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正しい大局観のあるリーダーのみが日本を豊かに強くできる

2024年6月10日

社会資本研究所

南 洋史郎

優れた大局観のある政治リーダーが活躍する国は栄え国民は豊かに強くなれる

社会や市場の全体の流れを俯瞰(ふかん)して、その大きな流れや動きの行き着く先の未来を見すえ、これからどのように物事を判断して行動すべきかを考えることを「大局観」(たいきょくかん)と呼んでいる。  優れた大局観の能力を磨くためには、これから人類にとってどのような未来を創(つく)るべきか、どのような社会をつくれば人類は幸せになるのかといった神レベルの壮大な発想で日々の物事を考える習慣が必要と言われる。  しかし、そのような壮大な発想で物事を考え過ぎると時に浮世離れした宗教的な精神世界や共産主義の極左、国粋(こくすい)主義の極右のような著(いちじる)しく偏ったイデオロギーにのめり込むこともある。  従って、様々な実体験による問題認識から、現実をよく理解した上で、地に足の着いたバランス感覚のある大局観をもつことがいかに大事かということもわかってくる。

業績が良い会社、長く繁栄し続ける国家には、優れた正しい大局観をもつ経営トップや政治リーダーが活躍していることが多い。  逆に言えば、大局観がなく、面子(めんつ)や枝葉末節(しようまっせつ)な事柄にこだわり、場当たり的な対応しかできない経営トップや政治リーダーは、組織を壊し、人を駄目にし、会社や国を滅ぼす確率が高くなると言われる。  正しい大局観をもつためには、人への深い観察力や洞察力をもち、率先して人のためになることを心がける利他の精神を養(やしな)い、これからの社会変化や市場ニーズ、技術発展がどうなるかに思いを巡(めぐ)らす必要がある。  さらにその変化を先取りできる理想的な事業経営や国家運営はどうあるべきかを考え、そのあるべき理想の姿と現実との間に大きな隔たり、ギャップがある中で、ひるまず理想を追求する信念をもち、焦(あせ)らず、慌(あわ)てず、一歩一歩、前に踏み出す勇気と行動力が求められるのである。

ただ、大局観を云々しても、日々の生活に齷齪(あくせく)する大方の人たちにとってそれは無縁のものであり、大局観をもって生きる人は1割もいないのではないだろうか。  さらに先を見据えて生きる人でも、個々の考え方、物事のとらえ方は千差万別で10人いれば10通りの大局観が存在する。 社会、市場、技術の変化によって、その大局観を変えないといけない時期もやってくる。  いろいろな大局観の見方、考え方の中で、多く人が説明を聞いて論理的に納得でき、共鳴できる大局観を正しい大局観だと信じる人もいる。  ところが大方の人が納得できない、何を言っているのかわからないと反発される大局観にこそ、真理があり、時間の経過とともにその正しさが証明されることもある。  要は、正しい大局観とは、極めて属人的で計り知れないが、稀(まれ)にそれをもっている人が実在する。 実際、世の中がその通りに変化するので、いつの間にか、その人を神のように崇(あが)め、信じてついていく人たちが増える。  首相がその人なら、その政党は選挙で勝ち続け、長期政権を維持できるのである。

日本の政治リーダーである岸田首相が正しい大局観をもっているかを考えてみる

自民党はもともと保守よりリベラルな議員が多数を占める政党であり、安倍政権になって一時保守色が強くなったが、安倍首相亡き後、再びリベラル色が濃くなっている。  リベラル色が強くなった岸田政権では、2022年の名目賃金の伸び率は2%、実質賃金はマイナス1%であったが、消費者物価指数は2020年を100とすると2022年に上昇を始めて104となり、 2023年に名目賃金の伸び率は0.8%へ減少、実質賃金はマイナス2.5%を記録、消費者物価指数は107となり、2年間で7ポイントも上昇した。  その結果、1990年から30年を経て欧米の実質賃金が3割から4割以上も上がる中、日本の実質賃金は全く増えず、岸田政権では過去最低を記録している。

GDPの成長のためには国民の可処分所得が増え、消費を増やさないといけないが、そのためには社会保障と消費税を含む租税の負担率を下げる必要がでてくる。  ところが1990年から30年間で消費税は3%から10%まで上がり、国民負担率は47%となり、33年前に比べて15%も重くなっている。  ドイツや英国の国民負担率も5割前後だが、実質賃金も上がっているので日本ほど重税感はない。 2021年のOECD統計で、日本の相対的貧困率は16%弱を記録、15%の米国や韓国より悪く、G7最低となっている。  過去30年間の実質GDPの推移の比較では、日本は2割強しか伸びず、ドイツやフランスが5割以上、英国は7割も伸び、米国は10割の倍増となっている。  つまり、過去30年間における自民党政治で直近の完全失業率は2.6%前後と低い数字を推移、完全失業者は180万人前後にとどまっているが、生活苦を訴える国民は増え続けているのである。

政治リーダーである首相は、当然、大局観を持って政策を推し進めないと国民のための政治はできないが、不思議と誤った大局観で間違った政策を推し進め、その結果、うまくいかず、国民から不人気な政治家ほど大局観が大事という。  正しい大局観で正しい政策を国会で通過させ、その結果、国際的な日本の存在感を高め、国内経済が成長し、国民生活を豊かにできた政治家は、わざわざ大局観の大切さを強調する必要はない。  前者が岸田首相、後者が安倍首相のケースといえば、異論を唱(とな)える人は少ないであろう。 岸田首相による過去3年足らずの政治を振り返ると正しい大局観をもって、国民を豊かにする政策をとってきたとは言い難い。

売国的な政治を続ける岸田首相へ国民の不満が高まり自民党への風当たりも強まる

唐突にLGBT法案成立に躍起となり、政治資金の問題では自身の責任所在に触れず、仲間の自民党議員を大量に処分、さらに身内を利するインドネシアなど外国移民の積極受け入れに熱心で、そのための移民法の改正案が今国会で通過する見込みである。  2024年問題により労働規制が厳しく、物流業界で運送業者が人手不足となる中、残業規制で若くて長時間働ける人たちの手取り収入は増えないであろう。 安価な労賃でドライバーとして働く移民が増えると日本の運転手の時間給、月給のアップは考えにくい。  国民が苦しい生活を強いられる中、米国のバイデン政権へ媚びるようにウクライナへ数兆円を超える巨額の資金支援を約束、昨年3月は千億円を超える月間のODAのうち5百億円を供与している。  岸田政権になりウクライナ以外の外国へのODA支援も増え続け、ネット上では企業との利権疑惑も囁(ささや)かれている。

日本へ横暴で非礼な態度を続ける中国に対しても弱腰姿勢が続き、超限戦で中国による日本への本格的な経済侵略が危惧されても、中国政府による日本の不動産の買い占めに政府は何も有効な対策を講じてこなかった。  それどころか先月には、運用資産規模190兆円をほこる中国の政府系ファンドの中国投資CICが日本の優秀な中小企業を次々と買収すると公表している。  中国共産党が、堂々と本格的な日本への経済侵略を宣言し、自民党の8割が親中、媚中で売国議員だと噂される中、中国共産党のやりたい放題で、日本の国富である不動産や水などの天然資源、太陽光発電だけでなく、中小企業まで買い占めようとしているのである。

また、日本は国連中心の外交をおこなう中、輸入関税はWTOルールに配慮して相手国との紛争を極力避け、中国の度重なるダンピング疑惑の輸入品に対して何も言えない弱腰姿勢が続いてきた。  その結果、過去20年以上、日本市場を席巻する大量の安価な中国製品が日本市場にあふれ、その影響で多くの日本企業が国内生産をあきらめ、廃業、海外シフトせざるを得なくなったが、今もその弱腰姿勢は続いている。  最近もTV用の大型液晶パネルでシャープが安価な中国製の輸入攻勢に敗れ、大赤字を出し撤退を決めたが、これでTV向け大型液晶パネルを国内生産できる大手メーカーは完全消滅となる。  自民党や経産省は、国内メーカー保護に消極的で、不当に安価な中国製の輸入品でも関税引き上げの対抗処置をとらず、その結果、太陽光パネルやローエンド3次元プリンターなど国内メーカーが国内生産を断念する状況が続いてきた。  もし大型液晶パネルの国内生産の存続が大事と思うなら、シャープの撤退の判断を撤回させるため輸入関税の大幅引き上げに着手すべきであるが、岸田政権には期待できないであろう。

中国の武漢発のコロナ感染によるパンデミックは、WHO(世界保健機関)の対策が後手に回り、その反省からパンデミック条約を各国と取り交わし、WHOが指導的な強い立場で各国政府にワクチンを強制させ、 発展途上国へ先進国の先端医療を無償提供させる国際ルールを取り決めようと画策している。 国連は中国を発展途上国と定義し、そのメリットを享受できる国の一つにしているが、米国は共和党議員が条約締結に反対、日本も厚労省の条約締結に反対する運動が起こっている。  5月31日の東京日比谷の4万人の反対集会は圧巻であり、6月1日のWHO総会で交渉期限を1年延長することとなった。  万一にもこの条約を日本が批准すれば、再び中国で生物兵器と疑わしきウイルス感染が起こった時、WHOが対策を指示して、勝手にその国の経済を止め、国民行動を規制できるようになる。  一方で最先端医療は、欧米日の先進国から中国など途上国へ無償提供されるので、途上国で逆に貧者の兵器である生物兵器のウイルス開発を促すかも知れない恐ろしい事態も想定されるのである。  岸田政権がこの問題を取り上げた政府見解を述べず、無視した状態となっており、政権や自民党に対する不満の声は強まっている。

以上より岸田政権の政治を総括すれば「日本や国民を強く豊かにする」という理念は全く感じられず、厳しい表現だが「日本や国民を弱く貧しくした」3年間だったと評価せざるを得ない。  これではいくら所得減税をしても、内閣支持率が上がるとは考えにくく、20%台を維持できているがネット上で飛び交う批判は辛辣(しんらつ)である。  岸田首相が6月の解散総選挙を断念したという話が新聞紙上をにぎわしたが、確かに万一でも解散すれば、自公で過半数を割るどころか、三分の一へ激減する可能性もあり、腹心の部下の木原副幹事長も落選する可能性があると言われる。  国民の岸田政権や自民党に対する怒りは相当に大きく、9月の総裁選で新しい総裁が選ばれ、10月に解散しても選挙で自公が過半数を取れない事態も想定される。

 

自民党は政党生き残りをかけてどのような正しい大局観を共有すべきであろうか

政治リーダーや政党にとって正しい大局観とは何か、それをどう共有すれば良いかについて考えてみたい。 今まで述べた岸田首相に対する厳しい評価につながった経済政策、国防政策の2つの分野について、 どんな大局観をもった政策をおこなえば、日本や国民が強く豊かになれたのか、私見になるが参考として紹介してみたい。 まず、日本経済を飛躍的に成長させる政策は、欧米はあまり参考にならず、日本自らの知恵で独自の政策を推し進める必要があると考える。  なぜなら、日本ほど恵まれた経済状況の国は少なく、社会投資分野で資金を循環させ、信用創造で投資をさらに増やすノウハウのある積極財政志向の政治家が財務担当になれば、日本のGDPを短期間で千兆円以上に拡大させることができると考えるからである。  鍵は社会資本への投資を推進するエンジン役となる新たな省庁の設置であり、財務省の歳出行政をつかさどる理財局や主計局などを分離独立させた国富省を新たに創設する必要があったとみている。

2千兆円を超える国民金融資産、4千兆円近い国富、正味資産があり、470兆円の対外純資産は33年連続世界一、円安でその金額は急増している。  石油や天然ガスなど円換算の輸入額の急増で2023年の貿易収支は6兆円の赤字だが、海外から投資配当など所得収支が35兆円余りあり、差し引き25兆円の経常収支の黒字となっている。  日本は円安になり輸入額が膨(ふく)らんでも、輸出額も同様に拡大、海外からの投資配当など円収入も増加、円安が国富拡大となる豊かな海外資産も保有している。  円安になると海外から国内へ輸入する製品や資材、天然資源、食糧などの物価も上がり、電力料金や材料費などが値上がりすることになる。 そこで政府が推進すべき政策は、原子力発電所の再稼働であり、優れたCO2の分離回収技術をもった石炭火力発電所を増設することである。  エネルギー安全保障から一定割合の石炭の国内調達も推進する必要がある。 食糧の輸入対策では、トウモロコシ、小麦など穀物価格の抑制のために海外の調達ルートの多様化と安全保障の見地から休耕地等での国内栽培の促進も必要となろう。

国防面では、中国の人民解放軍による台湾有事の武力侵略の脅威が高まる中、中国共産党政府は、日本や台湾に対し超限戦と呼ばれる心理戦や諜報工作、メディアの情報操作、金融市場のかく乱、経済進出による間接支配など一般の人も巻き込む複合的な戦いを主張している。  この中国による武力以外の侵略行為から日本を守るためにスパイ防止法など対抗手段となる政策が必要となっている。  さらに憲法9条改正が必要であり、国防軍としての自衛隊の役割を明示するだけでなく、経済や金融など日常の社会活動でも、不当な攻撃、侵略的な行為があった場合、有効な対抗手段をもって国を守ることを条文に盛り込む必要があると考える。  中国軍による挑発行為が軍事衝突にまで発展しないように冷静な対応を心がける必要はあるが、万一武力衝突が起こった場合、戦争終結を早めるために相手の戦意を早期に喪失させる徹底的な反撃オペレーションも必要となる。  また、国防を念頭に置いた外交交渉では、中国から弱腰と思われ、無理難題を押し付けられないようにその都度、相手にきちっと善処を申し入れないといけない。 これは国防のあるべき姿であるが、大局観ではなく、防衛方針の考え方に過ぎない。  大局観で考えるためには、世の中がこれからどのような国防のための防衛体制に変化するのかを予測しないといけない。 国防では、武力衝突はできるだけ避けないといけないが、万一回避できないと判断できる場合は、必ず勝てるという自信につなげる国防体制を構築する必要がある。

その鍵は、万一武力衝突が起こっても相手の攻撃兵器のミサイルに対して「完全防衛システム網」を構築することである。 そのために相手の攻撃ミサイルを100%阻止する迎撃ミサイル体制を確立しないといけない。  また、軍事兵器の「有人化から省人化、無人化への技術開発」を強力に推し進める必要もでてくる。 例えば、潜水艦の乗員が50人なら、新艦開発では、防衛力を落とさず、むしろアップさせて25人の半数以下で省人化を可能にする技術開発が必要になる。  さらに広範な領海を遠隔操作で巡視できる海上巡視ドローンを新たに開発、技術的に無人化できる分野はどんどん無人化を進めるのである。  要は万一武力衝突が起こっても、極力、自分たちが死なない、相手を殺さない戦いの仕組みをつくり、戦いによる人命損失や武器破損を最小限に食い止める方法を模索するのである。  さらに戦いに挑(いど)む相手の戦意を早期に喪失させ、早い時期に戦争を終結させる「停戦終戦シナリオ」を関係国との間で事前によく練る必要もあろう。  例えば、EU主要国や米国との間で、台湾有事が起こった場合、SWIFTからの中国の通貨元の完全排除や中国政府と共産党幹部の莫大な海外資産の凍結、没収リストの作成と厳しい経済制裁処置を事前に具体的に取り決めておくことも大事になってくる。

9月の総裁選で高市総裁候補以外の新総裁が選出されれば自民党は終末を迎える

岸田政権の3年間ですっかり国民から愛想を尽かされ、不人気となった自民党にとって9月の総裁選は党存続にとってラストチャンスといえる厳しいものとなる見込みである。  複数候補が擁立(ようりつ)されて戦うことになるが、岩盤保守層より亡き安倍首相の後継者として絶大な人気をほこる高市総裁候補を自民党が新総裁として選出できない場合、新たに自民党の総裁となる方は誰であろうと10月の解散総選挙では惨敗する可能性が高い。  そこで解散総選挙を避け、来年秋までの1年間の短命政権として首相として采配を振るうことになると予想されている。  それまでは、憲法改正を発議できる3分の2の議席は確保できるので、新総裁のもとで自民党は終末を迎えるが、そこで最後の生き残りのチャンスを賭けて3つの冒険にでると予想している。

一つ目は自民党結党以来の一丁目一番地である憲法9条の初改正である。  それ以外の条項改正も議論の俎上(そじょう)に上がるだろうが、何もかも一気に改正しようとすれば、保守層の猛烈な反発を受けるので、まずは9条に絞って改正を成立させることで、自民党保守層の求心力を一気に回復させることを目指すのであろう。  二つ目は健全財政の原則、赤字公債の発行禁止の原則を規定する財政法4条の廃止である。 これからGDP千兆円超えを目指し社会資本への思い切った投資のために国富省のような組織をつくり、莫大な資金の調達を推進できるようにするためには、 終戦直後の誤った法律で、ザイム真理教の経典となっている財政法4条の撤廃をおこなう必要があろう。 三つ目は日本版の台湾旅行法の制定により高級官僚や政府要人の相互の訪問を促進する法律を成立させることである。  それ以外にも中国の横暴をその都度しっかりと牽制する外交姿勢が求められるが、これら3つは保守層が長年夢に見続けてきたものであり、3つのうち1つか、2つでも成立できれば御の字であり、 3つ全てを成立できれば、その首相のもとで来年秋までの解散、あるいは任期満了の総選挙で、自民党が再び圧勝できる可能性は高くなるとみている。 高市総裁であれば、上記3つ以外にスパイ防止法や外国人土地購入規制法など中国の経済侵略を防ぐ法案も通すとみている。  いずれにせよ日本の未来選択は、情けないことに大局観があるとは思えない、頼りない自民党に託さざるを得ないのである。

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