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石破政権の継続で自滅の道を突き進む自民党を救済できるか

2024年12月31日

社会資本研究所

南 洋史郎

突然の訪中で富裕層限定の10年マルチビザを約束した岩屋外務大臣は大丈夫か

10月の衆議院の総選挙で大敗した石破首相が責任をとって12月で退任、内閣を総辞職するどころか、来年1月以降も続投することに多くの国民は釈然としない気持ちではないかと思う。  11月には米司法省が2017年から2019年にわたり、日本のカジノを含むIR事業で中国企業の元最高経営責任者を米国の海外腐敗行為防止法違反で起訴すると公表、当時、賄賂が供与された日本の関係者の中に現職閣僚の岩屋外務大臣の名前もあがっている。  収賄容疑は2百万ドルにおよび、現金にとどまらず、プライベートジェットによる旅行、高級贈答品、食事、性接待などを含むものであり、日本での加重収賄行為、すなわち収賄を受けてから具体的な便宜をはかった行為があった場合、時効はまだ成立していない。  記者会見の本人の弁では全く身に覚えがないという話だが、米司法省で中国企業が有罪となれば、東京地検特捜による現職大臣など当時の自民党関係者へ再捜査の可能性もでており、深刻な問題ではないかとみている。

そうした特定の中国の富裕層との利権疑惑の渦中にある岩屋外務大臣が阿部文科大臣と一緒に12月25日から26日に中国を訪問、10年間有効の観光数次査証の新設、及び団体観光査証の滞在可能日数の延長をはじめ中国人の観光査証の緩和を表明した。  日本への観光が許される中国人は中国共産党と関係の深い富裕層や中流層が主であり、観光と言うより、日本の医療保険を使った先進の医療治療などその他の目的で来日、滞在することが多いと言われている。  つまり、富裕層や中流層に対して日本へ自由に何回も渡航できる10年マルチビザの発行を約束したのである。 この話が中国政府の正式要請なら、中国に拘束されている日本人の早期釈放を条件にする外交交渉なので理解できないことはない。  ところが習近平主席の中国政府は、共同富裕を標榜、富裕層だけを優遇する政策を否定、景気低迷で生活苦にあえぐ貧困層を救済するため富裕層の富をいかに還元すべきかに躍起になっているのである。

中国の一般大衆は反日教育が功を奏し日本を敵視しており、そんな厳しい政治環境の中国政府に対して、日本の外務大臣による共産党と関係の深い富裕層や中流層を主に優遇するビザ発行の約束は 「共産党の幹部や富裕層が日本へ逃げられるように手配した」というメッセージとも受け取られかねず、逆に外交的な配慮を欠いた失礼な約束ではないかと思うのである。  一方、地検特捜の関係者からすれば、岩屋外相の唐突な約束は中国の共産党や富裕層との特殊な関係について重大な関心事となるものである。  本件に関して石破政権から自民党へ事前相談がなかったのであれば、1月以降、自民党内で問題になるであろうし、国会でも10年査証約束の背景について、中国利権との特殊な関係も含め相当に厳しい追及がおこなわれるのではないかとみている。  疑惑渦中の大臣なら、さらなる疑念がでないように行動には慎重となるが、岩屋外相は意に介さず平気な様子である。 当然、石破首相へも事前相談があり、了解が得られた上での査証緩和と推察され、今後利権収賄の疑惑が起こった場合、首相も厳しく連帯責任を問われるであろう。

国民民主党の103万円を178万円へ引き上げる政策を国民は高く評価している

今回の衆議院総選挙では、所得税の扶養控除の103万円の壁を打ち破り、178万円までの控除を公約にした国民民主党が7議席から4倍増の28議席を獲得する大躍進となった。  国民民主党による178万円への所得税の扶養控除引き上げによる減税提案は、物価高による生活苦の扶養家族である主婦や学生などが世帯主の所得税の引き上げを気にすることなく、働く時間を増やすことができるのである。  つまり、人手不足の企業にとって貴重な戦力となっている主婦や学生のパートやアルバイトの働く時間を増やし、収入を上げる動機づけを高めることができるのである。  収入が増えた分はそのまま消費の増加につながり、労働力不足解消と消費増加という二重の経済効果が期待できる画期的な減税政策なのである。

従業員51人以上の企業で主婦や学生などが週20時間以上働き、年収106万円を超えると世帯主とは別に厚生年金と健康保険の社会保険が適用される。  年収が130万円を超えると配偶者の扶養控除が無くなり、国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生する。  主婦や学生などのパートの扶養労働者にとって、老後の不安を解消する厚生年金や国民年金へ加入が可能となる106万円、130万円の適用はそのままにして欲しいというのが本音であろう。  夫婦で厚生年金を受給できれば、老後は片方だけなら国民年金と厚生年金で月20~25万円程度だが、夫婦なら月30~40万円程度の生活費は確保できるようになる。  106万円になれば、厚生年金に加入でき、その対象にならないパートの扶養労働者でも130万円で国民年金に加入できれば、老後は安心である。  ただ、パートの扶養労働者にとって、健康保険だけは家族負担を減らすため扶養控除を続けて欲しいのが本音であろう。  そこで世帯当たりの手取りを増やすため所得税の扶養控除の103万円、健康保険適用の106万円、国民健康保険適用の130万円の各々の壁を取り払い、ともに178万円までの控除に引き上げれば、各世帯の年収は少なくとも数十万円以上は増える計算となる。  共働きの世帯では、扶養される側のパート労働の勤務時間が増え、年間百万円以上の収入増すら期待できるのである。

時給1200円で計算すると1週間の一人当たりのパート労働時間は103万円が18時間、178万円が30時間となる。  日本のパート労働者の比率は、全就業者6700万人の25%弱の1400万人となるが、その50%の700万人、全就業者と比較するとその10%程度のパート労働者の1週間の労働時間が15時間から29時間となっている。  壁を取り除いた場合は、この労働者層の勤務時間が増え、収入も増える計算となる。 仮にこの7百万人の一人当たりのパートの平均労働時間が週20時間から25時間まで5時間増え、年間240時間増加、平均時給が1200円なら 世帯当たり月2.4万円、年29万円の増加で年収132万円となる。 日本全体では新たに年間2兆円余りの経済効果を生み出す計算となる。 仮に世帯主の平均年収が500万円だとその所得税は14万円となる。  103万円の壁だと所得税は22万円だが、178万円まで控除すれば14万円のままであり、税収減は8万円、日本全体で5600億円となる。 財務省の試算では当初7~8兆円、その後2~3兆円の税収減へ修正されたが、 税収の5600億円の徴収機会を失うだけの話で、出鱈目な試算であったことがわかる。 それよりも所得収入2兆円が新たに生まれる経済効果の方が徴税機会を失うよりはるかに大きいのである。

日本では、実収入から社会保険料などを除いた可処分所得のうち消費の割合の平均消費性向は75%なので、今回の103万円の壁の撤廃により、毎年1.5兆円の消費市場が新たに創出される計算となる。  さらにその消費の増加による新たな投資への誘発効果も期待でき、経済では投資乗数と表現されているが、消費増1.5兆円に25%(=1-0.75)を掛けた3750億円の新たな投資効果を加えると103万円の年収の壁を178万円へ引き上げ、 年収106万円や130万円になっても厚生年金や国民年金の加入だけを認め、健康保険だけを扶養控除する制度をもうければ、毎年2兆円弱のGDPのプラス効果を生み出して、経済規模を拡大できるのである。  これほど国民から喜ばれる優れた減税政策、待遇改善政策はなく、国民の多くが国民民主党の政策に共感するのは当然である。 なお、今まで述べた計算シミュレーションは、高校生や大学生で経済分析をかじったものであれば、誰でも計算できる簡単なものである。  日本人は相手に配慮して黙っている人が多いが、今回の財務省の間違った税収減の試算を陰で笑っている学生連中も多いのではないだろうか。

国民民主の約束を反故にする自民の宮澤税調会長と沈黙の保守議員に不満が高まる

パート労働者の扶養控除を178万円まで引き上げる話は、少数与党へ成り下がった自民党や公明党と国民支持が高まった国民民主党との間で幹事長レベルの約束であった。  ところが自民党の宮澤税調会長は扶養控除を103万円から123万円まで引き上げることは認めるが、それ以上は駄目と言う意見を述べ、123万円を超える要望に対しグリーンがどこにあるか見えないという官僚や経営者など上級国民のゴルフ好きなら理解できても 一般民衆は理解不能、意味不明なコメントを残し、1月以降の通常国会では与党の税制改正大綱で決定された123万円への引き上げが最終回答となりそうである。 これに対してネット上では、納得できる説明もなく、国民を馬鹿にするのもいい加減にしろ、 財務省出身の政治家が国民の要望を無視し独断で決めるのかといった手厳しい非難の怒りの炎上の嵐が巻き起こっている。

また、岩屋外務大臣の利権の匂いがする10年査証問題や宮澤税調会長の国民を馬鹿にした上から目線の123万円回答に対し、 自民救世主と思われていた高市議員やその他の保守系の議員たちが沈黙を守ったままであり、それに対して、ネット上では手厳しい批判が展開されている。  様々なコメントを読むと総じて自民党の応援を断念、突き放す厳しい意見が多く、高市人気にも陰りがでてきた様子である。  9月総裁選で自民を支持してきた岩盤保守の期待を大きく裏切る岸田元首相の暗躍による石破総裁の選出があり、異例にも首相就任前に解散総選挙が公表され、 10月の衆議院議員の総選挙では自民と公明の与党が大惨敗、11月は大惨敗の責任をとり石破首相が退任すると思いきやそのまま続投、 12月に岩屋外相による10年査証問題が勃発、宮澤税調会長による123万円の正式回答など岩盤保守層が自民党に見切りをつけ、支持層が激減する異例の展開が続いている。  12月28日のテレビ番組で石破首相自らが1月以降の通常国会で「内閣不信任案が可決、予算案が否決される場合、衆議院解散も選択肢」と公言、3月解散の可能性も示唆している。  結論として、石破政権の継続で自民党は自滅の道をひたすら突き進んでおり、3月に解散総選挙があれば、自民は野党第一党どころか、第二、第三野党へ転げ落ちる可能性があり、現段階では自民救済は難しいとみている。  もしかしたら、長年の恨みを晴らすために自民消滅が石破首相の究極目的ではないかとも思える今日この頃である。

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