなう新しい戦争モデルです。

その具体的なノウハウは、中国共産党の軍事戦略家が1990年代後半に“超限戦”という本で詳細に解説しており、普通はそのような戦争ノウハウは門外不出ですが、堂々と自分たちの考えを本や報道で公表するのは、自分たちが絶対的に優れているという強国意識があるからだと考えられます。オーストラリアで出版され、話題になった“サイレント・インベージョン”から発展し、未知のウイルス感染で相手国の社会経済をかく乱し、徐々に相手の経済へ深刻なダメージを与え、ついに相手国を屈服させる新しいスタイルの戦争です。

ある国が、静かな戦争を始めると相手国がウイルス感染で社会が疲弊、経済不況で国力が弱まった時にさらに軍事的な挑発、威嚇を繰り返します。狙いは、相手国を心理的に不安にさせ、自分たちに有利な外交を展開し、自国利権を支持、支援する隷属的な国にすることで結果的に軍事戦争に勝利した状態と同じ有利な状況をつくりだせると考えるからです。

また、静かな戦争を始めてから、相手の軍事力が弱く、圧倒的に勝てるとわかると何ら躊躇することなく、武力行使による戦いを仕掛け、相手国を腕力で屈服させ、独裁支配で民族浄化のような過激な統治もおこなっていきます。中国はチベットやウイグルで最初はこの静かな戦争を始め、人民統治に影響力のある政治家などを抱き込み、ある程度隷属的な関係をつくって、相手国が軍事的にも弱いとわかると武力行使で侵略、相手国を自国に併合して、中国支配の領土になった後で、民族浄化まで視野に入れた残虐な統治を進めてきました。

過去のチベットやウイグルと同じ方法で、今度は、香港へ静かな戦争を仕掛け、香港の行政トップから攻略を始め、少しずつ政治経済の実権を掌握しながら、50年間は一国二制度を続けるという国際公約を破り、香港国家安全法を制定して、一国一制度に転換、今後は中国による独裁的な支配が進め、香港を中国の完全支配の都市に転換することを目論んでいます。すでに民主化による抗議デモを武力で鎮圧、中心的な人物を次々と逮捕しながら、数百人から数千人がすでに処刑され、殺されているという噂まで広がっています。

米国や英国は、コロナで自国経済が相当にダメージを受けている中、その弱みをあざ笑うかのように中国が香港で静かな戦争を始めたと考えています。中国は武漢コロナで、米英の公衆衛生の弱みを攻撃、自国が多数の人命損失や経済損害を受け、かなり疲弊した状態を見定めてから、香港の民主化を阻止、全人代で香港国家安全法まで制定しています。

  さらに米国や英国の心理的なダメージを大きくするために、中国の報道官による欧米を露骨に非難する戦狼外交が展開されてきました。コロナ騒動の最中の4月18日に国際法で違反となっている南沙諸島の人工島を勝手に中国海南省の三沙市の南沙区と西沙区の行政区にすると公表、公海までも自分たちの領有を拡大する野心に利用しています。

また、日本政府がコロナ対策で多忙な中、5月9日には尖閣諸島へ中国公船4隻が領海侵犯をおこない日本の漁船を追跡する蛮行にでており、弱みを見つけるとすかさず、自分たちに有利な戦いを展開しています。

静かな戦争は香港国家安全法の成立後からヒートアップする

ポストコロナの経済復帰を始めた日米欧各国が、まだコロナ対策で多忙な中、5月28日に閉幕した中国全人代で、香港の一国二制度の終わりを示す香港国家安全法を可決して、香港の間接統治を始める宣言をしました。5月29日に中国の強権的で独裁的な政治行動に対抗、米国のトランプ大統領は、香港人権・民主主義法に基づき、香港に供与していた優遇措置の撤廃を公表、中国共産党や中国に協力する香港の行政責任者の米国資産の凍結や米国の大学に在学する5千人の共産党子弟の留学生を中国へ帰国させる決定も行いました。

中国側は何らかの対抗処置を講じると反論しましたが、6月4日に米国で起こった警官の過激な黒人取締りに端を発し、それとは無関係に全米各地で悪質な略奪をおこなう暴動が多発、暴動を主導していた極左集団ANTIFAなどの活動を中国が裏で支援しているという噂も流れています。米国の教会焼き討ちに中国人が参画、裏で中国政府が支援している確証となっています。

米国内の人種問題を悪用、それと無関係な極左集団の暴動を関連付け、米国のトランプ政権を窮地に追い込んで、再選阻止を目論む大胆な中国の工作活動にはあきれるばかりです。
ただ、さすがにこうした中国の違法な工作活動は、米国民の反感を買っており、テロ活動の指定により、既に大量の逮捕者をだしているので、これから司法の場で、そうしたテロ活動の実態が暴かれ、中国政府が間接的に関与していたことが公表されると民主党にとっては逆に不利な状況になっていきます。

香港問題については、5月28日に日本政府は香港国家安全法に憂慮する声明を発表、在日中国大使館にもその意向を伝えました。同日、米英豪加の4か国も反対声明を発表しましたが、6月6日になって、共同通信のワシントン支局が、この4か国の声明への参加を日本が拒否したと伝えて、事実と異なるので、様々な憶測がされています。この誤報の背後に日本の優柔不断さ、弱腰姿勢に対して不快感を表す米国側の何らかの意図があったのではないかというのが有力な見方となっています。

与党公明党の党首が6月2日の記者会見で、習近平国家主席を国賓として招くことは、もっと大きな次元で判断、日中で対話を尽くし、信頼関係を整え、首脳の往来を完結する努力をすべきという意見を述べられました。互いに喧嘩せず、話し合いをすれば、分かり合えるという公明党の理念は立派で、戦争を駄目と言う信念に異論はありません。野党であればそうした自由な発言も許されるでしょう。ただ、政権与党として、中国の静かな戦争で日本だけでなく欧米の経済が著しく疲弊し、世界の公衆衛生が危機的な状況を考えると同盟国の米国を不必要に刺激する軽はずみな発言ではなかったかと思います。

日米同盟でも日本が中国に弱腰なら米軍は日本を助けない

米国は、中国との静かな戦争が始まって、親中であったオーストラリアも中国の圧力、恫喝に負けず、非難声明に加わり、日本も一緒に戦ってくれると思っていたのに背後から仲間を裏切るような言動を政府与党の党首がしたことへの不信感を痛烈な皮肉を込めて言いたかったのではないかと推測しています。

中国による香港国家安全法の脅威に対する日本政府や政権与党に危機意識が全く感じられず、中国が日本は弱腰と間違って受け取りかねない与党幹部の発言に米国は驚き、日本政府へ言動には気を付けて欲しいと厳しく警告したかったのではないかという見方をしています。現状を考えると米国の警告は全く正しいと考えます。

与党公明党は、10年以上前も、巡航ミサイルなどの国内配備に中国を刺激するからと反対、その後に中国から度重なるミサイルの恫喝発言が繰り返され、日本、日本人を守るためのミサイル防衛、迎撃網の構築が著しく遅れたことに同盟国の米国が不快感を示したと言われています。

今年5月の米国の軍事専門家の報告書でも、現段階では、ミサイル戦争が始まったら、中国が圧倒的に有利な軍事展開ができる状況にあり、日本の自衛隊だけでは、一方的にやられるだけの危機的な状況になっていると指摘されています。当研究所もそれは正しい指摘であると考えており、だから日米が互いに密接に連携、協力して、ミサイル防衛を構築すべきであるという意見です。

米国は、今まで政権与党の自由民主党が、親中の公明党と組むことに寛大な姿勢でしたが、中国との静かな戦争がはじまった現段階では、深刻な懸念をもって注視しているのではないかという見方をしています。特に日本の安全保障を脅かす自由民主党の中に巣食っている親中派と呼ばれる愚かな議員の言動や行動には相当にいらだっていると思われます。

  中国との静かな戦争がすでに始まっており、日本も経済面や公衆衛生面で相当に危機的な状況になっているにもかかわらず、それでも中国に友好的で従順な態度を示したりすると、それが中国に隷属的にひれ伏す弱腰という誤ったメッセージで受け取られ、中国が簡単に尖閣諸島を強奪できると思えば、ある日、遠慮なく武力衝突を断行すると思います。その時、米軍は多少の後方支援はするでしょうが、自分たちで守れるならどうぞと突き放す可能性が大きいと考えます。要は弱腰の愚かな政治家が統治する国の防衛戦に自分たちの大事な若者の命が失われるのは、真っ平ごめんというのが米軍の本音ではないかと思います。中近東やアフガンで散々嫌な目にあっているのでその気持ちは理解できます。

米国は拡大G7で中国包囲網を目指すが駄目な国は見切る

現在、米国にとって頭の痛い問題は韓国を見切って完全撤退するかどうかです。今まで韓国に対して、米国は政治的に非常に憂慮した立場をとっており、文大統領は、同盟国の米国や日本を敵視する反米、反日で非友好的な政策路線を選択してきました。親北路線、中国べったりの親中路線を続け、日本や米国とは疎遠な関係を志向してきました。

日本に対しては、応募工問題で国際合意を無視、8月に差し押さえた韓国の日系企業資産の現金化も行うようです。最終的かつ不可逆的であった慰安婦問題を解決するための日本との合意も一方的に破棄、日本が供与した資金も慰安婦の訴えで不正使用されて事件になっており、すでに日本は一切関係ないので、あきれて静観するだけの状況となっています。

日本の政治スタンスは、すでに日韓の正常な関係は難しいと悟って、韓国独自の今の政治路線で、経済発展ができ、国民が幸せになるなら、それが正解であり、日本は政治経済の関係も含め一切関わりたくない立場をとると推察しています。すでに国連決議と異なり、北朝鮮の政権と融和路線を強力に推進しているので、米国との関係も気にしないで、着々と朝鮮統一を目指されるのでしょう。

米国の投資家のジム・ロジャーズ氏は、朝鮮半島の市場の将来性が明るいという見方をしていましたが、それはあくまで朝鮮半島利権にこだわる米国の富裕層の思い込みによる希望的な観測にすぎないと考えています。当研究所の見方では、北朝鮮の労働生産性は低く、南北朝鮮の経済格差や体制の違いがあまりに大きいので、仮に徐々に融合するとしても、相当に長期間にわたって、経済が混乱、疲弊した状態が続くのではないかと予測しています。

結局、日本の経済支援が頼りで必要になると思いますが、残念ながら、今までの北朝鮮独裁政権の恫喝政策や拉致問題などへの感情的なしこりがあまりに強く、朝鮮半島とできるだけ関わりたくないという流れになっています。日本国内で製造回帰が起こり、国内で自給自足できる経済システムの構築を優先したいという思いが強いため、今後も韓国とは疎遠な関係が続くでしょう。

韓国は、統計数字では、十分な外貨準備があり、5月末時点で外貨が増加、4070億ドル(44兆円)まで積み上がっています。ただ、3月19日に韓国銀行と米FRBとの間で取り交わされ9月19日が期限のスワップ協定では600億ドル(6兆円強)の枠の資金調達が可能となり、すでに200億ドル(2兆円強)の資金が使われ、十分な外貨があるのになぜドルとのスワップが必要なのか、実際は外貨が不足しているのではないかという疑念がでています。

こうした背景の中で、トランプ大統領より9月のG7を拡大したG11かG12への参加打診が韓国へあり、おそらく中国との静かな戦争が進展する中で、米国と歩調を合わせ中国共産党政権の解体と民主化に向けた働きかけを国同士が手を組んで、一緒に対抗できないかという打診があると思われます。

韓国の将来の方向性が決まる重要な話し合いになるとみていますが、スワップ協定延長の月であり、まさにトランプ流の外交で、資金面で韓国の経済破綻の命運を握りながら、交渉が続きます。米国の思惑通りに韓国が中国をけん制するかは懐疑的です。結局、YESかNOかが、はっきりしない結果になると思いますが、その時は同盟国から外れ、参加しない国には今後一切支援しない、助けない、関わらないという冷淡な姿勢になると推測しています。

それだけ、米国は、武漢コロナの経済ダメージが深刻であり、逆に言えば、苦しい時に痛みを分かち合える同盟国との関係はさらに深まると読んでいます。トランプ大統領としては、まずは信頼できるパートナー国として、英国とカナダ、オーストラリアを基軸と考えており、そこに日本やドイツ、フランス、イタリアを巻き込み、さらにロシアやインド、韓国、ブラジルがオブザーバー参加することで、中国との静かな戦争を戦い抜く決意をしたのだと考えています。

また、米国はすでにWHO脱退を決めていますが、拡大G7への参加状況をみながら、国連総会で、国連改革への厳しい圧力を加えるとみています。国連が今後もうまく機能するかどうかの見極めも行うのでしょう。国連が存続できるかどうかは、国連事務局長の態度、姿勢にかかっています。WHO存続のため、テドロス事務局長を更迭して、米国側が納得できる新しい人事をおこなうのではないかと予測しています。

国連総会では、米国の挑発的な演説の後で、中国も過激に感情的に対抗すると思われ、互いに国連を舞台に静かな戦争を展開しながら、米中の外交的な対話による解決策も模索するのではないかとみています。一番良い解決策は、中国が民主化路線への転換を表明して、香港や台湾の独立を認めることですが、香港の金融制裁を実施するかどうかが重要な鍵を握っていると考えます。

                                                                       
ページトップへ戻る