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米国がバイデン政権になり国際情勢が不安定になってきた

令和3年5月18日

社会資本研究所

南 洋史郎

ハマスのイスラエル攻撃やサイバー攻撃の背後にロシア・中国の影

パレスチナ自治区のイスラム原理主義勢力のハマスが5月11日より3日間にわたり、1500発以上のシリア製M-302ロケットをイスラエルのテルアビブなど都市部へ打ち込み、ロケット攻撃をおこなった。同ロケットは、中国の四川航空工業総公司が開発した衛士WS-2がモデルとなり、シリアが製造しているもので、それをハマスが入手、まだ1万発程度を保有しているといわれている。

この大量のロケット攻撃で鉄壁なミサイル防御を誇るイスラエルのアイアンドームが一部破られ、イスラエルの市街地が被弾、その報復として、イスラエル側もハマスの司令部が入居するビルを民間人の犠牲を避けるため、事前通告の上で爆破、それでも立ち退きがなかった民間人200名近くが犠牲となる大惨事になった。トランプ大統領の時代、ネタニエフ首相とサウジアラビアなど中東主要国との合意がなされ、強い米国の存在で、中東の平和がもたらされたと喜んでいただけに大変悲しい武力衝突となった。

すぐに国連安保理が開かれ、戦狼外交で有名な中国の王毅氏が会議を仕切り、武力衝突を止める決議をおこなおうとしたが、米国がイスラエルの防衛の正当性を主張して反対を表明した。ユダヤ系閣僚が多く、ウォール街のユダヤ系金融機関から支援されているバイデン政権であれば当然という見方になっている。

また、それまで、イスラエルのネタニエフ首相は汚職容疑で人気なく、選挙での政権組閣が難しかったが、今回のロケット攻撃で国防優先となり、政権を維持できる見込みとなっている。パレスチナのハマスと敵対するアッバス議長も、15年ぶりに選挙をおこなう予定であったが、延期し様子見をすることになった。ハマスの幹部が殺害され、今後、イスラエルとパレスチナの争いがいつ終息できるのか、強い米国のリーダーシップが期待されている。

ハマスを裏で応援するのはイランであり、そのイランの背後にロシアやシリア、さらに中国が深く関与していると噂されている。1月20日以降、トランプ政権からバイデン政権になって、わずか4か月間、この間に国際情勢は大きく動いた。今回の紛争に限らず、2月以降ミャンマーでは、軍事政権による銃による子供や女性を含む800人の市民虐殺がおこなわれた。なぜか中国と敵対するインドで今までにない強力な変異種のウイルスが猛威を振るっており、その変異種の元の出所について、いろいろ変な噂が飛び交っている。なお、余談になるが、武漢肺炎や武漢コロナと言わず、中国へ配慮した新型コロナという呼称を使用し続けてきたオールドメディアのテレビのマスコミが、インド型や英国型など国名で変異種を呼称することに違和感を覚える、滑稽だと反発する意見がネットで数多くでている。

日本では、4月20日に中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊による宇宙航空研究開発機構(JAXA)や防衛関連企業など約2百にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受けた。米国では、5月7日に石油パイプラインの大手コロニアルにハッカーの犯罪集団「ダークサイド」がサイバー攻撃をおこない、5日程度、テキサス州から米国東部へパイプラインで供給している石油がストップ、大混乱となった。ロシアや中国が、背後で動いているという噂があり、FBIが動き、取り締まったという話もあるが、詳細は明らかにされていない。

バイデン政権になってからの4か月、今までトランプ政権時代には強く敵対、締め付けられてきた中国共産党が、再び国際政治を舞台に活発な工作、戦闘的な活動を強化して活躍をし始めたという見方が、ネットの言論界でささやかれている。

米国のバイデン政権はうまく国際情勢をコントロールできるか

日本では、頼りないバイデン政権は大丈夫かという声が、ネット言論界で、日に日に強くなっている。4月16日の13時40分からの日米首脳会議前に20分ほど菅首相とバイデン大統領が昼食を兼ね、2人だけで話し合いをしたが、その時に出された食事はハンバーグだけであった。昼食時間ももっととれるはずだか、20分間にバイデン大統領より、日本が台湾防衛をするなら、中国軍を無力化できる電波妨害の技術を提供するという一方的な命令に近い話があったと主張するネット論客もいる。

トランプ大統領時代の中国への貿易関税制裁の継続やワクチン開発、接種優先の政策など数々の功績のお陰で、経済が急回復、ウイルス感染も急減し、ニューヨークでは観光客誘致のためワクチン接種を呼び水にする話もでている。今のところブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官によるトランプ大統領がとった対中国制裁政策の継続、元FRB議長のイエレン財務長官による積極財政のお陰で、大きな米国国内の政治経済の混乱もなく、不安視された対中国への弱腰姿勢や経済失速への不安も小さくなっている。

しかし、バイデン大統領は、中国ウイルスという呼称を止める大統領令を発令し、孔子学院への規制も大幅に緩和し、中国問題より地球温暖化の問題の方が深刻で脅威という理解不能な考え方を表明している。結果的に、国際的な取り決めを守らないことで有名な中国も加わり、多国間でCO2の温暖化対策をとることを最優先する方針も明示されている。

4月の菅首相訪米の際、民主党実力者のケリー大統領特別補佐官を中国へ派遣、中国の温暖化対策に期待する社会風潮も強くなっている。ケリー氏は、中国共産党の政治局員幹部の楊 潔篪(よう けっち)氏とは親密な関係にあり、中国との政治的なパイプも太い。わざわざ日本の首相や政治関係者が訪米中に中国へ行くという行動を見ても、日本とは、親しくなる気も交流する気もまったくないようである。今、ネットで流行の観相学の専門家にケリー氏を見てもらえば、結構、面白い評価が聞けるのではないかと思う。

バイデン大統領特有の駆け引きと好意的に考える人もいる。そうなら、トランプ大統領の時代にはなかった中国に対する細かな気を使った特別な配慮をするバイデン大統領は、今後、中国を特別扱いの国として対応し続けると指摘する識者もいる。米国安全保障担当で、対中外交に影響を与えるインド太平洋調整官のカート・キャンベル大統領副補佐官も、中国に配慮した融和的な政治姿勢であり、中国を擁護する発言も多い。

反日姿勢、親中色が強いスーザン・ライス女史は、バイデン政権で医療、教育、移民などの内政全般を指揮する国内政策会議(DPC)の委員長であり、実質、内政トップの重責を担っている。コミンテルンの民主社会主義の左翼思想が強く、79歳の高齢だが、活発な政治活動を続けるバーニー・サンダース氏は、上院予算委員会の議長に就任、貧困層へ手厚い福祉医療に思い切った予算配分を提唱している。

一方、バイデン政権が組んだ国防軍事予算は、むしろ抑制気味で、2022会計年度(2021年10月から2022年9月)の国防総省の予算案の規模は7150億ドルとインフレを考えると実質削減となった。特に海外の緊急軍事支援の予算はバッサリと削ったので、もし尖閣や台湾など海外で武力衝突の有事が起こったらどうするのかと心配する専門家もいる。要は、バイデン政権は、尖閣や台湾の有事の時は軍隊を派兵せず、守る気持ちが全くない意思を示したと解釈されるのである。

今年入れて向こう4年間、このままバイデン政権が続けば、表向き米国はしっかり中国共産党の脅威に対峙し台湾や尖閣、沖縄を守るようなそぶりを示し続けるだろう。しかし、軍事強国になった中国共産党がこのビッグチャンスを逃すはずはない。
米国が日本や台湾の軍事支援をしない、守らない、守れないことがわかれば、北京オリンピックを待たず、怒涛のように奇襲的な攻撃をかけ、台湾や尖閣の軍事支配を実行するのではないかと予測する専門家もでてきている。

いよいよ台湾も、香港のような中国の自治区の一つになる悪夢が確実にやって来ようとしているのである。その次は、尖閣侵略であり、さらに沖縄が琉球として中国に支配され、中国が今の米国のように日本を従属させ、実質、政治的なコントロールをするのではないかと心配する識者も増えている。

つまり、台湾が中国共産党に支配されたら、尖閣や沖縄だけでなく、日本が中国の勢力下におかれるという意見が主流になってきている。台湾を掌中に収めれば、地政学的に分析すれば、日本を隷属させることは簡単であり、素人でもそうした状況が容易に推察できる。

結論として、米国がバイデン政権になって、国際情勢がますます不安定化する方向となっている。こうした政情不安の状態を脱するため、米国議会が再び強い権限をもって、強いまともな政策を実施させるか、あるいは、トランプ元大統領のような優れた指導者がもう一度、現政権の政策へ関与して、影響力を発揮できる新しい政治の仕組みが創出されないとますます世界の政情は混乱し、米国経済もある時点から、急速に悪化する可能性もある。
戦争も今までより高い確率で勃発する可能性は高いとみている。

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