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武漢コロナで台湾が国として承認される!

令和2年4月2日

評論家 南 洋史郎

80年前の東京オリンピック中止の悪夢を回避でき安堵

2020年東京オリンピック開催が延期となった。一番危惧したのは、日本が優柔不断で開催をどうするか躊躇する間に、欧米の感染状況が悪化、オリンピック委員会が一旦、開催を中止、白紙撤回されることにあった。それゆえ、安倍首相が人類共通の敵の武漢コロナに打ち勝つためのオリンピックと定義し、完全な開催を主張した姿勢は高く評価できる。開催権限のあるオリンピック委員会のバッハ会長も、この日本の凛とした開催への強い思いを高く評価、直ぐに1年延期に応じたのも良かった。このやり取り前に一部ネットを含むマスコミが、愚かにも無責任に開催中止を叫び心配したが事なきを得たので安心した。

今回、武漢コロナが短期間に世界規模で感染爆発が起こった背景には、昨年12月8日に原因不明のサーズの症状に似た患者が初めて武漢で見つかり、習近平主席含む中国共産党幹部が事の重大性を認識しながら、1月20日まで具体的な指示を何もせず、1月23日に武漢を突然封鎖するまで隠蔽し続けたことにある。罪深いことにさらにその隠蔽にWHOの事務局長が加担、いつまでもパンデミック宣言や海外渡航制限を宣言せず、親中のイタリアやイラン、韓国や中国の習主席の国賓招聘予定の日本が2月以降も中国からの観光客を規制せず、受け入れ続けたことも感染を拡大させた要因と考えている。

中国が絡む災難でオリンピック開催が危ぶまれたのは今回だけではない。ちょうど80年前の1940年にも中国絡みで、日本が東京オリンピック開催を返上、中止した悪夢がよみがえる。3年前の1937年7月7日に中国軍による駐留日本軍への銃撃に端を発する盧溝橋事件が勃発、7月29日に北京で200人を超える日本人居留民を中国人軍隊が惨殺する通州虐殺事件が起こった。これを機に日本は中国で泥沼の日中戦争に突入、欧米の反発もあったが、日本の政治家(河野一郎議員)からオリンピック返上が提議され、結局、日本が自主的に開催を断念したのである。 同年札幌で冬季オリンピックも開催される予定だったが、これも断念したので、2つのオリンピックの開催をあきらめたことになる。

過去の中国絡みの悪い記憶、縁起の悪さを払しょくするためにも、今回の東京オリンピックだけは、日本から中止せざるを得なくなる状況は避けて欲しかった。3月に1年後の延期が決定、来年7月23日の開催日も決まり、その手際良い対応は称賛に値する。

 

武漢コロナに勝利するために3つの目標達成が必要

1つ目の目標は「武漢コロナ致死率0の達成と感染収束」である。仮にワクチン開発に時間がかかっても、武漢コロナを完治する薬や対症療法を確立、結核のように恐れなくて良い状態となり、世界中の国々の感染拡大を早期に収束させることである。

2つ目の目標は「経済の早期回復と疾病に強い経済体制の構築」である。1月下旬から少なくとも4月下旬までの3か月間以上はマイナスの影響のある中国等の海外の観光客激減や海外生産中断、サプライチェイン寸断、外出自粛、自宅待機など、ガタガタになった日本経済を早期に回復、立て直すことである。そして、今後想定される第二弾、第三弾のパンデミックの恐れのある疫病への万全な対策と疾病に強い経済システムへ社会体制や仕組みを構築することである。

3つ目の目標は「国内生産への回帰と国防の強化」である。今回の武漢コロナ騒ぎは、日本人の意識を180度変える歴史的な転換点となった。一般の日本国民の意識は、もうこれ以上、中国共産党絡みの厄災の火の粉が日本へ降りかからないように徹底的に日本を守る具体的な対策をとることに関心が向いている。日本、日本人が民主的でない覇権主義の共産党一党独裁の国家中国とは決別、今の中国とは疎遠な関係になることを意味する。

今後は中国共産党一党独裁の中国と疎遠な関係が続く

日本と中国、支那との有史2千年の歴史的な関係は複雑である。一言で言えば、密接な関係の時期と疎遠な関係の時期があり、その都度、日本は高い代償を払い続けてきたのである。西暦907年までの遣隋使、遣唐使の時代は、中国は日本より技術、文化、仏教などが進んだ先進国で、中国へ留学して学ぶ密接な関係の時期であった。朝鮮の百済に味方して、663年の白村江の戦いで唐と新羅に大敗したこともあったが、それ以外は国同士の近い関係は続いた。

907年から1270年までの400年弱は中国分裂の時代で宋を中心に様々な小国が入り乱れ、日本はその間、中国とは疎遠な関係となったが、平安時代に日本文化が花開き、鎌倉時代で武士の文化が生まれた。1271年から1368年の元、1368年から1598年の明、1600年前後から1911年までの清と600年強の長い疎遠期間において、日本は鎌倉、室町、戦国から江戸、明治と中国と交流はほとんど無く、日本独自の路線を歩み、明治時代に西欧から学んで短期間で近代国家へ変身させてきたのである。

元の時代の1274年と81年の文永・弘安の役では元と高麗の軍隊が攻め入り、1592年、93年の文禄・慶長の役では逆に豊臣秀吉が朝鮮から中国へ侵攻した。1894年、95年の日清戦争では、眠れる獅子といわれた清と戦い、日本が勝利した。日本とのどの戦いも、元、明、清が滅亡する契機になったと言われている。つまり、中国から見れば、日本は鬼門であり、相手にしたら王朝が滅ぼされかねない危険な国なのだ。

日本は、千年近くも中世の時代の中国とまともな関係を樹立することが難しいと理解して、疎遠な関係を続けてきたのである。そのおかげで、1348年から1420年に中国で発症、世界中に感染を広げ、中世ヨーロッパで猛威をふるった1億人が死んだと言われるペスト(黒死病)の影響をほとんど受けずに済んだ。天然の要塞の海に囲まれた日本と異なり、欧州は中国と地続きで、疫病の感染、伝播が早く、それが欧米の黄禍論という東洋人への偏見につながった。ペストの大流行で絶滅の危機に瀕した欧州人の地獄のような経験を考えれば、中国人や同じ外見の東洋人を見て警戒心をもつ気持ちはよく理解できる。

1911年の辛亥革命で中華民国が建設され、孫文が初代大統領となり、蒋介石が後を継ぎ、20年後の1931年に満州事変が勃発、翌年の1932年から45年まで満州国が建設され、わずか13年で3千万人強から4千万人強へ1千万人も人口が増加、一方で日本は中国国内で泥沼の日中戦争を展開することになった。1946年に満州で通化事件が起こり、1945年の敗戦後も満州に残留させられた一般の日本人3千人が老若男女を問わず、中国共産党軍の八路軍により虐殺された。

1911年から46年の35年間は、日本は中国とのどろどろの危険な関係をもったと言える。その後、1949年に中国共産党独裁の中華人民共和国が樹立され、1972年の日中国交正常化まで、四半世紀は断絶に近い関係が続いた。日本はその間、高度経済成長をおう歌し、経済や社会が飛躍的に成長した。1972年から1989年の天安門事件までの中国は発展途上の貧しい国だったが、少しずつ成長をはじめ、天安門事件の後、数年間は伸び悩んだものの、1990年代に再び日本と中国は経済関係で急接近、日本から莫大な資金とノウハウをどん欲に吸収し続け、2020年の今日に至るまで密接な経済関係が続いている。

1911年から46年までの35年間の険悪な戦争時代、1947年から1972年までの25年間は断絶の時代、1972年から2020年までの約50年間を経済関係の時代と形容すると2020年以降は、中国も民主化に向けた国家分裂の時代に入り、日本は再び中国と疎遠な関係に戻ると考えている。つまり、日本は中国へ進出した大企業でも中国との密接な経済関係を維持することが困難となり、ある程度の関係を残しながら、中国共産党とは、疎遠な関係へと大きく経営のかじを切るであろう。

中国分裂の時代となり台湾は国として承認される

 

今回の武漢コロナの世界経済に及ぼす影響は甚大である。特に米国経済や米国での感染被害はひどく、米国と共産党中国との衝突は決定的であり修復不可能である。つまり、独裁国家中国が日米欧の先進国ルールにより完全に民主化するまで、正常な関係は一切望めない。習主席派閥と江沢民派閥が熾烈な争いや闘争をしている今の脆弱な中国の政治体制では、そんな米国の要求を聞いている余裕もない。

結局、米国は近い将来、経済戦争から金融戦争へフェーズをかえ、ドルと元との通貨交換やドルの資金調達を困難にする厳しい制裁処置を講じる可能性が大きい。そうなると中国は全ての経済機能が麻痺、貿易の輸出入決済ができなくなるので、追い詰められた国がとる最終手段として武力戦争の可能性も高まる。その武力を使う矛先は台湾に向かう。

こうした背景を熟知しながらも、米国が民主的なもう一つの中国台湾を独立国として承認するのは時間の問題である。大統領選でトランプ再選が決まれば、一気に独立承認に向けた手続きも加速するだろう。それに対抗し中国がミサイル含め武力制圧に動くかといえば、圧倒的な軍事力をもつ米国との衝突を選択するほど愚かではない。

今の台湾の軍事力でも決壊の恐れのある三峡ダムにミサイルを撃ち込めば、それだけで中国は終わるからだ。また、台湾もたくさんの一般民衆の人命が失われる巨大ダムにミサイルを撃ち込むほど愚かではない。工作員を使い、だれが仕掛けたかわからない形で、さまざまな軍事的に致命的な場所に爆破工作などのゲリラ活動を展開するだろう。

さらに今の中国では、国内の内乱抑制に主要な軍事力を振り向けないといけないので、部分的な衝突でも全く勝てないだろう。あれだけ苦労して莫大な投資をおこなった南沙諸島の人工島も、いざ武力衝突が起こると、それを口実に数時間以内に米軍に占拠される可能性が高い。そうなると国内の民主化の動きは各都市でさらに激しくなり、地方の軍事組織と連携して、北京まで一気に乗り込み、政権幹部を締め上げる可能性もでてくる。つまり武力衝突を選択すると自分で自分の首を絞める結果になるのである。

現在、中国は武漢コロナが対外的に収束したと宣言している。13億人の人口をかかえる国の衛生状態を考えると短期間で収束するのは難しいと考えるのが妥当なところである。武漢以外の様々な都市にウイルスが拡散、爆発的な感染が各都市で起こっている可能性は高い。要は、今の中国は、既に統治不能な状況に陥っていると思われる。台湾を云々するどころの話ではなく、国内の深刻な失業や倒産などの経済問題を解決できず、人民の不満が爆発、その対応に四苦八苦しているのである。

米国が台湾を国として承認すれば、世界の流れは一気に台湾承認へと動く。中国国内の内乱、暴動が各都市で起これば、米国は大統領の再選前でも承認する可能性が高い。日本もその流れに乗じて、台湾を独立国として認めるだろう。そうなれば米国、日本に追随して、G7を中心に欧米など大方の国で台湾との国交が開かれるようになる。来年7月の夏のオリンピックで、台湾が国として参加する可能性もある。

WHOの事務局長は更迭され国連改革が一気に進む

国連では、WHOの中国への過度の偏りが問題となり、米国の強い圧力で事務局長が解任されるであろう。中国がトップを務める下部機関も改選で中国から他の国の人物に順次切り替わっていくとみている。今回の武漢コロナの失態で、国連における中国のプレゼンスや信頼は全くなくなり、中国から資金提供を受けてきた国も冷たく、金の切れ目が縁の切れ目、国連の台湾承認の動きも加速するだろう。 中国の政治経済面の力が急速に弱まり、分裂解体のシナリオが現実化するのにともない長年手付かずの安保理の常任理事国の拒否権を定める国連憲章27条の見直し作業も一気に進むであろう。ただ、中国以外にロシアが猛反対する可能性が高い。そこで、米国は今の旧態然とした国連では駄目と判断すれば、新しい国際組織をつくり、国連を脱退、それに日本やドイツなどG7をはじめとする主要先進国が次々と新組織へ鞍替えするかもしれない。そうなると国連を支える資金力が枯渇、国連が有名無実化、大量の国連職員が失業する可能性も高まるので、おそらく命がけで新しいルール、体制作りに奔走するはずだ。

数十年の長きにわたって、人材を育成し、国連内の人的な影響力の拡大を狙ってきた中国にとって、米国が排除の方向へ動き、短期間で違った体制になれば、今までの工作が意味がなくなるので、国連への関心も急速に低くなるだろう。

武漢コロナの問題は、欧米や日本の先進国の経済へ致命的なダメージを与えたが、それ以上に中国への政治経済へ与えるダメージが大きすぎたとみている。おそらく、日系企業などの工場は撤退を阻止するため、命がけで操業できる環境を整えると思うが、それも感染者が従業員に次々と出てくれば、逆効果となり、問題がさらに大きくなるとみている。

今回の武漢コロナ感染問題は、人知を超えた何か目に見えない力が働いているとしか考えられないほど不思議なものである。中国共産党の今までの所業に対する天の怒りのような恐ろしさを感じるのはなぜだろうか。

                          
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