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近未来の政治分析から保守革命が静かに進展し政界再編が起こる

2024年4月12日

社会資本研究所

南 洋史郎

覚醒した日本人が増えて雪崩を打って新興の保守政党へ投票する動きが起こる

日本人は普段は大人しく、辛抱強いが、我慢の限界点を超えて覚醒すると突如、静かに黙々と 雪崩(なだれ)を打って一つの方向へ突き進む人が増える不思議な民族と言える。 この突然、 空気が変わって、何かを悟ったように大多数の国民が静かに黙々と大変身する姿を見た時、外国 人は不気味さを覚え、怖さすら感じるらしい。 保守政治への空気の大転換点がいつになるかは 予測し難いが、今年から向こう2年ぐらいで訪(おとず)れる気がしている。 SNSの登場で 既存メディアの情報の影響力が落ちる中、ユーチューブやニコニコなどで容易に政治の動きを学 べる環境が整(ととの)ってきたこともその傾向に拍車をかけている気がしている。

実際、昨年10月以降、本格的な保守系政党として日本保守党という強力な新興の政党があら われ、一昨年は参政党が急速に党員数を増やし、多くの聴衆の注目を集める中、1名の参議院議 員を輩出、得票数で国政政党になっている。 保守という定義を「日本の伝統を重んじ、日本人 の日本人による日本人のための政治を推進する政治集団」と考えれば、社会主義思想に近いが、 れいわ新選組も保守ではないかという意見もある。 また、日本維新の会は、れいわ新選組と対 極をなす、グローバリズムと妥協する資本主義的な保守という見方もあるが、自民党と同じリベ ラルという意見があり、人により評価が大きく異なる。 中立色の強い保守系政党として、国民 民主党が注目されたが、コロコロと主張やスタンスが変わり、一貫性がなく、保守とは言えない という厳しい意見もある。

昨年6月に自民党がLGBT法案を可決したことに危機感を感じた岩盤保守層も多かったが、 LGBT法案の是非を基準とすれば、それを契機に政党の立ち上げを決意した日本保守党と唯一 法案に反対した参政党だけが真の保守政党だという見方もでている。 今後、この2つの政党の 動きには目が離せない。 また、党議拘束でLGBT法案に賛成せざるを得なかったが、自民党 の保守勢力、その中でも高市大臣を中心とする自民党議員を救国の保守勢力として支援する動き も強まっている。 政治資金問題で、岸田首相による清和会などの政敵幹部を狙い撃ちにした政 治行動に批判が集まっており、9月の総裁選で岸田首相が自民党の選挙の顔として再選される可 能性は低くなっている。 そこで、政敵潰(つぶ)しの目途がついた岸田首相が、国会閉会前の 6月に衆議院を解散して政権の延命を図る可能性が強まったという見方もでており、その時に自 由民主党がどんな選挙戦を戦えるのかが注目されている。 岸田政権の支持率の低さから、解散 総選挙をしても自民党が議席を失い、与党から脱落する見方が強く、野党は歓迎、与党の自民と 公明は反対となっている。 果たして、それでも岸田首相が解散総選挙をおこなうのかが注目の 的となっている。

解散総選挙で厳しいアンチ批判に耐え抜いた参政党が新たな保守系野党で活躍する

参政党は、昨年6月以降、神谷代表の党運営への不満や愛人スキャンダル疑惑から幹部が去り、 党員も減り、保守論壇で有名な先生からネット上で厳しく批判され、 党存続も難しくなるのでは と注目してきた。 ところが、党員の団結力が意外に強く、むしろ「雨降って地固まる」の例え のように結束力や組織力が強化された様相となっている。 党を創業した神谷代表は40歳半ば と若いが、意外と冷静で挑発に乗らず、法的な対策にも長(た)けている。 また、最近の参議 院の財政金融委員会で、日銀総裁相手に国益を守るための質疑や提言をおこない、 保守の政治家 としてきちっと仕事をこなしている。 国会中継でやたら的外れの批判や非難を繰り返すガラの 悪い野党議員を見慣れたものとして、礼儀正しいが、ズバッと核心を突く質問や意見をおこなう 政治姿勢は立派であり、自民党や野党からすれば、手ごわい相手と見えるのではないだろうか。

参政党は、アンチの猛烈な批判を受けながらも、昨年の秋以降、地方議員が次々と当選し続け、 着実に実績を積み上げており、既に136名の市区町村議員、5名の都道府県議員の政治集団を 形成している。 全国3万人近い市区町村議員のうち三分の二の2万人が無所属、残り1万人の うち公明、共産、自民が2千名を超え、維新、立憲、社民が140名から170名しかいない中、 わずか2年の短期間でこれほど多くの地方議員を輩出するとは驚きである。 衆議院解散で選挙 がいつあっても、100名を超える候補者を擁立できる資金力と戦闘力を保持し、それでも政治 の世界は厳しく、比例で数名の当選者しか確保できないと冷静な分析もしている。 ただ、今度 の選挙でもしも保守政治への空気が変わる大転換点が起これば、保守系政党として一気に数十名 以上の衆議院の議員集団を形成する可能性もでてきている。

一般にベンチャー企業や新しく成長する組織には、「超人」と「たぬき」、「銀行家」の3つの役割を持つ人材が必要と言われる。 「超人」とは、普通の常識をはるかに超える発想や理想、目標を掲げ、それに向かってひたすら突き進む逸材(いつざい)であり、 周囲、特に既得権益の人たちからクレージー扱いをされて、馬鹿にされることもあるが、それをものともせず、ひたすら突き進むエネルギーやパワーをもつタフなリーダーを意味する。  「たぬき」とは、良い方向へ組織を導く権謀術数(けんぼうじゅっすう)の才に優れ、様々な人々とうまく交渉をまとめ、良好な関係を築き上げる組織力を持った人材である。  「銀行家」とは、超人が主張する組織の方向性を理解し、銀行経営者のように人々から資金を集め、それを超人が進める事業サービスへ投資を行い、組織が常に持続できるように資金繰りを助ける役割の人材となる。  参政党を保守系の政治ベンチャーとみれば、神谷党首は「超人」だが、「たぬき」と「銀行家」の役割を演じられる人材が欠乏しているのであろう。  今後、衆議院議員を数名、場合によって数十名以上輩出(はいしゅつ)できた暁(あかつき)には、保守政治の理想を実現するための国政に専念するため、 事務局長など党運営に「たぬき」や「銀行家」の逸材を探すことができれば、短期間で野党第一党にまで上り詰めるのかも知れない。  なお、国会に数名以上の議員を送り込めるようになれば、政党として厳しい批判や批評にも丁寧に耳を傾ける謙虚な姿勢、態度が党首や党幹部にも求められるようになる。  今後、参政党の組織が政治ベンチャーの域を脱し、大きくなる中で超人リーダーの役割も変化、その時は党首交代も起こりうるのであろう。

日本保守党によるお茶の間選挙活動で幅広い保守の支持を獲得できるようになった

SNSとリアルな選挙活動の現場を組み合わせた日本保守党独自のユニークな「お茶の間選挙 活動」に注目している。 4月16日告示、28日投票の東京15区の江東区の衆議院議員補欠 選挙で、その数か月以上前からその地域での知名度を上げるために政党支部長としての政党活動 が認められており、選挙活動が始まっている。 日本保守党はユーチューブの保守論客で有名に なった飯山あかり先生を15区の支部長として擁立、長い間、地道な活動を続けてきた維新と比 べ、わずか1か月前から党の選挙活動を始めた。

全国的に知名度の高いベストセラー作家の百田先生が党首、虎の門ニュースで有名になった有 本先生が事務総長という夫婦(みようと)漫才のような強烈キャラのお二人が、 月曜から金曜ま で「あさ8」という番組で、時事ネタトークの合間に選挙活動における事務所開設から嫌がらせ エピソードなどの苦労話を赤裸々に披露している。 さらに、ライブ中継でも様々な選挙ネタを 取り上げているが、そのくだらない、たわいもない話に聞き入る視聴者が増えている。 つまり どの政党も今まで取り上げてこなかった選挙活動のドロドロしたリアルな裏話が面白いのである。 なぜ面白いのか、選挙なんて自分たち庶民とは無縁な世界と思っていたが、身近なリアルな話を 聞くことで、自分たちも政党を立ち上げ、選挙を始めたらこうなるのかという疑似体験ができる からである。 実況中継を聞き、選挙を身近に感じ、参加しているような錯覚におちいる仕掛け となっており、これを「お茶の間選挙活動」と呼べば、まさに常識外れの素人集団の強みで新し いスタイルの選挙活動に魅力を感じる人が増えているのである。

この「お茶の間選挙活動」の効果、破壊力は相当なものではないかとみている。 つまり、江 東区民からすれば、自分たちが住んでいる東京でもマイナーな下町エリアが、突然、全国でも有 名な地域として注目され、スポットライトを浴びている錯覚におちいる訳で、逆にそのきっかけ をつくってくれた日本保守党に俄然(がぜん)関心を示すようになるのである。 江東区には、 人情味のある江戸っ子も多く住んでおり、自意識過剰になって、こうなると日本保守党の候補を 落選させる訳にはいかない、一肌脱ごうではないかと勝手に思い込むおめでたい人もあらわれる ような気がしている。 その結果、投票率が上昇、多くの地域住民が密かに日本保守党を応援す るのではないかとみている。 つまり、日本保守党というだけでトップ当選となる可能性がでて きているのである。 また、この様子がユーチューブで拡散されることで、日本全国いろいろな 地域でおらが町にも日本保守党が来たら応援するよという気持ちが高まり、その宣伝効果は絶大 ではないかと思えるのである。 これからの選挙活動では、SNS有名人による「お茶の間選挙 活動」が一つの有力な選挙手法になるのかも知れない。

訪米で持ち上げられた岸田首相が錯覚して自爆解散をおこなう可能性がでてきた

4月11日の米国議会での岸田首相による英語のスピーチは事前に相当練習したのであろう、 内容も良く練(ね)れており、結構上手(うま)かった。 ただ、英語がいくら上手でも、われ われ日本人からすれば、何か釈然(しゃくぜん)としない思いがでてくるのはなぜだろうか。 それはスピーチ内容があまりにも大統領選最中(さなか)の民主党の選挙事情を慮(おもんばか) った民主党のための日本の存在をアピールしたからではないかと感じている。 ウクライナへの巨額資金支援、日本企業による米国投資による雇用創出、日本が米国と国防を一緒になって強化 するというスピーチの内容そのものに異論はないが、なぜか心に響かないのである。 米国の月 面探査プロジェクトで月へ日本人と日系人を2名送り込むという話も、本来ならすごいことだと 思うのだが、何かのご褒美をアメリカからもらったような気がして、素直に喜べないのである。 米国議会の議員たちからも米国の同盟国として優等生的な良い話を聞かせてもらったという雰囲 気はあったが、安倍首相の時のような感動の熱気は感じられなかった。 人に対する思いや感情 は万国共通なのであろう。

今回の訪米で岸田首相ご自身は相当に気を良くされたのではないだろうか。 何事も慎重な首 相のご性格からすると解散総選挙は避けたいというのが本音だと思うし、 今回の訪米の自己評価 は非の打ちどころのない満点と感じているのではないかと勝手に推察している。 よくよく考え てみたら、株価は30年ぶりの高値で4万円を超え、円安のお陰で大企業の業績は好調、 日米組 んでの中国リスク対策も強化されて、弱いものが強いものに対して文句を言うルサンチマンはど の時代、どの世の中でも存在するので、弱気は駄目、 強気で政治の舵取りをしなきゃ、もっと心 を強くして頑張れと首相自ら叱咤激励し覚醒されているのかも知れないのである。

この首相の覚醒は様々な政治局面に影響を及ぼすとみている。 東京15区、島根1区、長崎 3区の4月28日の補欠選挙では、島根1区のみ自民候補がでて、予断を許さない状況であるが、 仮に負けても、支持率の調査結果がさらに低くなっても、9月総裁選の再任を天秤にかけ、6月 解散総選挙を牽制(けんせい)材料として利用するのではないかとみている。 つまり、9月の 総裁選再任がなければ、党内で6月解散をほのめかすかも知れないのである。 そうなれば、自 爆解散の様相を呈するが、本人は自爆解散とは一切思っていないであろう。 国民は忘れやすく、 6月頃になれば、政治資金の問題は人々の記憶から遠ざかり、「寄らば大樹の自民の陰」という 国民心理がもどり、それをうまく利用して、解散総選挙でも自民党は過半数を確保できると読ん でいるのでないだろうか。

保守政治への空気の大転換が起これば6月解散総選挙で自民党は与党から脱落する

岸田首相の思い通りに6月解散総選挙で自民党が過半数を維持できるかどうかは未知数である が、 保守政治への空気の大転換が起こった場合、自民党はかなり苦戦、過半数がとれず、公明と 組んでも過半数を割り込む可能性が極めて高くなるとみている。 それを占(うらな)う重要な 判断ポイントが「増税懸念の払拭(ふっしょく)」と「積極財政への政策転換」ではないかとみ ている。 ことあるごとに消費税15%への引き上げ懸念がネット上で騒がれ、昨年、経団連が 消費税引き上げを提言した時は、ネット上で厳しい反論が続出、炎上している。 IMFは、過 去一貫して消費税増税の提言をしてきたが、選挙までにそうした話が少しでも出てきた時は、財 務省と近い岸田首相なら増税をやりかねないという懸念から、世論は一気にアンチ自民に傾くと みている。 さらに選挙前に減税や公共投資の大幅な拡大など積極財政へ政策転換を匂わせるア ピールができなければ、選挙が過ぎたらやはり増税かなという懸念が高まり、 選挙で苦戦するこ とになるのではと予想している。 国民は忘れやすいかも知れないが、さすがに政治とカネの問 題やLGBT法案の強引(ごういん)可決、インボイス制度などの様々な国民負担の増加につい てはよく覚えている。 これらが選挙でマイナスに働くことは間違いない。

さらに日本の岩盤保守層は、岸田首相による民主党のバイデン政権べったりのリベラル路線に NOという感情が強く、むしろ保守的な共和党のトランプを支持する声が強い。 一方、日本の 新聞テレビのマスコミや経済界、中央官庁の官僚などは、共和党のトランプを敬遠する傾向が強 く、日本におけるトランプ人気の報道は少ないが、米国では支持率でトランプ有利が続いており、 バイデンの年齢や健康問題もあり、2024年11月の大統領選は、トランプが大統領に返り咲 く可能性が極めて高いとみられている。 トランプになると日米同盟堅持のためには憲法9条の 改憲が必須となり、日本へも核武装や防衛費の負担増加など厳しい要求が次々と突き付けられる 可能性がでてくるのであろう。 また、財務省など日本の官僚組織が、 米国のようなディープス テートとして暗躍してきたのではという疑念もあり、バイデンや財務省と関係の深い岸田首相を トランプが毛嫌いして良好な関係を築けないのではないかという懸念もでている。 従って、自 民党内でも9月総裁選に岸田首相の再任に難色を示す動きはでてくるのではないかとみている。

以上の政治変化の分析から、日本では、今後10年以上にわたって保守革命と呼べる大きな変 化が静かに進展していき、その中で自民党は与党として生き残りをかけ、リベラル体制から保守 体制へ大転換を図るのではないかとみている。 その時の鍵となるリーダー、総裁は、高市大臣 一択になるのではという見方をしており、逆に言えば、9月の総裁選で高市総裁を選出できず、 それ以外のいかなる候補であっても、自民党は選挙で新興の保守政党である日本保守党や参政党 などに議席を奪われ続けるのではないかとみている。 この2つの政党は、ベンチャー的な存在 で今のところ自民党にとってはなんら脅威でなく、吹けば飛ぶような存在であるが、したたかな 賢い戦略を駆使しており、侮(あなど)っていたら、保守政党への空気の大転換で、選挙のたび に急激に議席を拡大するのではないかと予想している。 現段階ではまさかという話になると思 うが、向こう数年以内に参政党か日本保守党など保守系野党の連携協力がなければ、自民党が与 党として過半数を維持できなくなる日もやってくるとみている。 もし6月に自爆解散があれば、 その日は案外近づくのかも知れない。

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