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米中衝突に耐えられる世界レベルの首相選定が最優先

令和2年8月29日

社会資本研究所

南 洋史郎

安倍首相の突然の辞任発表の背景 

8月28日の夕方、安倍首相がこのまま首相の重責を担いながら、病気を理由に次の首相へ引き継ぐという理由で辞任を公表された。今がもっとも良いタイミングというご説明で、持病で難病の潰瘍性大腸炎の治療に専念されるとのことであり、お体が早く回復され、体調が戻られることを祈りたい。

さて、青天の霹靂と大方の報道メディアは大騒ぎしていた。一方、安倍首相を退陣へ持ち込みたいと願っていたリベラルの報道メディアは、ここ一、二週間、体調の悪化を理由に辞職するのではと予想していただけに見事、自分たちの希望が実現した形となった。

米国のトランプ大統領の再選、その後の日米関係の強化と生まれつきの強運から、来年9月の4選まで政権継続の可能性があると予想していただけに意外であった。ただ、冷静に考えると安倍首相のご説明の通り、持病悪化と戦いながらの激務の遂行は難しく、体を維持できる間に早めに新しい首相へバトンタッチをするという判断は正しかったと思う。

トップが引退を決断する時は、必ず後継の意中の人がいる。これは現時点では決して明かされることはなく、自民党総裁選の結果に委ねるしかないが、折角、ここまで中国の共産党の独裁体制に対抗し、日米が同盟関係を強化しながら、緊密に民主主義の体制を堅持、強化できるところまでもってきたのである。今後、政権トップが変わり、それまで築き上げてきた外交における安倍路線を180度覆すようなことがあってはならない。

それは2006年9月にスタートした第一次安倍政権が年金記録問題や閣僚スキャンダルで2007年9月に不覚にも持病悪化の入院で急遽退陣をせざるを得なくなった悪夢が蘇るからである。その後、安心実現内閣を標榜し就任した福田内閣も2008年9月発生のリーマンショックで退陣、次の麻生内閣はメディアバッシングの影響で、総選挙で民主党に惨敗、2009年9月に退陣、民主党に政権をとられた苦い経験が思い出されるのである。

2009年9月から2012年12月まで民主党に政権が移り、自民党は下野せざるを得なくなり、その3年3か月の野党時代は悪夢のような時期であった。民主党による間違った稚拙な経済政策で国民生活、失業率が悪化、東日本大震災の悪影響もあり、自民党に再び政権が戻り、その後の安倍政権は、大胆な金融政策により株価が急上昇、安倍一強時代を謳歌できるほど順風満帆であった。

ところが、2020年1月に中国発祥の新型コロナによる感染問題が発生、東京オリンピックを1年延期せざるを得なくなり、8月でも有効な問題解決の見通しはたっていない。
そこで安倍首相が9月に退陣後の病気治療中も、従来の外交、防衛、経済路線を踏襲、強化して、安心して安全保障を託せる後継者候補がでてきたので、今がベストと辞職を決意したのではないだろうか。

その人物が誰であるかは、メディアがいろいろ憶測で騒ぎ立てるであろうが、誰がなるにしろ、その人物への後継委任の総裁選挙になることは間違いない。それだけ、安倍首相辞任の報道は、日本一国にとどまらず、世界中、特に米国や欧州などの先進国や中国はじめアジア諸国の政治体制に大きく影響を与えるインパクトのあるものとなっている。まさに今や安倍首相は日本だけでなく、世界の「ABE」なのである。

安倍首相後任の総裁、首相の条件

米国は大統領選挙で、共和党政権が続こうが、民主党政権に変わろうが、対中国の強硬路線に大きな変化はないとみられている。ただ、実際は、民主党政権になれば大きく中国への融和路線へ舵が切られる可能性もある。そこで9月末から10月の3回の次期大統領候補の討論会が勝敗を決めることになる。

その際、トランプ大統領はじめ共和党の首脳陣が、対中国で頼りにするアジアの盟友、日本の安倍首相の後継の新首相にとても期待するであろう。今後も強固な日米の同盟関係を堅持し、信頼できる相手と感じられる新首相が登場すれば、米国の主要メディアは日本の新首相のプロフィールをこぞって報道し、その影響で米国民からも広く支持され、トランプ政権継続の安心材料として、有利に働くことは間違いない。

トランプ大統領や米国人とうまくタッグを組める可能性が高い国際派の政治家で、安倍首相の外交政策を踏襲、できれば外交と防衛の両面で大臣経験があり、英語が流ちょうに話せ、米国人ともうまく意思疎通ができるタイプの新首相なら、日米同盟をさらに強化、尖閣諸島を含む中国からの脅威にも対抗できるので、国民に安心感も与えることができる。

今のところ、様々な有力候補の中で、日本の安全保障と日米同盟との関係強化だけに絞って適任と思われる自民党総裁、首相候補を選定するとすれば、消去法で新首相候補は一人しか見当たらない。それは河野太郎氏である。57歳になり、激務の首相の重責を担える若さがあり、適齢である。世界の政治トップの在任期間が長くなり、独裁色を強め、60歳から70歳と高齢化する中、年齢も経験も日本のトップ、首相としてちょうど良い若さ、新鮮さがあり、適任である。

すでに若者や保守系の評論家から強く支持する声があり、総裁選後の1年以内にやってくる衆議院の解散、総選挙でも、選挙で勝てる人気のある河野太郎氏が首相に任命されれば、自民党一強の政権堅持の可能性も高くなるだろう。また、おそらく、当選後に遠隔テレビ会議などで、各国首脳とジョークを交え、英語で直に意思疎通ができ、身近に感じてもらえる日本の政治家として唯一無比の存在になるのではないかと感じている。

つまり、河野総裁になれば、世界における日本の存在感を強くアピールする宣伝効果の高い新首相を生み出すことができ、日本の国益に大きく寄与することが期待できるのだ。
今年11月には大統領選で延期になったG7が実施される。その晴れ舞台で世界の「ABE」から「KONO」へ日本の顔が変わったことを表明し、米国など先進国首脳との結束を強めることに貢献できれば、日本の安全保障の国際環境は盤石なものとなろう。

安倍政権の最後のレガシーが河野政権への委譲となる

企業経営でもそうだが、長年評価された名経営者が、最後に試されるレガシーが優れた後継者へ経営を引き継いだかどうかの評価である。どんなに名声を勝ちえて、優れた名経営者であっても、次の後継者選びに失敗、会社の業績が急落、残された従業員や取引先から、なぜあんな人を後継者に選んだのかと恨まれては元も子もない。結局、立鳥跡を濁さずの格言とは逆になって、濁りまくってひどい状況になったら、名経営者という評価さえ雲散霧消するのだ。

従って、退任のタイミングが非常に重要となる。一般的に、順風満帆で経営がうまくいっている好調な時が引継ぎにもっとも適した時期と言われている。実は長年の経営支援の経験から言えることは、最悪などん底の状態で、これからV字型の回復が予測できる時期がトップ交代のベストタイミングであることは意外に知られていない。

理由は単純明快だ。仮に後継者の経営者能力が期待値より低くても、今までの経営慣性力で業績が回復しやすく、経営者も成果で評価されるので、周囲から良い経営者と思われやすいからである。また、後を継がせた経営者も、平取りや相談役でそのまま暫く経営者に留まり、V字回復のプロセスをみながら、どこまでうまくできるか見極め、駄目なところがあれば、自ら経営に関与して支援しやすい。

一般的にどん底から這い上がる過程の方が、頂点から下り落ちる過程より経営者は謙虚になっているので、前任者の経営者のアドバイスを素直に聞き入れる可能性が高く、それが、さらに成果や自信につながって、経営能力を高めることにつながるのである。

政治の世界も企業経営と事情は全く同じである。今の日本は、コロナ感染対策で日本経済はガタガタであり、中国や北朝鮮からの安全保障の脅威にもさらされ、米中の南沙での衝突も深刻となり、中国は事もあろうにこの時期に南沙諸島に向けミサイルを4発も発射している。まさに国内も海外も危険だらけの国難の最悪の時期である。

ところが、これから消費税を思い切って減税すれば、消費が上向き、経済のV字型回復は容易に見込まれる。新型コロナ対策も2類感染症から外れ、病院の医療崩壊リスクが低くなり、秋から冬に流行するインフルエンザを含む感染対策もし易くなる見込みである。トランプ大統領が11月に再選されれば、米国や英国との連合国の仲間に入り、自由と民主主義の勝ち組になれるので、日本の外交、安全保障も安泰である。

仮に河野政権の外交面に不安があった場合、安倍首相が自ら助人として安倍外相に返り咲き、河野政権のもとで、積み残したレガシーを実現できる可能性もあるのだ。米中の部分的な軍事的衝突が起これば、憲法九条は議論の余地なく、直ぐに修正される可能性も高い。

その結果、中国共産党の独裁政権が想定より早く崩壊すれば、北朝鮮の独裁体制も瓦解し、生存する拉致被害者の救済の可能性も大きくなるだろう。ロシアも経済崩壊から独裁者プーチンが北方4島の返還の代わりにシベリア経済の共同開発を持ち掛ける可能性も残っている。河野政権で、財政は麻生副総理兼蔵相、外交は病気治療から回復した安倍副総理兼外相が活躍するドリーム・トロイカ体制の可能性すらでてくるのである。

首相候補の河野太郎氏の人物像が実に面白い

さて、河野太郎氏とはどんな人物なのであろうか。今までの行動や言動からその人物像をウイキペディアなどのネット情報で調べると変人どころからなかなかのファミリーヒストリーの血統、面白い経歴の人物であることがわかってくる。

まず、父は衆議院議長の河野洋平氏であり、祖父は元副総理の河野一郎氏である。米国留学時代はジョージタウン大学で比較政治学を学び、その間、交換留学生として共産党時代のポーランドのワルシャワ経済大学に籍を置き、共産党の社会とはどんなに悲惨なものかを身をもって体験している。

河野一郎氏と言えば、1937年に支那事変など当時の国際情勢から1940年の東京オリンピックの開催返上を主張、1964年の東京オリンピックで、副総理兼オリンピック担当の国務大臣になった伝説の人物である。もし、河野太郎氏が新首相に選ばれたら、来年2021年7月の東京オリンピック開催の総理大臣となり、神のみぞ知る偶然のなせる業かもしれないが、祖父、孫そろって政権トップとしてオリンピック開催を担うことになる。

政治家は相手国に与える印象、面(つら)構えが何より大事とよく言われる。特に戦争など国同士の喧嘩では、ボクシングの格闘技と同様、まずは相手の政治家トップの面構えが戦いを決めると言われている。写真だけの勝手な推測だが、日清戦争の伊藤博文首相や大山巌元帥、日英同盟を締結、日露戦争を勝利に導いた桂太郎首相や東郷平八郎元帥は実に腹のすわった強面(こわもて)の喧嘩に強そうな勝てる面構えをしている。

それに比べ、太平洋戦争勃発時の東條英機首相は事務方のまじめな風貌だが、威圧感はあまり感じられない。そのせいか戦争時には、米国で変な似顔絵にデフォルメされ、日本が憎いという偏見に満ちた反日宣伝に使われた苦い経験もあるのだ。桂太郎のような端正な腹のすわった風貌なら、米国も少し違った対応をしていたような気もする。

安倍首相の優しそうな品格ある風貌やスラっとした格好の良いスマートな容姿は、国や民族の違いを超えて好感が持てるものであり、国際的に日本のカントリーブランドのイメージ向上にも相当に役立ってきたことは間違いない。日本のような先進国の政治家は、国際社会で活躍する場が増えており、風貌と容姿がとても重要になってきている。その面では安倍首相は国際社会から大きく評価される外見条件を満たしてきたと言える。

ただ、残念ながら、典型的な平和な時の風貌であり、これから米中の部分的な軍事紛争の可能性も高まり、外交や防衛、経済等あらゆる面で米中が衝突する有事の面構えとは言い難い。閉鎖的で保守的なメディア社会の悪意のあるジャーナリストから週刊誌などで色々バッシングを受けてきた可哀そうな面もあったことは否定できない。

同じようにメディアから攻撃を受けても、トランプ大統領は強い面構えで、威圧感を与え、喧嘩をすれば勝てそうな良い人相をしている。万一でも、優しい風貌のバイデン候補が大統領になったら、戦う前からマフィアの親分のようなタフな人相をしている中国共産党の幹部たちに顔で負けており、米国が勝てる気がしない。その時、日本は日米同盟を見直し、自主防衛へ大きく舵(かじ)を切り替える必要がでてくるかも知れないが、トランプ再選は固いと思うので大丈夫であろう。

対照的に河野太郎氏は、失礼ながら大魔神のような霊験あらたかな風貌で、強面の威圧的な感じがする外見で、日本人には珍しいタイプの政治家である。容姿はスラっとしてスマートで、欧米人と一緒にいても見劣りしない。この頼りになる風貌は、戦争などの有事には、味方にとっては頼もしく、相手にとっては、厄介な怖い存在になるのだ。戦う前から相手側は面構えで負けたような気がする。逆に味方にとっては頼りになる風貌なのである。

超限戦で経済も含め社会のあらゆる面で日米に戦いを仕掛ける中国の為政者にとって、強そうな外見は、何を仕掛けるか全く読めない不気味な存在にもなるのだ。戦いでは、読めない相手が一番困るのである。外交でも防衛でも、河野大臣の報道記者とのやりとりは従来の政治家の答弁の常識を超えており、妥協無く、威圧的で喧嘩腰であり、有事の政治家の姿勢そのものである。逆に戦いを仕掛ける中国などの相手国にとっては、嫌な相手になるのである。

今までの日本の政治家には存在しない実に面白い人物が政界に残っていたものである。
やはり、つくづく日本は神の国だと思う。こんな時期にこんな面白い傑出した政治家が、日本にまだいたということが驚きである。こうなれば、我々国民も、河野新首相を信じて、日本の国難への対応、経済再建を託してみてはどうであろうか。大魔神「KONO」が 国際政治で活躍し平和を破壊するふとどきな国家を成敗する姿を早く見てみたい。

                          
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