2026年3月1日
社会資本研究所
南 洋史郎
後世の歴史家は2月8日を日本が大統領のような首相を選んだ日と明記するだろう
2月8日に衆院選挙がおこなわれ、高市自民が戦後の政権で最高議席となる316議席を獲得、
圧勝した。 比例では自民党が追加候補の掲載をせず、南関東6議席、東京5議席、北陸信越2
議席、中国1議席の14議席を他党へ渡し、本来なら330議席を獲得しているところであった。
自民圧勝は高市首相の圧倒的な国民人気に支えられたものである。 自民党は岸田、石破両首相
の政治采配に対する不人気から消滅の危機にあったが、高市人気のお陰で不死鳥のように息を吹
き返しよみがえった。 選挙は高市一択の様相を呈し、国民は高市選択のため今までの数々の悪
政に目をつぶり自民党に票を投じた。 つまり自民党の勝利ではなく、高市首相の勝利であり、
高市首相に大統領のような強大な権限を与えることを決めた戦後初めての選択選挙であったと言
える。 ある意味で危機を察知し投票を決断した大多数の日本人も優秀だなと感心している。
ここでいう大統領とは、日本は天皇制のため国家元首という意味ではない。 大統領のような
首相とは、危機に瀕して日本を救うため、米国のような即断即決の強大な権限をもつ首相を意味
する。 米国がトランプなら日本は高市で強権を発動して一気に日本を変えてくれという国民の
熱い思いが自民圧勝につながったのである。 大多数の日本人はすでに覚醒、いま日本が何をす
べきか、どんな政策を実行すべきかをネット情報などで熟知し、高市首相にその政策実行を託す
決断をしたのである。 まず、日本に求められるのは中国の脅威に対する漠然とした不安を一掃
する毅然とした安全保障対策である。 さらに庶民生活を大きく改善、向上させる経済政策であ
り、将来不安を解消し希望が持てる日本にするための産業政策である。 大多数の国民はこれら
の不安に対し、もう議論する悠長な時期は過ぎ、解決策となる政策はわかっているのでそれらを
即断即決で決定、確実に実行する時期が到来していると感じているのである。
実行できなければ、日本は中国から武力的な脅威を受け続け、親中やリベラルな政治家たちを
通じて外国人、特に中国人に土地や株が買われ、移民が急増、露骨な経済侵略が続き、その結果、
再起不能なほど国力が棄損する強い危機感を感じ、その流れを止めるために高市首相を選択した
のである。 高市首相の有能さは、就任後わずか3カ月余りのタカイチ1.0で立証済みである。
外交ではトランプ大統領と良好な日米関係を演出、存立危機事態の発言で執拗に嫌がらせ発言を
繰り返す中国の外交官僚へ毅然とした態度を示し、経済面では、過去50年以上続いたガソリン
暫定税率を廃止、1月から178万円の壁を撤廃、所得税が課税されない年収の上限額を178
万円へ引き上げている。 V字回復効果という言葉がある。 その前の経営や政治がひどすぎ、
どん底状態の時に経営や政治を引き継ぐと次の経営者や政治家が優秀に見えることを意味する。
まさにわずか3ヶ月間で国民は高市政権に強烈なV字回復効果を感じたのである。
責任ある積極財政に役立つ理論があり広く速く資金が循環すると経済は拡大する
従来の積極財政の考え方では、投入する資金量の増大を議論することが多く、積極財政を推進
すると国債の大量発行で財政赤字がふくらむと勘違いし批判する識者が多かった。 当研究所で
は21世紀の新しい経済理論を研究しているが、国内経済を拡大させるためには、資金の投入量
だけでなく、その資金が循環する経路や速度、範囲、取引心理、仕組みも重要な鍵になるという
見方をしている。 これを資金循環理論と名付け、経済拡大のためには5つの資金循環を促す政
策が必要と考えている。 その政策とは、①資金取引を広い範囲で分散させて資金流通の速度を
速める政策、②不安心理を小さくできる安全保障の強化政策、③産業の裾野を広げる技術革新を
促す政策、④危機管理のため国主導で取り組む公共投資政策、⑤信用創造を促進する財政政策の
5つであり、これらを強化すれば、限られた財政予算でも経済を拡大できると考える。 なお、
この理論は、国外でも同一通貨、同一財政制度で同じ民主主義の資本ルールで互いの国の繁栄で
経済発展ができる良好な関係の国々なら有効と考えている。 EUがその典型例である。
資金循環理論の第1法則は「資金取引が広く分散し、速く資金が流通するほど経済は拡大する」
のである。 その典型例が高度成長期の工業団地である。 北は北海道から南は九州、沖縄まで
地方自治体が競って製造分野中心に大企業から中堅企業、中小企業まで企業誘致をはかり、それ
らの地方工場で製造された製品、材料を輸送するトラックや高速道路網が整備され、取引先や納
入先の資金やりとりは銀行取引で瞬時に決済され、取引は日本全国津々浦々、広範囲にわたり、
物流の迅速化で資金決済が速まり経済が急成長した。 ところが1990年代以降、効率を重ん
じ情報産業を重視するあまり、東京や大阪など大都市近郊への製造業の工場集約化が進み、地方
の工業団地が過疎化、経済活動のエリアが狭くなると逆に地方経済は大きく衰退した。
企業経営の目線では、広範な移動距離と物流コストを考えると集約化すべきだが、自治体の目
線では、ある程度のインフラが整った地方の工業団地に多くの工場が進出、新たな労働需要が生
まれた方が、人口が増え町も栄えるのである。 国家経営の目線では、大都市近郊で工業の集約
化が進み過ぎると道路は混み、都市は過密となり、土地も高く、住民サービスに必要な財政コス
トも増大する。 同じアウトプットの工場投資でも、国の公共投資に必要な財政支出は地方より
大都市近郊の方が増大する傾向があるので、当然、財政支出も拡大する。 つまり、製造分野に
限れば、同じ規模の企業投資、財政支出でも、地方都市へ投資した方が大都市よりGDPの拡大
に大きく貢献するのである。 さらに同じ規模の財政支出でも、様々な民間投資を誘発する効果
が高く、まず地方都市の民間投資が活発となり、それが地方の公共投資を増やす投資連鎖の資金
の循環を速め、その結果GDPは拡大するのである。
それゆえ、国が推進すべき産業投資政策は、特定地域に集約化すべきでなく、より多くの地方
に分散、発展し、その地域の民間投資を誘発、それがさらにその地域の公共投資を増やす投資連
鎖を高めれば、同じ財政支出でもGDPを飛躍的に拡大できるのである。 例えば、北海道の千
歳臨空工業団地のラピダスの最新半導体工場は、半導体物流の要(かなめ)である航空輸送が必須
の新千歳空港に隣接している。 同様に京セラなど電子部品の生産拠点が集まる上野原テクノパ
ークは鹿児島空港に近接、中部国際空港の常滑(とこなめ)臨空工業団地には航空機などの部品メ
ーカーが集まっている。 ところが同じ航空輸送が物流の中心である医薬メーカーは、富山空港
近くにジェネリック医薬メーカーが集まっているが、電子部品や精密機械部品の高付加価値な部
材メーカーに比べると大量の純水供給や排水処理が必要となり、そのインフラが整備された空港
隣接の戦略的な工業団地が日本には存在しない。 例えば、富士山の湧水を活用するため富士宮
市や富士市周辺に多くの外資系・国内大手の医薬メーカーの工場が集積しているが、1時間余り
の輸送距離にある牧之原台地の静岡空港は未活用のままとなっている。 欧米への国際物流を視
野に入れれば、航空輸送で必要な3000メーター級の空港拡張工事の公共投資こそ限られた財
政支出でGDP拡大効果が大きくなる典型例と言えよう。 牧之原近辺に新たな工業団地が開発
され、欧米のビジネス客の利用も増え、そのGDPの拡大波及効果は相当高くなるとみている。
資金循環を促す不安心理を小さくする安全保障強化策はGDP一千兆円につながる
資金循環理論の第2法則は「将来に対する不安心理が小さいほどより多くの資金が循環し経済
が拡大する」というもので、この考えに異論を唱(とな)える人は少ないであろう。 ケインズ経
済などの消費理論に予備的貯蓄(Precautionary Saving)という概念があり、将来の所得や支出
(病気、老後、災害)に対する不安(不確実性)が高まると人々は消費を抑え、現預金を積み上
げることが知られている。 逆に将来の所得や支出への不安が小さくなり、希望や期待が高まる
と貯蓄より消費や投資への資金の循環が増大、それがGDPの拡大に貢献する。 経済誌や書籍、
ネット動画などで2026年は日経平均の株価が6万円を超え7万円になる、将来は20万円を
超えるといった情報が氾濫すると投機マネーも含め人々は預貯金を取り崩し株式市場へ投資する
ようになる。 逆に米国市場の株価上昇に警戒感をもったバフェットなど大口投資家が株式市場
から撤退、現金化して、次の株の大暴落を待って再投資の機会を狙っているという情報が飛び交
えば、株投資に慎重となり、その予測通りに株の急落も起こりえるのである。
ここで大事なことは、株や土地の短期的な値動きに影響を与える投機情報に一喜一憂するので
はなく、統計数字をベースに向こう数十年の社会変化を予測する投資情報に基づき長期的な投資
判断をすることである。 それが市場の不安心理を小さくし、希望や期待を高める根拠ある情報
なら人々はこぞって株や土地への投資に熱心になり、その結果、長期に土地や株価が上昇、消費
が活発となり、事業投資も増える上昇トレンドを描けるようになる。 今まで日本人の不安心理
をもっとも高めていたのは、中国の台湾有事の軍事的脅威であり、中国人の富裕層の経済侵略で
あった。 安全保障の観点から、これらに次々とくさびを打ち、日本人の不安心理を取り除こう
とする高市首相の政権基盤が、今度の総選挙で長期に盤石(ばんじゃく)なものとなったのである。
これを境に2月中旬から日本の株式市場は大きく伸び、連日最高値を更新、5万9 千円近くとな
り、わずか半月で5千円以上も上昇している。 つまり憲法9条改正も含め、自衛隊を国防軍へ
転換、日本自らが自力で防衛できる体制へ大転換を進める防衛政策や経済安全保障こそが大多数
の国民が求めていたものであり、相手にうかつに戦えないと自覚を促せば、逆に戦争リスクを大
きく低減できるのである。 核抑止も今や大事な防衛オプションになったといえる。 それは中
国の異常な高市攻撃のお陰であり、これで平和ボケの多くの日本人を覚醒させた。 逆に言えば、
独裁を強め露骨な反日政策をとる習近平主席は日本人にとって実にありがたい存在なのである。
実は、多くの日本人が国民の金融資産は2千兆円を超え、預貯金が半分、株式は2割弱しか保
有されていないことを知っている。 つまり株式保有がわずか1割でも増えれば、200兆円以上の
莫大な資金が株式市場に流入することを知っているのである。 一方、東証の3900社余
りの上場企業のうち、プライム市場とスタンダート市場は各々1600社弱あるが、そのうち企
業の解散価値より株式評価が低いPBR(株価純資産倍率)が1以下の上場企業は、プライムで
4割、スタンダードで6割もあり、成長分野への投資が不足し、収益性が低く、企業の成長性や
将来性が全く評価されていない状態が続いている。 これだけ多くの企業がPBR1以下で低迷
し続けることは、見方を変えれば、大方の企業がPBR1以上を目指す経営を指向すれば、日経
平均は現在の何倍も引き上がることを意味する。
米国も1980年代は上場企業の6割はPBR1以下で低迷したが、その後、不採算部門を切
り捨て売却、採算部門を強化する買収に力を入れ、M&Aを繰り返し、自己資本利益率(ROE)
を高め、経営力を強化することで事業基盤を拡充、今ではS&P市場やダウ市場の企業PBRの
平均は4から5で推移している。 PBR1以下の米企業は割安なので買収対象にもなっている。
仮に東証の上場企業の多くがPBR1以上となり、成長して数十年後にPBR5が平均になった
と仮定すると理論上、日経平均株価は今の6万円の5倍の30万円となる。 その時には日本人
の金融資産に占める株式割合は一千兆円以上の5割を占め、株式をもつ大方の日本人が今の富裕
層レベルの資産を保有する。 高市政権のサナエノミクスは2025年度補正予算、2026年
度予算だけで官民合わせ数十兆円規模、政府だけで10兆円を超える公共投資が計画され、半導
体や量子技術、宇宙、核融合など17業種の戦略分野で単年度の公共投資が7兆円、防衛予算は
GDPの2%、12兆円を超える規模となっている。 しかもこれら単年度予算は複数年度、一
説に10年以上の長期で財政の仕組みとして制度化されるといわれている。
経団連は大企業中心に2030年までに135兆円、年平均30兆円強、2040年までには
200兆円、年平均20兆円の民間投資を想定、実際はそれ以上の投資効果を期待している。
つまり少なくとも向こう15年間、国内では大企業と政府主導で公共投資と合わせ5百兆円を超
える莫大な産業投資を続ける計画であり、実際に効果を発揮すれば、年平均3%強以上の名目経
済成長が見込まれ、2030年にGDP750兆円、2040年にGDP1000兆円、205
0年にGDP1500兆円の達成が見込まれ、2050年の人口予測は1億人なので、平均年収
1千万円以上が期待できるのである。 ただ、AIを駆使し、工場生産の無人化やサービス支援
のロボット省人化が進むと幾何級数的に生産性が上がるため、あくまで個人的な見解になるが、
2040年以降は年6%の高成長となり、2050年に日本のGDPは2千兆円以上を達成でき
ると予想している。 その時の日経平均株価は30万円以上となるであろう。
以 上
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〔編集後記〕
今回は研究中の資金循環理論を活用して高市政権の政策予測をおこなった。 統計解析による
検証が残っているので、株式市場の予測数字などは反論もあると思うがお許し願いたい。 高市
政権の責任ある積極財政に関する政策は、まだまだ断片的な数字しかわからないが、以前の政権
とは異なる大規模な財政支出の予算化が計画されており、当研究所でも長年主張してきた積極財
政の政策とも近いためGDP予測はし易かった。 高市政権の閣僚配置をみても、今までの岸田
首相や石破首相のお仲間優遇人事と比べるとそれとは一線を画する実力派優遇人事なのでこれか
らの活躍を期待したい。
高市首相の人事で面白いと感じる点は、まさにラグビーでいえばノーサイドで全ては国民のた
めという御旗(みはた)の元、派閥の敵味方の区別なく適材適所の人事を進めたことであり、総裁
選で最後まで戦った小泉氏を防衛大臣に起用、茂木外務大臣や片山財務大臣も今の自民党にこれ
以上の適任者はいないと思われる。 親中利権やハニトラが噂され、リベラルだが、温厚で取り
まとめのうまい林氏を総務大臣に起用、石破元首相の腹心の部下の赤澤氏を経産大臣に起用して
いる。 トランプ関税が騒がれたころ、何度も米国の商務長官や財務長官などにアポなしで会い
に行くその雄姿をみて、ネット論客から厳しい批判を受けていたが、官僚出身とは到底思えない
大胆に交渉を進める姿は印象的であった。 これから産業投資の強力な推進が必要な中、火中の
栗を拾える人物をあえて経産省の大臣にすえる人事には恐れ入った。 おそらく、これからも反
高市と噂される人物でも、必要な人材ならこだわらずにどんどん起用するのであろう。
思い起こせば、岸田首相時代は、官房長官など閣僚に官僚が書いた下書き原稿をその通り読ま
せる方法をとり、安倍暗殺事件後の統一教会の問題や不正資金疑惑の問題では慌てる様子が国民
目線でもはっきりわかった。 受け身姿勢に徹し、どんなにネット論客から厳しく叩かれても、
耐え続けるその忍耐力はすごいと感じた。 石破首相は、その所作や言動がそれまでの首相とは
異質の次元にある方で、ある意味で政治を身近なものに感じさせてもらえた。 施設仲間に石破
首相の話をすると笑いが出て、身近に感じる人が多く、軽い冗談で体形や顔立ちが若干似ている
かもと言ったところ、石破首相の方が身長は高くハンサムと言われ少し落ち込んだこともある。
ネット上の一般の方のコメントや論客批判は厳しかったが、国会中継の答弁では、「おっしゃる
通り」と肯定の返事をしたかと思うと「ただこうした考え方もある」と否定の返事をし、その後
「検討せねばならない」と考慮の返事で締めくくって答弁を終え、その後実行された気配が無い
ので、YES&NO&THINKING&NO-ACTIONの答弁テクニックは、さすが首相
にまで上り詰める人は頭がきれ、庶民とは違うなと感じたものである。
ある経営者が、高市首相を称し彼女なら根性や度胸があり、どんな政治組織でもトップとして
成功に導けるとお墨付きを与えていた。 一方、岸田首相や石破首相への評価は厳しく、大企業
なら課長ぐらいなら出世できるかも知れないが、中堅、中小の企業だと仕事ができないと駄目な
ので、係長でも厳しいのかなと本音を語っていたのが印象的であった。 要は比較にならないと
言いたかったのであろう。 確かに政治の世界は、どんなに血筋や学歴が良くても、海千山千、
魑魅魍魎(ちみもうりょう)の人たちと度胸と愛嬌をもって交渉をまとめる度量が求められ、任侠
の世界がピッタリの高市首相に勝る政治トップはこれからもなかなか出てこないのであろう。
合掌

