2024年10月7日
社会資本研究所
南 洋史郎
自民党の時代逆行の総裁選ドラマに怒る岩盤保守層の反乱で解散総選挙に惨敗する
自民党の総裁選予想のためネット中心に情報を収集、評論家の意見を集約、当研究所では9月27日の総裁選までに8割確率で高市候補が新総裁に選出されると予測していた。
ところが、その予測は見事に外れた。 文化人放送局やあさ8、虎の門ニュースなどネット言論界の保守系論客の大半は、高市総裁一択の論調を盛り上げてきた。
自民党の岩盤保守層の高市人気は絶大で、総裁候補9人の中で唯一の保守政策の推進者であり、積極財政を推進しており、経済成長のための具体的な政策を掲げてきたので、経済界からも高市押しの声が強まっていた。
ところが、結果は意外にもわずかの票差で石破新総裁が決まった。
ネット上で高市押し一色の雰囲気の中、政経電論だけが、政財界で有名な出版会社社長が、決選投票での石破総裁を予見していたので、その政治通の正しい見識、見解には脱帽である。
どうも決選投票で岸田元首相による旧派閥の宏池会議員への強い働きかけがあり、それが決定打となったらしい。
ネットでその様子が実況中継されていたが、まるで「半沢直樹」のドラマのようにニヒルな笑みを浮かべる岸田元首相の姿に高市押しの岩盤保守層が底意地の悪い悪役のイメージを重ねた可能性が高いと推察している。
国益より私怨(しえん)を優先する姿にネット上では「国民を馬鹿にする自民党に投票しない」とか「高市排除の了見の狭い政党に投票しない」といった批判が展開されていた。
SNS上で炎上している大量の批判コメントから類推するとどうも自民党は今回の総裁選で岩盤保守層のかなりの票を失ったのではないかと思えるのである。
憤慨する自民党の岩盤保守層の気持ちをパロディ風に表現すると「財務省という増税大魔王の影響で自民党は貧乏神を日本へ呼び込み、
中流、底辺の国民は可処分所得が増えず、貧しく過去30年間ずっと苦しんできた。 安倍政権には金融緩和で貧乏神に憑依された国民を救ってくれると期待した。
ところが、志(こころざし)半(なか)ばで、天国へ召され、その遺志を継いだ積極財政を推進する高市政権がやっと誕生し、日本に福の神を呼び込めると思ったら、
なんと自民党自身が貧乏神から疫病神へ変身、緊縮増税を主張する石破首相を選ぶとは絶対に許せない」といった内容の自民党への怨嗟(えんさ)の声が聞こえてくる気がするのである。
総裁選出から1週間が経ち、既に石破首相の振る舞いや言動にあきれる国民が増えている。 国会解散には否定的な持論を捻(ね)じ曲げ、就任前の9月30日に10月27日の解散総選挙を宣言する異例の姿に戸惑った国民も多かった。
石破首相が選んだ閣僚の顔ぶれを見ると立憲民主党の政権のようで、一部に恨(うら)み、妬(ねた)み、嫉(そね)みの感情が強そうな方もいる。
叩けば埃(ほこり)のでる方も多いからか、週刊誌などで次々スキャンダルが暴露され始めている。 10月9日衆議院解散、15日公示、27日投開票の日程で、残り3週間、
自民党の執行部が狙う公明党を加えての過半数の維持はかなり難しくなったとみている
自民党の自傷自爆自滅で岩盤保守層の漁夫の利を得る日本保守党と参政党が大躍進
日本人は古来、怨念(おんねん)や怨嗟の微妙な感情を敏感に感じとり、空気の読める人が多い。
その意味で、今回の自民党内で起こった安倍首相路線の復活が期待された高市候補の総裁就任を阻止するため、岸田元首相や菅(すが)元首相の私怨なのか不可解な異常行動に自民党の岩盤保守層で激怒した人も相当数いたのではないかとみている。
自民党をこれまで支えてきた岩盤保守層こそ自民党にとって生命線そのものである。 逆に言えば、この岩盤保守層の票を失えば自民党はすぐに泥船化し終焉を迎え下野(げや)するのである。
今回、高市議員が総裁に選出されていれば、岩盤保守層の大方の票がどっと集まり、自民単独で300議席程度までいったと思うが、石破首相だと逆に200議席を切り、公明党と合わせても過半数の確保は難しいと予想している。
つまり、大方の岩盤保守層が自民党にそっぽを向き、新たな受け皿となる新興の保守政党の日本保守党や参政党へ大量の票がどっと流れ込むのではと予想する。
日本保守党や参政党にとっては千載一遇のチャンスであり、漁夫の利を得て大躍進する強運に恵まれたとみている。
過去、自民党は何度か与党から脱落、下野したが、今から30年前の1993年8月に起こった自民党分裂による細川連立政権の樹立に思いを巡らす自民党古参の党員や議員も多いのではないかと思う。
当時、自民党はロッキード事件から始まり、リクルート事件、東京佐川急便事件、ゼネコン汚職事件など「政治とカネ」の問題で揺れていた。
自民党は宏池会出身の宮澤首相であったが、6月中旬の野党不信任案に自民党の小沢一郎が賛同し不信任が成立、その後、羽田孜(はたつとむ)と新生党を立ち上げた。
鳩山由紀夫らも自民党を離党、続々と新党が結成され、非自民非共産をキャッチフレーズに自民党以外の8党会派で連立政権が樹立されたのである。
当時の状況と異なるのは、今回は不信任解散ではなく、岩盤保守層が高市排除の異常な総裁選に愛想を尽かす中、自民党自らが自傷行為のような解散総選挙を実施、
投開票日に惨敗自爆する危険を冒(おか)し、自滅しようとしているのである。 まるで何かに憑依されたように自傷自爆自滅の道を突き進む自民党の姿をみると何かの呪いのエネルギーまで感じるのは言い過ぎであろうか。
一番の悲劇は、自民党の未来を信じ頑張ってきた若手議員たちである。 総裁選の異常な熱気が冷めて一週間が経過、だらし内閣と揶揄され、覇気のない石破政権の総選挙で惨敗する不安がよぎり始め、
このまま自民党に残っても落選する悪い予感に苛(さいな)まれる議員も増えているのであろう。 議員職に留まれるのは解散前日の8日までであり9日には一旦失職する。
それまでにちゃっかり日本保守党か参政党へ移籍できれば万々歳だが、時すでに遅く自民泥船の石破政権と一緒に消える運命も覚悟しないといけない。
一方で希望の光は若干残っている。 それは高市議員の応援である。 彼女は自民党の一議員へ戻り、今回の総選挙で岩盤保守層から蜘蛛の糸を切られずに残った唯一の人物である。
エックスX上には、すでに総裁選の決選投票で高市議員を選んだ議員のリストが公開されている。 無記名投票だが、なんと地方紙が地方の議員が誰を選んだかをきっちり調査、公表している。
自民党に嫌気を感じた岩盤保守層は、そんなリストも無視して投票しないだろうが、高市議員の選挙支援を受けて生き残れる可能性は残っている。
ただ、自民党の幹事長が「政治とカネ」の問題で非公認とする可能性もあり、そうなったらお終(しま)いである。
保守の反乱で自民党の選挙惨敗後は日本保守党と参政党との保守連立の時代となる
岩盤保守層とは、最近注目されている保守政治を支える有権者セグメントであり、保守的な政党や政治家を応援する人たちを意味する。
保守政治の考え方は、国土交通省の美しい国づくり政策大綱から始まり、2006年の総裁選にて安倍首相が「自信と誇りの持てる日本」、
「美しい国日本」という国家観を提唱、日本の伝統文化を大切に国や郷土を守り、発展させ、豊かな国を目指すものへと進化させた。
2020年のコロナ・パンデミックの影響で、日本が急速に保守化する中、ネット番組や保守系月刊誌などの影響もあり、岩盤保守の人口が急速に増加、当研究所のラフな推計では、
2024年10月現在少なくとも全有権者1億人の2割、2000万人まで増加しているとみている。
2010年代の安倍政権時代の自民党支持者には岩盤保守層が多く、当時は1000万人程度と推計していた。
最近は、ネット番組に触発された高学歴な中高年の経営者や専門家、学者、識者といったオピニオンリーダーの社会階層が岩盤保守へ変身する傾向が著しい。
また、2006年の第一次安倍政権の時代に教育基本法が改正され、伝統と文化の尊重や我が国と郷土を愛することが定義され、それ以降、若年層の保守政治の支持が高まり、
投票権が18歳に下がった影響もあり、若い岩盤保守層が急増している。 彼らは保守の政治家を支援してきたが、今まで魅力を感じる保守の野党が存在しなかったため、その大方は安倍政権を支えてきたとみている。
前回の2021年10月の第49回衆議院議員選挙では小選挙区289議席、比例176議席の総計465議席を争った。
投票率56%なので、5600万人が投票、平均値として小選挙区の議席あたり20万票、比例の議席あたり32万票の獲得が当選基準となった。
自民党は小選挙区で半数の2800万票弱で189議席を獲得、議席あたり票数は15万票となっている。 比例区は2000万票弱、72議席、議席あたり票数は28万票で全国平均より低い。
これは票数が少ない地方選挙で自民党が強いからであり、市議、県議も巻き込んで手堅い支持基盤をつくり上げてきた成果といえる。
また、岩盤保守にとってリベラルな宏池会出身の岸田首相には不安があったが、安倍元首相と高市議員を応援する議員により首相に選出されており、保守路線を継承すると信じてきた。
ここまで見事に裏切るとは想像すらしていなかったのであろう。
岸田政権時代に自民党の岩盤保守層が支持する保守派の清和会を狙い撃ちにした「政治とカネ」の問題が起こり、その中核の古参議員の多くが処分される中、次回選挙で岩盤保守層の票の行方(ゆくえ)が注目されている。
特に参政党や日本保守党が結成されてから、岩盤保守の間で自民党の保守派が駄目なら、この2つの保守政党を支えていこうという動きが顕著になってきているのである。
今回、岩盤保守の2千万人のうち半数の1千万人が、第50回の衆議院選挙で自民党にどう影響を及ぼすかを予想したので、その結果を次の図表1にとりまとめてみた。

岩盤保守の支持層を1000万人とすると単純計算で小選挙区67議席、比例36議席の合計103議席となり、自民党261議席の40%を占める計算となる。
今回の第50回の衆議院議員選挙が第49回とほぼ同じ選挙結果を示すことを前提に岩盤保守の支持層のうち8割、81議席が日本保守党や参政党に流れるとみており、
日本保守党は26議席、参政党は55議席という信じ難い結果となった。 この2党の選挙予測を図表2にとりまとめてみたが、ともに新興政党で全国的な知名度も低く、
かなり楽観的な見方であり、自民党の中にも高市議員や青山議員のような保守派をとりまとめる魅力的な力をもった議員も数多く存在するので、かれらが岩盤保守の集票マグネットになり続けるとみている。
親中、媚中でリベラルな自民党議員も数多く在籍、岩盤保守層が逃げた後に野党のリベラル票を若干取り込むのではないかとみている。
予想では、自民党の議席数は258議席から180議席へ激減する結果となり、公明党も32
議席から25議席へ減るため、与党連立で205議席は確保できる読みとなっている。 それで
も過半数の233議席には28議席足りず、この結果であれば、大敗の責任をとって、石破政権
は退陣せざるを得なくなり、リベラル派議員も大きく議席を失っている可能性が高いため、11
月に再び総裁選がおこなわれ、岩盤保守層に人気の高市総裁が登場するのではないかという見方
をしている。 過半数は233議席のため28議席が不足するので日本保守党、さらに参政党や
有志の会も加えた290議席の保守連立の時代の到来が現実味を帯びるかも知れないとみている。

なお、今まで述べた自民党にとって悲観的な選挙結果予想は、総裁選後のネット番組に書き込まれた大量コメントの一部を読んだ後の分析に基づいたものとなっている。 従って、ち密なアンケートやヒアリングによる定量調査ではなく、コメントも高市議員を応援する保守層の感情的なものが多く、自民党大惨敗の予測はバイアスがかかりすぎている可能性が高い。 タラレバの数字予測が多いので、時間や関心のない方は無視頂ければ幸いである。

