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10%消費税の アベノショックについて
消費税についてQ&Aの形で所長からいろいろ聞いてみました。
  所長から10%消費税の今後の問題点や課題について教えてもらおうと思います。

Q1消費税が日本経済の低迷、デフレを引き起こした原因と結論付けています。ただ、その他にも日本経済の成熟化や高齢化、人口減少などGDPが低迷する要因が沢山あると思うのですが、なぜ景気低迷、デフレ不況の原因を消費税に絞って一番大きな要因と結論付けているのでしょうか。
確かに消費税以外にも日本経済が成長しない理由は多々あると思います。ただ、自動車や電機、住宅など全ての産業は、消費者の購買で成り立っており、 消費者が少し買い控え、さまざまな情報を収集して必要な製品サービスのみを選択して賢く購入するようになると優勝劣敗の格差が鮮明になって、購買対象外の製品サービスを提供する企業の生き残りが厳しくなってきます。
つまり、消費者の選択に残った勝ち組企業は生き残りますが、買い控えの対象になり、選択されない製品サービスを提供している負け組企業は、どんどん追いやられ、金融機関も負け組企業には冷たいので、ますます加速的に淘汰されていきます。

日本の消費者は、品質と価格には敏感で、消費税を引き上げたら、その分 節約して、限られた可処分所得の中で無駄な消費や不要不急の消費、贅沢な消費を節約して、本当に必要な消費だけに絞った購買行動をとるようになります。
実は消費者の無駄、不要不急、贅沢な消費が経済を拡大、活性化させる原動力なのです。消費者の多くがそうした余裕のある余剰消費をせずに必要なものだけに限定して賢く厳しい選別の購買を続けると必需品中心に品質は普通でも価格の安い商品サービスに需要が集中してデフレが進行します。
過去、家計消費支出が伸びなかった最大の理由が、この消費税導入による家計の節約消費を助長したことであり、日本の消費者がそれでも必需品中心に購買を続けてくれる閾値(限界値)が5%という見方をしています。この閾値を越えた消費税を導入した後の消費者、特に中流や貧困層の消費行動は確実な読みはできませんが、従来の消費常識を超えたもう一段上の節約に向かうと考えています。中古住宅、中古車、古着など中古販売、近距離格安旅行、外食から内食、家族葬、小額身内結婚式といったものが流行するでしょう。
ついにダイエット食事と聞こえは良いが、何のことはない従来の3食を2食、2食を1食とおやつといった食事回数を減らし、一回あたりの食事の量を制限する家庭が増えるのではないかと予測しています。新製品はよほど魅力あるものでないと売れないので、消費税10%で外食企業などの倒産が起こり、不況に強い衣食分野の大企業の大型倒産も危惧されます。10%消費税を受け入れた経団連や商工会議所には非難が集中するでしょう。
さらに富裕層や中流の上の階層の消費者は、消費税が仮に10%以上であっても、日々の買い物は通常通りでしょうが、中流の下の階層や貧困層は、消費税が上げれば、その分確実に消費を控える購買行動をとります。日本的な生活行動パターンですが、富裕層も貧困層に合わせて、派手な消費は抑制して目立たない地味な消費を志向するようになります。中流の下の階層や貧困層の人たちは、購買意欲が高く、金持ち層に比べて、耐久消費財を中心に買いたいものがたくさんあるので、この分野の購買力がなくなると企業の売上は低迷するどころか、さらに大きく減退します。
Q2消費税全廃を主張されていますが、今の日本経済を拡大、成長させるためには消費税率を下げることが一番有効なのでしょうか、その他にも財政出動や日銀の金融緩和が有効という意見があると思うのですが、首相は失業率を減らして企業が賃金を増やす政策をとり、消費税の増加分を全て社会保障費に充当すると言っています。所得税や法人税が減少している中で消費税アップは、それでも仕方ないことではないでしょうか。
消費税を導入した財務省中心に消費税のメリット、消費市場には影響は少ないという論法を展開、国民の皆さん、特に貧困者層の社会保障が増えるから消費税を増やすという論理が主流を占め、消費税だけをとらえたら国民全員が反対ですが、社会保障に使うなら財政赤字という借金も多いので、優しい日本人の多くが消費税やむなしという意見を持つことが多いのです。ところが、それは間違いで、消費税を全廃して余剰消費、余裕消費、贅沢消費が生まれたら、経済が物凄く成長、発展して景気はみるみる良くなります。むしろ消費を促進するための究極の消費刺激策といわれる消費を沢山すれば、ポイント還元で納付した所得税や法人税、消費税の還付が得られる「ポイント還付制度」を導入すれば、消費はさらに上昇して経済は発展します。 

10%消費税を実施するなら、大不況を回避して、貧困層がこれ以上苦しまなくて良いように、沢山購買すればするほど支払った消費税が戻ってくる消費税ポイント還元制度の導入が一番効果のある方法です。
また、2019年10月の消費税10%では初めて軽減税率が導入されました。これは、すばらしい制度で欧州などの消費税先進国も、食料品などの生活必需品はかなり大胆な軽減税率を適応しています。これが今回、日本でも導入されたおかげで景気がかなり悪化をした時は思いきって5%や3%にすることも可能です。
スーパーの消費税還元セールスに長蛇の列をつくる消費者の姿をみたら、消費者は消費税をいかに嫌っているかを実感でき、それを少しでも取り戻せるならポイント還付で、ある程度の水準まで購買力が落ちないようにできると考えています。

実は財務省も含め政財界の幹部は、消費税が消費を減退、デフレを助長させる本源的な要因であることを肌身に感じて正しく認識しています。
ところが政官業の「消費税利権(デフレ利権)」と呼ばれる利権構造があり、大企業、特に勝ち組の大企業の経営者にとっては、消費税による経済停滞が事業拡大、収益拡大といった面で一番好都合なのです。政治家も好景気より若干経済が停滞している方が、財政出動しやすく既得権益の人たちによる票の獲得が容易になって当選しやすくなります。財務省も消費税増税は確実に税収の増加が読め、采配権限が強化されるので、三者の利益が一致する形で消費税を容認、推進してきた背景があります。つまり、口では国民のためと言いながら、実は消費税によるデフレ不況容認の政策を続け、利権構造の維持を優先してきた背景があります。ただ、こうした利権構造は今に始まったことではなく、古くは江戸時代の大阪商人から明治、大正の軍需財閥(軍事産業)、昭和の財閥に至るまで日本の伝統といえるもので、仮に消費税利権がなくなっても、新たな利権が生まれるので、利権があっても国民にとって有益なものに転換する発想が必要になります。
彼らにとって「不都合な真実」である消費を増大し、経済を好転させ、人件費などコストアップにつながる「消費税増税の延期による経済の急拡大」は財政再建が少し遠のく印象があり困る訳で、10%の消費税になれば、経済も徐々に回復、企業にとって無理なく経営を良くできると考えています。10%消費税で経済が暫く足踏みする中、社員の解雇をしやすく、日雇い派遣で非正規の社員の雇用がしやすくなって、企業の経営力が強くなる法環境が整備された後で、事業拡大することを考えているのだと思います。ただ、消費税による作為的なデフレ不況を国民は仕方ないとあきらめても、神様は許さないのではないかと思っています。その証拠に、過去25年間、地震や天候不順、大型台風、竜巻などありとあらゆる自然災害が猛威をふるって、その頻度はますます高くなっています。今までの常識では想像できない貧困層による凶悪な事件も次々と起こって、秋葉原の無差別殺人のような世の行く末を悲観する若者による悪質な事件も増えるでしょう。消費税が悪魔の税金と形容される意味が何となく理解してもらえると思います。
Q3消費税利権の話は消費税が廃止されないどころか、増税決断の理由としてよくわかります。消費税利権の話について、もう少し詳しく具体的に教えてもらえないでしょうか。
まずことわっておきますが、あくまで当研究所の経済分析の中での外部からの観察から類推した話なので、実際、真偽のほどは分からず、あくまで状況証拠での話ということで理解いただければと思います。

また、利権といっても非合法な話でなく、すべてコンプライアンス上は合法的な話であり、一昔前の紙袋に札束を入れて政治家と料亭で密約を交わすといったおどろおどろしい話ではありません。どんな政策でもそれによってメリットを享受できる業界や企業が必ず存在し、逆にマイナスに作用する業界、企業が必ずがあり、政治家は選挙支援、官庁は許認可権の裁量枠拡大と予算増大というメリット、利権を目指します。利権を消費税の強化政策に関係する利害関係集団と呼んだ方が分かりやすいかも知れません。

まず、財政赤字1000兆円の金融利権の分野では、国債を保有する都市銀行から地方銀行、信用金庫、生命保険などほぼすべての金融機関が絡む国債運用利権を上げることができます。皆さんは、中小企業や零細企業に貸し出しをおこなわず、預貸率が年々下がって、50%を切る金融機関もある中で、金融機関はどのようにして資産運用金利、すなわち預金金利の原資を稼いでいたと思いますか。実は10年物国債で0.7%前後の金利で運用、国から得られるその国債の金利収入で金融機関の収益の多くを確保してきたのです。 預金金利は1万の2から5の0.1%にも満たない超低利なので、その差額が営業収益になります。1000兆円の金利であれば、その利権のすごさがご理解いただけると思います。

国から金融機関への金利支払の額、実に年間10兆円、これが国債費として毎年、金融機関へ支払われるのです。防衛費、教育費の二倍の巨額の金利なので、倍返しならぬ防衛・教育の倍支払いで日本の金融機関は潤っているのです。これ全て税金であり、言い換えれば、日本の金融機関は税金で補填を受けて経営を持続できているといえます。この状況で景気が急速に好転して、運用金利が上昇すれば、国債費が上昇するので、政府が困ります。また、金融機関も株式や外国の債券で運用して一時的に高収益が得られても、リスクも高いので、欧州経済の停滞や中国経済崩壊など不安要因が多い中、再びリーマンショックのような問題が起こることを懸念します。かくして消費税によるデフレ 不況の今の現状は適度に互いに心地よい状態を保っており、むしろ、日本銀行がどんどん国債を購入し始めたら、リスク0の安全な国債での運用市場が細るので、まずは消費税を引き上げてデフレを持続させて、金利が低い状態を維持するのが政府、財務省や金融機関にとって都合の良い真実になります。

金融利権以外に国土強靭化利権や円安輸出利権、介護利権、人材ビジネス利権、激安流通利権、貧困対策利権などデフレ不況で事業規模が大きくなり、許認可権の裁量幅の広がりで監督官庁の予算が拡大、不況で活動の規模が大きくなる業界や企業が、消費税による不況の継続を歓迎します。
Q4消費税利権の話は消費税が廃止されないどころか、増税決断の理由としてよくわかります。考えて見れば自由民主党といえば、政官財の利権構造を守って きた戦後レジームの総本山のような政党であり、主にネットの世界でアベノミクスを賛美してきた安倍首相信奉者のアベファンが令和元年10月1日の消費税増税の公表にショックを受けるというアベノショックが起こりました。増税延期の可能性を探るため、今後どのような活動が可能と思いますか。
外交面で優れたリーダーシップを発揮してきた安倍首相の良い面は正しく評価しないといけません。また、消費税の悪いところは、安倍首相も十分に認識して苦渋の決断をしたと思います。今回の増税では閣僚の中でも実力のある麻生副首相の影響が大きかったと考えています。

麻生副首相は総理の時代にリーマンショックを受け、中川財務大臣と組んで優れた経済政策を次々と講じて、リフレ派の代表格のような政治家ですが、当時から消費税10%増税を主張されていた異色の意見の政治家であり、普通の頭では、リフレによる経済成長と増税による財政均衡は矛盾するので両立しないと考えますが、宇宙的な発想、もしかしたらウルトラマンタロウのような無敵の宇宙人かも知れません(笑)が、当時から両立すると確信をもって発言されていたと記憶しています。麻生大臣も消費税増税の怖さを十分に理解しながら、それでも経済成長と増税による財政再建とは両立すると確信されているのでしょう。麻生増税と形容しても良いような財務大臣主導の消費税増税の決断であったとみています。安倍首相本人も経済成長と財政健全をどう両立させるかについてまだ確信的な具体策はないと思います。
Q5消費税決定のプロセスでも、首相や副首相などの関係者は、最初から消費税10%の増税ありきの偏狭な選択から議論を始めており、いかなる国民の声も届かないような気がしますが、消費税減税 を言い続けるメリットはあるのでしょうか。
メリットがあるかどうかという話で言えば、自分自身にはメリットは何もありません。むしろ関連の事業経営にとっては、消費税によるデフレ不況の継続で助成が増え、苦しい経営を多少は楽にできるので、消費税が延期されて景気が良くなれば助成金が削られるのでデメリットの方が若干大きいでしょう。また、周囲からは消費税減税の活動を継続することは、財務省・国税などいろいろな役人から白い目で睨まれるので止めたらという助言も受けています。それでも日本全体で考えたら、消費税増税による不況で貧困層が塗炭の苦しみを受けることを見聞きしてきただけに一人でも多くの方をこうした泥沼の状況から救出できないかと考えています。セーフティネットからも見放されたサイバイバル階層という極貧環境での生活を続けると薄暗い井戸の奥底に閉じ込められた辛い精神状態になります。「ホラー映画の『貞子』の方がまだマシ、だって井戸から這い上がって復讐できるから」という怖いブラックジョークがありますが、極貧生活をおくり続けると精神的被害者意識が相当悪化してルサンチマンが増えると言われています。

家に閉じこもっていても良くないので、街中の大きなショッピングセンターへ行っても買う金がないのでウインドショッピングで楽しむだけで、財布の中は千円か二千円、あるいは小銭のコインだけという状態で交通費も節約のため、近くの駅なら歩きます。考え方によっては、失うものが何も無いことはダイエットにも運動にもなって健康な生活を送れるともいえますが、実際、当事者になるときついものがあります。
当研究所では、外れて欲しい予測ですが、こうした悲惨なサイバイバル階層が消費税10%の増税で企業倒産や失業者も増えるので、百万人前後から2百万人以上に倍増すると予想しています。過去25年間で数十万以上の日本の企業や事業体が倒産や廃業などで世の中から消え、大企業で能力評価されない人たちの雇用の受け皿になっていた中小、零細企業の雇用吸収力が細る中、失業率は2%~3%で人手不足と言われていますが、ハローワークで募集される雇用条件があまりにも悪いので就職することをあきらめる人も多いと思われます。それ故、長引く不況で就職をあきらめた自宅待機組を入れると実際の失業率は全労働者の6%から7%程度と予想しています。

1990年の頃は失業率が2%の完全雇用に近かったことを考えると自宅待機組を入れて、3%から4%、すなわち消費税と同じ程度の失業者が増えたことになります。
勝ち組企業の経営者にとっては、デフレ経済は労働環境の中で従業員を安く雇用でき、家賃などのコストを低減、経営的な戦略自由度は高くなり、ものすごく儲かる経営の仕組みを構築できます。過去25年間のデフレ不況で事業規模を大きくしたのは、ユニクロ、ニトリ、ダイソー、イオン等の低価格路線を突き進んだ企業であり、寡占化が進み、業界一人勝ち企業が増えてきました。世間で騒がれているブラック企業も好景気であれば逆に自然淘汰され消えて行きますが、消費税10%で逆に全ての業界で急増するという予想をしています。
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