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米国弱体化で日本を守れるかを問う自民党総裁選と総選挙

令和3年9月8日

社会資本研究所

南 洋史郎

アフガンでわかったバイデン大統領による深刻な米国の弱体化

8月31日に米国はアフガンから軍を完全撤退させ、バイデン大統領が演技力たっぷりに予め用意されたテロップをみながら、恥ずかしげもなく、撤退の正当性を主張していた。 米国や欧州、日本など西側の同盟国の大使館員やその関係者など大量の民間人を首都カブールに残したまま米軍だけが撤退した後の演説である。米国内のほとんどのメディアは痛烈な非難を始めた。心ある政治家なら躊躇する内容の弁明も平気で堂々と一方的に話をする姿は、認知症どころか、サイコパス的な精神の二面性の疑念すら感じるものであった。

もともと昨年11月に大規模な郵便投票による不正選挙で米国民の大多数が支持しない中、米国政治を陰で動かす強大なディープステートといわれる闇勢力の剛腕で誕生した不正政権である。流石に今回の撤退劇のひどさに民主党を応援してきた米国民でさえ、印籠を渡さざるを得ないほど、大統領としての資質に著しく欠けた政治判断となっている。今まで、民主党に好意的なマスコミが痛烈な大統領批判を始めたが、そんなことで動じるような人物ではないらしい。自爆テロで亡くなった米兵の棺が空港に到着して、通過する前で、時計をみながら、時間を気にする信じられない姿の写真がスクープされていた。

前政権のガニ大統領(国外逃亡済み)が6月から8月初旬まで、何度も首都カブールの米軍の軍事支援を頼み込み、何とかすると約束しながら、結局、何もしなかった。撤退時にタリバンへ米国人やアフガンの協力者リストを渡して庇護を要請したが、逆に暗殺リストになるのではないかという懸念もでている。政権交代まで、トランプ政権の下でタリバンは一定の地域に拘束、隔離された状態であったが、1月20日以降は、タリバンがその拘束から解き放たれ、全土へ急速に勢力を拡大したという記録もあるらしい。タリバンがこれほどまでに全土を短期間で掌握するとは誰も想定できなかったという話だが、中国や米CIAの関係者は、7月中旬までに全員が完全撤退を完了したと言われている。また、これが今後の世界情勢に最も危険な問題を引き起こす懸念となったが、850億ドル(9兆円強)の莫大な米軍の最新の軍事兵器が、手つかずのまま、アフガン国内にそのまま放置され、それをタリバンが隣国イランなどへ転売する動きも出ているようである。すでにその兵器量で世界の軍事力の26番目にアフガンが躍り出たという話もあり、中近東における世界の軍事バランスが大きく崩れる可能性がでてきている。

以上の現地情報はいろいろ錯綜し、信ぴょう性が確認できず、現地が混乱の極みとなっているが、一つ確かなことは、バイデン大統領がアフガン撤退の判断を間違えたため、西側の大量の民間人が、結果的に人質状態となり、アフガニスタンに取り残されたという厳しい事実である。そして、今後もバイデン大統領が政治的な判断を間違い続ける可能性が高く、米国の国力を削ぐ逆効果の決断も次々とするのではないかという懸念すらでてきたのである。

タリバンの次は韓国での誤った米国の軍事撤退、軍事衝突の懸念

タリバンの政治姿勢は穏健化しているという情報もネットで流れている。しかし、一方でアフガンに貢献し殉職された中村哲先生の壁面肖像を抹消するなど、すでに過激で残忍なタリバンを彷彿とさせる話題も事欠かない。一部で殺戮も始まったのではないかという噂も絶えない。19世紀には当時の大英帝国がアフガンから撤退しようとして、ほぼ全員が惨殺され、1979年からソ連兵が10年近く駐留したが、傷つき撤退、その爪痕は大きく、ソ連崩壊の原因の一つになったとも言われている。

アフガニスタンは「帝国の墓場」と形容される。古代ギリシャ、モンゴル帝国、ムガール帝国、大英帝国、ソ連の強大な帝国が、敗退し撤退が繰り返された曰く因縁の国である。
米国もついに不名誉な墓場の仲間入りとなった。アフガンでわかったことは、米国はバイデン大統領になって、もはやアジア、中東、アフリカ、南米での軍事を含む覇権国家としての支配力が急速に弱体化しているという事実である。

近い将来、韓国からもおそらく米軍の撤退が実施されるであろう。来年、2022年5月9日に任期満了となる文政権の後の政権がどのような政策をとるかにもよるが、現政権並みの左派政権が継続すれば、バイデン政権の下で米軍はさっさと躊躇なく撤退すると予想している。すでに韓国の軍事費は増額に増額を続け、日本と互角のレベルとなり、北朝鮮や中国を敵視するなら不要で、日本を敵視するなら必要な空母や原子力潜水艦の建造を推進する計画となっている。

来年以降5年間、左派政権が国家運営を継続すれば、中国と肩を並べる強大な反日、反米国家が誕生する可能性が高い。技術的に原子爆弾保有も可能なので、米軍が誤って早期に撤退すれば、次の左派政権で北朝鮮より脅威となる原爆保有国が新たに生まれる可能性も高くなっている。こんな話をするとそんなことは絶対に起こらないと否定する日韓の有識者や評論家は多いが、ミャンマー、アフガニスタンとバイデン大統領の致命的な失政が続く限り、その可能性はかなり現実味を帯びてきたのではないかとみている。韓国で保守政権という触れ込みで、新政権が誕生しても、暫くは慎重に様子を観察しないと危険である。

韓国や北朝鮮は、日本人が考えるようなやわい国ではない。いやむしろ、昔から中国という大国から圧力を受け、踏まれても揉まれても、強かに生き延びてきた先進国になった極東のアフガンのような強靭なサバイバル上手な国である。民衆は、厳しい生活にも耐える知恵や根性をもち、時代の流れを読んで、近隣の日本や米国のようなお人好しの国や人をうまく引き込み、その資金力や経済力をどん欲に吸収しながら、軍事を含む国力を高め、経済パワーを誇る国である。強烈な民族アイデンティー、負けず嫌いの個性から、いつかは日本や米国をやっつけ、凌駕することも夢見る上昇志向の強い国である。

従って、欧米や日本の常識では理解できない独自の政治論理を貫く限り、日本は韓国とはいかなる交渉も難しいと割り切り、距離を置いて、一切関わらない政治姿勢を継続することがベストな選択であり、米軍撤退後も、不関与、不干渉、不介入といった外交的な選択はとらざるを得ないであろう。予測したくないが、バイデン大統領による米国の誤った韓国からの早期の米軍撤退で、部分的な武力衝突も覚悟する局面もやってくるかも知れない。
とにかく日本は、韓国については、一枚上手の交渉上手の国と割り切り、部分的な軍事紛争が起こっても、冷静に静観し続けざるを得ないとみている。

米国弱体化で中国が覇権を増し台湾占領を想像した後の未来は暗い

    

今年の7月にユーチューブのような中国の動画共有サイトに「6軍事戦略」と名乗る2千万の登録者があるとされるサイトに「中国が台湾を開放する時に日本が一兵でも中国と交戦したら、中国は今まで非武装国に最終兵器(核兵器)を使用したことはなかったが、日本だけは例外として、躊躇なく核兵器を日本が無条件降伏するまで平和交渉することなく使用し続ける」、「尖閣や沖縄を日本から解放する」など複数の刺激的で、かつ日本という国家に対する侮蔑的、屈辱的なビデオを堂々と中国国内で放映していた。

国際法上も非常に問題のある動画を中国国内で放映し続け、その異常な内容の深刻さにインドなど海外のメディアが取り上げ報道したのである。しかも、日本のメディアはその存在を知らないはずはないのだが、全く取り上げず、無視しており、日本での深刻な報道問題となっている。世界で唯一の被爆国の日本へ原爆で大量殺戮を予告、恫喝するという深刻、かつ悪辣な動画であり、外交問題になる事案となっている。このまま、中国政府が容認して、堂々とその放映を認めていること事態、国際法上も決して許されるものではない。日本の外務省は、中国の駐日大使へ厳重に抗議するとともにそのビデオ放映の責任者を取り締まるように抗議すべき外交事案ではないかと考えている。場合によって、9月の中旬以降に開催される国連総会でも、この動画の存在を問題として取り上げ、日本の台湾海峡の防衛の正当性を主張し、日本は国防のためにいかなる恐喝的、侮辱的な威嚇行為にも屈しないと主張すべきである。菅政権は、最後の仕事の締めくくりとして、ビデオ演説でもこうした台湾海峡をめぐる中国の威嚇行為に抗議して欲しいと願っている。

ただ、今後もバイデン大統領による国際的な失政が続けば、米国が将来、台湾を守れない事態も想定される。なにしろアフガン撤退のこの時期にあの気候問題を表向きの口実に中国と様々な外交交渉をおこなう特使になっていると噂されるジョン・ケリー特使を9月1日から3日間も中国へ派遣している。バイデン大統領は昔から裏表がある政治家として有名だが、アフガン情勢に関連し、ケリー特使を通じ、中国と何らかの交渉をしたのではないかと疑われている。その内容は知る由もないが、もしも噂されているようなチャイナメリカ(ChinAmerica)的な関係の外交交渉であれば、米国民がさらに激怒することは間違いない。

バイデン大統領による今後予想される外交失政で日本が最も恐れる事態は、台湾から突然、米国の軍事プレゼンスがなくなり、実質的な撤退がおこなわれ、予め打ち合わせたようにそれに呼応して間髪入れずに中国が台湾を電撃的に軍事侵攻することである。台湾が中国領になった後、今度は、バイデン大統領は、日米同盟を一方的に破棄し、米軍が日本から突然、撤退する可能性もでてくると予想している。そうなれば、撤退と同時に尖閣諸島や沖縄へ中国軍がなだれ込み、米軍不在の日中海戦が現実化するであろう。アフガンでわかったことは、バイデン大統領のYESはNOで、NOはYESとなって、全く信用、信頼できない人物であることが明白となったことである。

そうなると中国共産党は、国防の武力衝突中も、堂々と核兵器で日本を恫喝、日本の自衛隊は対抗できなくなり、中国の政治支配下におかれる日も近づいてくる。中国の元という通貨単位は、日本語で円の意味であり、中国共産党が将来、日本を経済支配することを念頭に通貨単位にしたと言われている。ついに日本も中国の自治区的な扱いとなり、中国の経済圏に組み入れられ、ドル通貨圏から元通貨圏となり、中国共産党の日本の政治支配の悪夢が急速に現実化する。

こうした中国の経済侵略や政治支配から、数十年以上の月日が経てば、天皇制は消滅、日本という国体が完全に無くなり、中国の属国として、香港のような言論の自由がない監視社会に切り替わり、中国の一部の地域の経済圏へ組み入れられる可能性が高い。日本自体は、住み良い美しい国なので、チベットやウイグル同様に漢民族、特に未婚の中国の男性が、日本へ大量に移住、日本の女性との結婚が進み、日本の男性は隅へ追いやられ、漢民族中心の人口2億人を超える日本自治区が生まれる可能性も視野に入れないといけない。

中国が台湾を攻略、支配した後は、日本だけではなく、欧米の先進国へも経済的な支配力を高める可能性が強く、オーストラリアやニュージーランドは経済支配下におかれ、ハワイ以西は、米国に代わる新たな覇権国家の中国が支配する連邦国家群となっていくのである。 現在、米国では、アマゾンプライムで1960年代のSF小説「高い城の男(The Man in High Castle)」という日独伊の枢軸国が勝利した後の架空の世界を描いたSF歴史ドラマが新たに制作、放映され、話題を呼んでいる。まさに民主党のバイデン大統領により、歴史のいたずらで、中国共産党とロシアの2大帝国が、実質的に世界を支配するというSFストーリーもあり得ない架空の話ではなくなり、台湾が支配された後は、高い確率で日本も中国の属国となることが、現実化すると予測できるのである。その意味で、バイデン大統領は、旧知の習近平主席の中国にとって、ありがたい存在となるであろう。

台湾防衛にはクワッドへの英国加入と日英同盟の締結が必要

以上のSF小説のようなバイデン大統領の失政による最悪のシナリオを回避するためには、予め失政が行われても、それを防ぐ外交上の施策を早め早めに次々と講じる必要がある。その中で、現実的に最も重要な外交政策は大きく次の3つであると考えている。

一つ目は、昨年11月に締結されたRCEPからの脱退である。すでに中国は国である台湾を開放と称して軍事侵攻することを公言している。一方、日本は、台湾が侵略された場合は、国防上の死活的な存立危機事態になると表明している。その台湾を開放(侵略)すると公言する中国が加盟するRCEPで、まともな経済関係がとれないことは明白である。また、7月に最終兵器で日本を威嚇する侮辱的な動画サイトを放置する国家とは、まともな交易関係は難しいと補足的に理由付けをしても良いと思われる。

おそらく、日本が脱退を表明すれば、オーストラリアやニュージーランドも脱退するので、台湾問題で中国に配慮する必要は無くなる。経済人も馬鹿ではない、日本がRCEPを推進できる状態ではないことは既に百も承知である。つまり、いかなる台湾有事が起こっても、その場合は、軍事オプションと同時に国交断絶、貿易交易の完全遮断、元と円との通貨交換の全面禁止がセットになると表明することになるのである。クワッドに加盟しているオーストラリアも貿易と通貨交換は全面禁止にするであろう。唯一、バイデン大統領の米国が優柔不断で躊躇するかも知れないが、何をしでかすか、まったく読めないので、無視せざるを得ないであろう。

二つ目は、クワッドとTPPへの英国加入を働きかけることである。英国も何らかの見返りが無いと加入しにくい。そのあたりの交渉は早めに始めながら、互いにメリットのある関係構築を目指すのである。TPPに米国は加入していない。その意味で、英国加入でTPPにさらに多くの自由陣営の国が加入する可能性も出てくる。

三つ目は、英国との強固な日英同盟の締結である。日英同盟を締結する場合の一番の障壁は、有事の時に互いに軍事的に支援する条項を盛り込めるかということである。その場合、憲法9条がネックとなっており、この条項を今後の継続交渉にして、まずは英国との間で多角的な経済交流、投資支援などの交流を促す経済的な関係を中心とした緩やかな関係の同盟締結を目指すべきである。

米国の弱体化で日本を守れるかを問う自民党総裁選と総選挙

アフガン撤退で判明した深刻な米国の軍事面の弱体化が心配される中、日本の政治も大きく揺れた。8月30日に親中派の二階幹事長の交代が決まり、9月3日に菅首相が総裁選に出馬せず、9月末の退陣を表明された。その翌日の9月4日に英国の最新鋭空母クイーンエリザベスが横須賀に寄港、その後、最強空母打撃群のその他の艦艇も佐世保港など国内の軍港へ次々と寄港している。

もともと決まった寄港スケジュールで、偶然だったかも知れないが、日本の政治がこれから大きく変化し、台湾や南シナ、香港の中国の脅威に対抗し、英米日がしっかり連携がとれる政治体制になるかどうかを、英国がかなりやきもきしたのではないかと推察している。 なにしろ、自民党が党内全員賛成で、対中国のウイグル弾圧の非難決議を、6月16日の国会閉会前に国会決議しようと6月14日に二階幹事長へ持ち込んだところ、与党親中派の公明党の反対もあったといわれ、国会への提出が阻止されたのである。日本国内でも保守系のメディアでは大騒ぎとなったが、欧米ではその報道が驚きをもって受け取られた。

今回の日本の自民党内の政変劇や総裁選挙、その後に続く総選挙の国民目線からの政治テーマは「日本と国民を守る」の一言に尽きる。コロナ感染から国民を守り、疲弊した経済から企業と雇用を守り、米国弱体化による中国脅威から日本を守る。その面で、国民や企業の多くは、今年初めから5月ごろまで続いたTVマスコミや共産党の左派勢力による異常なオリパラ中止運動には辟易(へきえき)してきた。

コロナ感染では、尾身分科会会長のオリパラ無観客の政治発言や西村大臣の酒類提供抑制への金融機関関与発言、間の悪いことにデルタコロナ感染が欧米同様に日本でも拡大、自民党政権だけが悪いわけではないが、TVマスコミの連日の菅政権への責任追及報道の影響もあり、国民の怒りが爆発、それが菅政権にとっても命取りになったとも言われている。

今回の自民党総裁選は、こうした与党の自民党政権の大きな負の部分、国民からみて「日本を守る」と到底思えない政治行動をどこまで清算できるかが大きな争点になると思っている。すでに幹事長の交代は決まった。総選挙前に公明党との選挙協力関係をどこまで清算できるかも争点となろう。これは、自民党が圧勝できる総裁候補を第100代の首相として総裁選で選出できるかどうかにかかってくる。

さらにコロナ対策の医療の組織体制を一新する抜本的な改革や疲弊した飲食、宿泊、航空、イベントなどのコロナ被害業界への強力な経済対策、さらに国民が人流を気にせず、自由に行動できるワクチン・パスポートなどの対策、そして最後に有事になっても安心できる憲法9条改正や万全な国防体制構築のための軍事予算の大幅増額といった日本を守ることへの政権コミットメントが総選挙圧勝のための重要な要素となってくる。

こうした諸条件をクリアできる候補となると、国民にとって頼りになる保守本流でズバッと大胆に政策転換できる総裁の選出が必要不可欠となる。それは今のところ、時代の寵児、高市総裁候補しか考えられないのである。高市首相のもとで、自民党の総選挙圧勝が実現、その前から公明党との選挙協力の大胆な見直しが行われれば、自民党単独政権の実現も視野に入ってくるのである。

高市首相と力強い元首相の副首相の外務大臣、官房長官、財務大臣のもとで、日本を中国の属国にしない憲法改正を含む強力な国防体制や国民が自由に活動できるコロナ対策体制が構築され、当面、増税を考える必要がない財政投融資の莫大な資金を使って、積極財政が展開されるのであろう。そうした新たな「日本と国民を守る」体制の構築が具体的に実現する予感が出てきた時、日米同盟は堅持されたとしても、著しく弱体化していく米国に頼らなくて良い国防体制が構築できると予測している。また、中国依存の経済体制、すでに経済面では、中国の属国化が静かに着実に進行しているが、そうした危険な経済関係から脱皮して、メードインジャパン、日本製が中心の新しい日本社会が実現する予感も現実味を帯びてくると考えている。

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