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自民党は時代の寵児、高市総裁候補で選挙を戦うかも知れない

令和3年8月26日

社会資本研究所

南 洋史郎

悪いことは悪いと悪びれず気持ち良く謝罪できる政治家はそういない

菅首相はつくづく気の毒な政治家かも知れない。広島の原爆記念日では飛ばし読み、長崎では時間遅れ、いずれも側近がしっかりしていたなら、絶対に起こりえない小さく見える大きな不祥事である。広島も長崎も左翼の活動家が多い土地柄だし、政治の世界は魑魅魍魎、政敵や工作員などさまざまな怖い勢力が蠢(うごめ)く摩訶不思議な世界である。どうするかとみていたら、怒ることもなく、人のせいにもせず、淡々と悪いことは悪いと悪びれず気持ちよく謝罪した。これって、できそうで、なかなかできる政治家は少ない。

これでは、いかなる反対勢力も、暖簾に腕押し、それどころか、マスコミがどう言おうと一般の国民は馬鹿ではない。左翼は、相変わらずだなと彼らの株を下げただけの話となった。ネタにするのは、どこかの左翼ドクターの書記長ぐらいだろう。逆に黒い雨の訴訟団の代表が、菅首相へ感謝していたので、それが本当の評価なのか、すごい人だなとわかる人はわかったと思う。

昨年9月に総裁になられ、最初は失礼ながら、菅首相の外見で大丈夫かなと勝手に心配、昨年の秋から数か月間、コロナ感染対策では、尾身会長が横に鎮座し、記者会見をされるたびに弱々しく、大丈夫かな、どっちが首相かなと勘違いしそうであった。対策分科会の会長は、ドクター利権の医療機関の大組織の大御所のお一人である。裏方におられた医療の世界の親分のお一人が、昨年の春の新型コロナのパンデミックで、ついに表舞台に颯爽と登場されたと理解していた。そうした大御所が登場するということは、この新型コロナ、かなり深刻なもので、経済を止める荒療治が始まるのかと多くの国民は身構えたのではないかと思う。実際、その通りとなった。

話はそれるが、一昔前にドクター利権の親分中の親分で、武見太郎という日本だけでなく、世界の医師会の頂点まで極めた首領(ドン)がおられた。首相であろうと、時の政治家に対して、ズケズケと臆面もなく意見を言う迫力はすごく、その息子さんが、自民党におられるが、伝統的にドクター利権の総元締めの方はみな能弁で有能、魅力的で、怖さや迫力があり、政治屋である。ただ、皆さん悪いことは悪いと悪びれず謝ることは絶対しない、いや、できないのだ。

新型コロナ対策分科会の言うことを国民は聞かず、首相の人気も下げた

昨年春から新型コロナ対策分科会が発足して、様々なドクター利権の親分たちが、俺はこの世界の専門家だ、プロだ、お国のために仕方ない、一肌脱ごうではないかという触れ込みで、次々と集まり、感染の専門家と称する方が中心のプロジェクトがスタートした。国民は馬鹿ではない。新しいパンデミックの場合、だれも状況を的確に把握し、対処できる専門家なんてこの世に存在しないことは百も承知である。
真の意味の専門家なんてどこにもいない、わかっているのは、日々刻々と変化する様々なコロナ・パニックの事象に関する情報を正しく分析し、的確に最善策、次善策を講じられるリーダーが必要なだけである。無名の素人の意見でも、拝聴し、どん欲に提言に取り入れる謙虚さと度量が求められるのである。

ところが、昨年の春から今年の春まで、感染の専門家と称する方の意見を取り入れ、緊急事態宣言とやらを4回も繰り返し、その間、飲食店や旅行業者など様々な業界は、経済を完全に止められ、地獄のような規制を強要された。病気で死ぬのではなく、倒産で一家離散の厳しい経済状況へ追いやられる、コロナ不況で殺されそうな人たちが急増した。

実際、経済苦境から自殺をしたのではないかと考えられる不幸な方が、昨年4月より今年3月までに3700人、月換算で平均3百人増えているという計算の統計もある。昼間、人身事故のアナウンスで電車が止まるケースがやたらと増えた。

こんな厳しい環境で生活をする人が増えた時に、俺は医者の親分だ、経験豊富だ、言うことをきけと上から目線で話をされても反発されるだけである。すでに、一年経って、分科会の提言をまともに聴く人は少なくなった、というか、日本人の多くがそっぽを向いて聞かなくなった。ただ、国民やマスコミは、医者の組織の親分を敵に回すと後が怖い。誰も入院した時に、自分の命を預け、お世話になるから、医者同士どんなつながりがあるか分からない、怖いので、嫌われないように黙って、面従腹背の状態になっているのである。

そんな医者特権の意識もあるのか、対策分科会の会長の専門家の権限をはるかに越えた政治的な発言が続いている。「オリパラはコロナ感染対策のために無観客にすべき」、「デルタコロナで病院がひっ迫し、政府が自宅待機を命令したが、それは聞いていない(承知していない)」、「今は災害医療の考え方が必要だ、感染者を抑制するために法律で個人の私権を制約すべき」などなど普通の政治家なら恐ろしくて言えない発言が次々と飛び交っている。
それを容認し続ける菅首相や田村厚労大臣など政府へ痛烈な厳しい批判が続いている。

実際、折角、オリンピック開催を成功させ、パラリンピックも順調に続いているが、アンケートをとると菅首相を評価する声は小さい。むしろ、否定的で5割が評価せず、3割弱しか評価していない調査結果もある。無観客の判断で、首相などオリパラ関係者へは、いくらコロナがあったとしても、国民の参加を否定する政策に反発しているネット記事も散見される。アンケート結果は芳しくなく、コロナ感染爆発と分科会の政治発言で、菅首相の人気は著しく下がったが、マスコミが、それを表立って批判する雰囲気は感じられない。マスコミの政府批判は、安倍首相の方がひどかった感じはしている。

目立たないが菅首相は歴代の首相の中でも優秀な政治家かも知れない

政府批判が少ないのは、首相が、目立たないが、国政の仕事をしっかり取り組んでいると評価されているからであろう。経済界から分科会への苦情が増えてきた、すると静かに波風立てず、政府のコロナ対策本部が実質、政策実行を主導するようになってきた。でも、それを公表して分科会の面子を潰すようなことはしない。要は敵をつくり、退治する無駄なエネルギーに費やすより、敵をつくらず、足を引っ張られず、必要な政策に集中することで、国民に役立つ施策を優先実行しているのである。

人の心を読んだ賢い立ち回りが必要であるが、それができるのである。だから一般の国民から見ると左寄りなのか、保守寄りなのか、何を考えているのかわからない。本当は、国民寄り、国民ファーストなのであるが、口下手で大人しく見えるので、かなり損しているのである。あのバイデンと台湾海峡の有事の対策を決め、岸防衛大臣を登用し着実に尖閣有事への備えを強化、短期間で数千万人以上にワクチンを接種し、逆風の中、無観客でもオリンピック開催を成功させ、黒い雨の訴訟問題を片づけ、デルタコロナが猛威を振るうと自宅待機でも中等症以上の感染者が円滑に診てもらえる体制を短期間で構築するなど、結構、政治家としては、すごい実績を築いているのである。

ところが、有難迷惑のところもあるのだが、公明党の山口代表や二階幹事長が、菅政権へ近づき、首相を応援するスタンスをとったら、いつの間にか、ネットジャーナリストから親中派のレッテルをはられる。飲食店への助成金、補助金の支払いが滞って、さらなる財政出動の派手なパフォーマンスが見られないと緊縮財政派のレッテルを貼られる。仕事の実績を築きながら、評論家から、不名誉にも、民主党の菅(かん)元首相と同じと揶揄され、駄目で無能と勘違いされ、これほど、仕事の実績と評価が乖離、損する政治家も珍しい。 自己アピールや国民をリードするパフォーマンスも政治家として欠かせない要件ということなら、残念かな、この点については劣るので、なかなか評価されないのであろう。

日本人でも、経済人や実務家は、目立たなくても、実行力のある人の実績をちゃんと評価するところがある。アンケートは、菅首相の評価が3割弱で低いかもしれないが、この3割弱は結構、仕事を評価している岩盤層ではないだろうか。5割が評価をしていない、おそらくそれは、目立たないから、仕事をしていないように誤解、錯覚する社会階層だと思う。つまり、仕事の中身のクオリティの高さを国民が広く知り始めたら、高評価につながる可能性もあるが、無派閥で、その評価をちゃんと伝える広報宣伝マンの議員が自民党にはいない。

自分の派閥議員がいると、テレビや講演会などいたるところで、宣伝をしてくれる。ただ、性格的にそんな演出は敢えて嫌っている様子もうかがえる。また、是が非でも首相職にこだわっている様子もない。私欲の少ない地味な性格なのであろう。仕事が生きがいで実務を次々とこなすが、評価されない、普通なら露骨にやる気を失った表情になるが、本当は心の中でそうした葛藤はあるかもしれないが、表情には一切出さず、淡々と政務をこなす姿は、今までにない黒子、裏方でも割り切れる貴重な珍しいタイプの政治家かも知れない。

正直言って、ここまで国政のトップとして仕事をうまくこなせている人は少ない。その他の有力候補は、弁がたち、説明もうまく、能力も高い、いろいろマスコミ受けが良く、大きく取り上げられるかも知れない。ただ、格好の良い、現実離れした政策におぼれ、間違った方向へ舵取りをする危険性もはらんでいる。今の日本の政治は、かじ取りがとても難しい岐路に立っている。どんな政治家も政策のプロとは言っても、この危機的な状況を淡々とこなせる能力を持った政治家は限られているのである。

時代の寵児、高市総裁候補が表看板となれば、自民党は選挙で圧勝する

結論から言えば、高市早苗議員が、総裁選に立候補して総裁になり、10月の総選挙で自民党が戦えば圧勝する可能性が高い。安倍首相の流れをくむ保守本流で、積極財政路線、国民へも分かりやすい説明ができ、是是非非で物事が判断できる有能な政治家である。日本初の女性首相の登場というのもマスコミが注目するので、強烈な選挙アピールになる。立候補する議員が次々と一緒に写真をとりたがるシーンも目に浮かぶ。今回、地方の議員票も含まれるので、高市早苗議員が総裁選に出馬すれば、20年前に自民党をぶっ壊すと主張して総裁になった小泉首相のような小泉旋風の風が吹いて、圧倒的な地方議員票をとって圧勝するかも知れない。高市総裁候補がでたら、流石にどんな現役の首相でも、時代の流れ、時代の寵児には勝てないであろう。

その時の菅首相の身の処し方が気になるところであるが、おそらく、淡々と負けいくさを認めながらも、総裁選に出馬して対抗馬となり、高市総裁候補が圧勝した後も、今度は裏方、黒子にまわって政権を助けていくのではないだろうか。高市首相のもとで、もし外務大臣に安倍副首相、官房長官に菅副首相、財務大臣に麻生副首相という政権が誕生したら、これはとんでもない危機対応の強力政権になるが、果たしてそうなるかは未知数である。ただ、そのようなドリーム政権が見えてきたら、10月の衆議院選挙は、自民党圧勝となる気がする。

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