お問合わせ
06-4708-8655

金融資本の機関投資家の動きを追えば株式投資の未来が見える

2024年8月7日

社会資本研究所

南 洋史郎

短期の株式投資は投機の博打であり、株価の乱高下に一喜一憂するのは愚かである

7月24日からパリでオリンピックが始まり、8月12日まで日本中、いや世界中が、連日、各国選手のメダルを目指し戦う姿に熱狂する中、 8月5日の月曜にブラックマンデーの再来と呼べる株価大暴落が起こった。 東京や韓国、台湾の株式市場で暴落が起こり、次にロンドン市場やニューヨーク市場の株価も多少は値を下げた。  特に東京市場の暴落は記録的で、わずか1か月前の7月11日に日経平均が4万2千円超えの最高値を記録してから1ヵ月も経過しない8月5日に3万1千円強まで1万1千円も25%超えで値下がりしている。  経済の先行きが不安だとテレビ報道は大騒ぎ、株式投資への不安心理を駆り立てている。 ところが、翌6日に日経平均は3万5千円近くまで値を戻し、ニューヨーク証券市場のNY(ニューヨーク)ダウも数日前の4万1千ドルから3万8千ドルの値下げでとどまっている。

結論から言えば、今回の株価暴落は投機筋の大掛かりな相場操作の可能性が極めて大きいとみている。  従って、そのような犯罪性の高い博打(ばくち)相場に右往左往する必要は全く無いのではないだろうか。  債権の先物取引の大阪証券取引所では、サーキットブレーカーという価格変動が大きすぎる時に発動される取引制限があったが、先物市場で投機の動きがあったという証拠にもなっている。  株式市場で1か月の短期間で日経平均が25%以上も下げ、わずか一日で10%も値を上げる株価の乱高下は、大規模なプロの投機筋、仕手筋による市場操作の可能性が高いと分析している。  意識的、人為的に相場を変動させる「相場操縦行為」は、金融商品取引法では違法で懲役や高額罰金の対象であり、法人でそのような違法行為に加担した場合、巨額の損害賠償請求も受けることになる。  普通のリスク感覚をもった政権なら、国内外の大手の投機筋がさらに暴れないように金融庁や財務省へ指示して、主だった機関投資家へ市場取引の実態や脱税の調査に出向くように指示するであろう。  ただ、終末状態の岸田政権にそれを期待することは酷といえる。 逆に言えば、自民党の総裁選前の政治空白とオリンピックで熱狂するこの時期だからこそ、大手の機関投資家の投機筋が暴れたのではないだろうか。  ただ、これ以上の悪さはしないように金融庁が速やかに調査をする必要はあるのであろう。

もし日本の株式市場が本当に危ないのなら、日本企業の株価が業績実態と比べ、異常に高いバブルの状態でないと今回の株価の暴落は理解し難く不可解である。  ニューヨークやロンドンの株式市場の米国企業や欧州企業の株価に比べ、日本市場で取引される日本企業の株価は理論株価より低く、割安なものが多く、それが暴落の要因なら、バブル崩壊の暴落を懸念すべきはむしろ米国や欧州の株式市場の方である。  例えば、株式市場で人気のトヨタの理論株価は、株価収益率(PER)でみた時に株価が1株当たり純利益の何倍かを示す指標がPERであり、その値が10倍になっているため3200円あたりが妥当な理論値となる。  ところが実際の取引価格は2500円で割安である。 さらにトヨタの理論株価を株価純資産倍率(PBR)で見た時は、株価が1株当たりの純資産の何倍かを示す指標がPBRであり、その値が1.3倍になっているため、3400円あたりが妥当な価格となる。  結局、両方の指標でみてもトヨタの株価は割安となっている。 同様にホンダや日産、マツダといった自動車メーカーの株価も割安であり、他の業界の日本企業の株価も押し並べて理論値より割安なものが多い。

一方、米国企業で株価がバブル評価となっている銘柄は多い。 例えば、AIブーム到来で次世代の半導体企業として、 飛ぶ鳥を落とす勢いの急成長の銘柄となっているエヌビディアの株価収益率PERは60倍、株価純資産倍率PBRは50倍となっている。  同様にテスラのPERは56倍、PBRは10倍である。 業績が安定しているグーグルの持ち株会社アルファベットも連結のPERは27倍、PBRは7倍となっている。  多くの米国企業の株価は、日本企業と比べると割高感が強く、いくら成長見込みが大きくても、理論株価と比べて割高な銘柄が多い。  つまり、景気が落ち込めば、米国企業の中で株価が暴落する確率は日本より高く、FRBが8月から9月にかけて5.5%の政策金利を引き下げたとしても、日本と比べて米国の株式市場が上向く可能性は低い。  つまり、株価暴落を危惧すべきは米国市場の方であり、理論株価に比べて実際の株価に割安感がある日本市場は、日経平均が4万円どころか5万円を超えてもおかしくないと分析している。

金融資本の短期の投機市場の覇者のヘッジファンドや機関投資家の動きは胡散臭い

短期の株式投資は投機の博打そのものであり、パチンコや競馬、競輪などの射幸性の高いギャンブルと何ら変わりない。 この投機のギャンブルで勝つためには、大きく2つの方法がある。  一つ目は投機市場の胴元となり、プレーヤーに全てのリスクを負わせ、自分は常に一定の口銭、コミッションをとって確実に儲けることである。  もう一つは、賭博(とばく)の投機市場を牛耳(ぎゅうじ)れるほど莫大な資金を自ら動かし市場を支配、価格が大きく変動するボラティリティ(価格変動)の高い取引をおこない、確実に収益を上げることである。  金融資本の覇者と言われるヘッジファンドや機関投資家は、投資家から預かった巨額資金を運用する時に胴元の立場をとるより、自ら巨額資金を動かし市場で支配力を強め、当局に睨(にら)まれないように注意しながら荒稼ぎをするケースが多い。

例えば、投機筋の機関投資家が、先物取引で株価が安くなる方向へ誘導したいのなら、資金量の大きいディーラーが株価の先物安のオプションを大量に買い込み、その取引情報を知った他のマーケット・プレーヤーも同じように株価が安くなると信じれば、 証券市場を株安の方向へ誘導することは簡単なことである。 ただし、ディーラーが意図的、作為的に先物取引で株安を仕掛けることは法律で禁止されている。 そのため、ディーラーは当局から違法な相場操縦行為とみなされないように細心の注意を払いながら、 AIコンピュータをつかった複雑な自動売買取引を繰り返し、誰も理解できない取引システムを構築して、売買取引をブラックボックス化するのである。 この仕組みを解明できれば、脱税を含め巨悪犯罪を立証できるが、この分野に明るい査察官の人数には限りがあり、 実際はほとんど野放し状態の無法ゾーンとなっている。

投機筋の機関投資家が荒稼ぎをする時の合言葉は「高いボラティリティ(価格変動)の取引で稼げ」であり、市場変動が大きければ大きいほど手にする利潤も莫大であり、 「ボラティリティの大きい市場取引こそ利益の源泉」という考え方が定着するのである。 米国で2021年1月にバイデン大統領が就任して以降、2月から5月のわずか3ヵ月で物価が1.5%から5%まで急上昇したが、 この時期に商品取引でぼろ儲けした機関投資家がゴロゴロいたのではないかと噂(うわさ)されている。 これが事実なら、まさにボラティリティ(物価変動)の大きい市場が利益の源泉であり、 ウォールストリートの強欲な金融機関と政治の特殊な関係の中で、当時、金融市場に配慮した政策がおこなわれたのではないかという疑念は今もくすぶり続けている。  急激な物価上昇の中で、米国の一般庶民が塗炭の苦しみを受ける中、良心の呵責もなく、商品取引でぼろ儲けするヘッジファンドや機関投資家はかなり胡散(うさん)臭く、反社会勢力とつながっていると噂される刑事事件も起こっており、暗黒世界のダークエコノミーと揶揄されている。

米国の民主党は、過去30年間こうしたウォールストリートに巣食うユダヤ系資本が多いという噂の機関投資家から巨額の選挙資金を調達しており、 日本同様に一般の米国市民、庶民の生活はますます苦しくなる中、金融市場の投機的な取引でぼろ儲けする1%以下のごく一部の大金持ちの金融資産だけが膨(ふく)らみ続ける歪(いびつ)な社会構造が形成されてきた。  伝統的に民主党は貧しく、差別されるマイノリティの味方を標榜(ひょうぼう)してきたが、実態は真逆であり、冷酷に金持ちの金持ちによる金持ちのための政治を追求してきたと言える。  例えば、新しい民主党の大統領候補ハリスは、裕福な育ちの金持ちであり、本人は肌の色による差別を主張、マイノリティを売りにしてきたが、実態はマイノリティの人脈を駆使して出世しており、カリフォルニア州の司法長官時代は黒人犯罪に対して非常に厳しかったとも言われている。

株式は長期投資という考え方で機関投資家の動きを追えば株式投資の未来が見える

一般に株式市場の投資とは1年以上保有する長期投資を意味する。 国債と同様に長期に保有すべき金融資産であり、大事に扱うべきものである。  特に株式への投資は、投資する会社の事業が将来大きくなり、繁栄することを願って長期保有を前提に株式購入するのであり、短期の株式の売買取引の儲けが目的の株式投機とは異なるものである。  従って、会社の株式を購入する場合、株主となって5年先、10年先の会社の成長を願っての長期投資が中心となってくる。 預貯金の中でも長期の余剰資金が株式投資されるのである。  今注目されているNISAも個別株式への投資は、成長投資枠として年間の投資の非課税の上限が240万円となっており、総額1200万円まで非課税で株式購入できる仕組みとなっている。  例えば、一千万円で株式を購入して10年後に10倍の1億円となった場合、その時売却した1億円の収入には課税されない。 ただし、売却年度の個人所得には課税されるので注意が必要である。  節税のため売却時にその資金を新たに不動産や株などへ投資する取引も増えるのであろう。

個人でなく企業の株式投資も、長期保有の株主になることが多く、大手の機関投資家でも、短期の投機取引の収益を追求する部門と長期の株式保有で株主としてその企業の経営を監視する部門にわかれている。  現在、運用資金量で最も大きな機関投資家は米国のブラックロックである。 その運用資産の残高は10兆ドル(約1400兆円)であり、30ヶ国・70のオフィス拠点に2万人弱の社員が働いている。  日本でも4百名近い社員が日本の株式市場にて、短期の投機部門と長期の投資部門にわかれて資金を運用している。  日本では発行株式の5%以上を保有した場合、大量保有報告書を提出する義務があるが、ブラックロックの日本法人のブラックロック・ジャパン名義で、資生堂やアステラス、ルネサス、住友化学などの株式保有が公表されている。  株式の短期投機や長期投資は円高ドル安が好まれ、160円から140円への円高で日本のドルベースの投機、投資資産は15%ほど上昇している。

ブラックロックは、米国ではニューヨーク証券取引所に上場しているS&P500の大企業の主要株主に名を連ねており、大株主として米企業の経営に多大な影響力を及ぼしている。  株式を長期保有の投資とみた場合、割安な日本企業の株式への投資には相当な魅力を感じているのであろう。 その証拠にブラックロック日本法人による大規模な日本企業の株式投資は継続されており、日本の株式市場の未来は明るいともいえる。  つまり、今回の日本の株式市場の暴落、乱高下は理論的には起こりえない、作為的なものであると言えるのである。 むしろ日本以外の世界中の投資家にとって日本の株式市場は、10年後、20年後に飛躍的に成長する可能性の高い「金の卵」的な存在となっている。  今後、自民党が政権を維持できるかどうかはわからないが、与党となる新政権や財務省、日本銀行が、過去の誤った緊縮財政を改め、積極財政によるGDP拡大のための正しい成長政策を推進し、日本企業の株式価値を飛躍的に高めることができれば、株価が何倍も評価される企業が増え、 国民の金融資産の価値も高まるのであろう。 その鍵は、日本のGDPを飛躍的に拡大、国富を増やす正しい成長政策にかかっている。 自民党の総裁選後の首相や新政権への顔ぶれを見て、市場関係者が失望し、過剰反応で再び株式市場が暴落することだけは避けて欲しいと願っている。

※上記文章、PDFファイル、入手、ご希望の方はこちらをクリックしてください!

ページトップへ戻る