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来年日本は中国との経済金融遮断を決断する

令和3年12月25日

社会資本研究所

南 洋史郎

来年寅年に日本企業は米国か中国かの二者択一を迫られ中国撤退を選択

現在の日本が置かれた状況はかなり危機的である。覇権をかけた米中の経済戦争は、大規模な経済戦争から金融戦争へ発展し、来年さらに厳しい局面を迎える。すでに中国共産党の習近平政権は、米国や英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのファイブアイズやインドなどの旧英連邦の国々、さらにフランスやドイツなど欧州のNATOの国々、その他の民主主義の国々とより敵対的な関係を鮮明にしていく。特にコロナ・パンデミックは、生物兵器由来とされ、中国共産党への風当たりはさらに厳しくなる。

来年は、今や独裁専制の悪の象徴となった習近平主席の中国共産党へ今年以上に様々な制裁、規制が強化されていく。既に米国は、ウイグル人権問題に関係する中国国内の企業の製品サービスの全面禁輸処置を講じるようになった。仮にそれが日系企業でも、米国との取引は完全に遮断される。つまり、中国で引き続き事業を継続する日系企業、あるいは、輸出入貿易で取引を続ける日本企業も、ある日、突然、身に覚えのない理由で、米国との取引が全面遮断される経営リスクを常時抱えるようになったのである。いよいよ中国とのビジネス取引を完全遮断する覚悟が必要になってきた。

すでに米国では、あのインテルが制裁措置を受けそうになり、中国国内からも反発を受け、二者択一を迫られている。さすがに中国と密接なビジネス関係を続けたくても、それをすれば、米国や欧米主要国から袋叩きに合うことは明白である。いよいよ、来年こそ、われ先にと中国から実質的に事業撤退する欧米企業や日本企業が続出するであろう。

おそらく、日本企業の撤退は、他の欧米の企業と違って、ユニークな方法を選択するかも知れない。表向きは、撤退と言わず、工場や事務所など最低限の事業資産を残し、最低限のオペレーションを継続しながら、ほとんど日本人の社員や家族は静かに完全帰国させて、現地の社員の雇用も減らし、リストラによる事業収縮を推進するのである。

ただ、こうした中国の面子も立て、米国の機嫌もとる両国に配慮した経営判断が許されない業界も多く、大方の企業は、米国から非常に厳しい鉄槌をくだされる可能性が高まる。ウイグル綿を使う日本の大手アパレルメーカーは、米国の商権が無くなることが確実なため、米国か中国かの二者択一を迫られる。中国の生産工場の機能を残すならば、中国を選択するかも知れないが、その時は、少なくとも米国市場はあきらめざるを得ない。さらに米国に追随する欧州の主要国からも撤退せざるを得なくなる可能性もある。

バイデン大統領会談で態度を豹変する可能性が高い聞く耳の岸田首相

すでに第三次世界大戦、あるいは新冷戦と形容される中国やロシア、イランなどの上海協力機構やその他の発展途上国の独裁専制的な国家の集まり「専制アライアンス」とNATO、クワッドなど民主主義的な国で、日米欧の先進国を中心とした価値観を共有する国の集まり「民主アライアンス」とのガチンコ勝負の衝突が鮮明となってきた。来年はいよいよグローバルに事業を展開する企業全てに、いずれの陣営の国での事業を優先するか、二者択一の選択を迫られることになるであろう。

日本企業でも、専制アライアンスの中国の事業を優先する場合、米国と歩調を合わせ、日本政府から規制、制裁を受ける可能性も強まるのである。その時は国内のブランドイメージまでも大きく棄損することになるであろう。今年、日本はついにウイグル非難決議は可決できなかった。来年は、その判断をしたネット上でシェーシェーモテギと揶揄される茂木幹事長、さらにその任命をおこなった中国や財務省のポチと非難される岸田首相への風当たりは、さらに強く、厳しくなっていく。

来年寅年は、岸田首相の米国訪問の状況も踏まえ、その前後に三度目の正直で日本がウイグル非難決議をおこない、米国と歩調を合わせ、何らかの政治的な制裁、例えば、中国へ進出する日本企業へ特別課税を徴収するなどの緩い規制から、日本への輸入禁止といった厳しい規制まで、様々な制裁を講じる可能性が強まる。つまり、来年は米国以外の欧州や日本などG7を中心に非難決議からさらに制裁法案が可決され、聞く耳を持つ岸田政権において、米国同様に日本も何らかの制裁を検討する可能性は高まるのである。

中国とのビジネスを展開する日本企業の経営者は、今後、二者択一の重い十字架を課せられると覚悟する必要がある。その時の日本企業の選択肢はただ一つしか残っていない。中国事業の完全撤退の決断であり、日本政府は兆円単位の巨額の補助金を用意し、その重い決断を日本政府が後押しせざるを得なくなるであろう。今後も非難決議にかかわる日本企業への投資や資金決済をおこなう日本の金融機関へも、米国から取引停止などの制裁を受けることになるであろう。

来年は、ついに日本企業の大半が、中国とのビジネスの決別を最終決断する年となろう。バイデン大統領は、個人的には、親中かも知れないが、来年11月の米国での中間選挙に向け、政権与党の民主党のマジョリティは、中国との取引遮断を視野に相当に厳しい中国への制裁を課する可能性が高まっている。

来年以降に米国証券市場に上場する中国企業の上場廃止が本格化する

中国共産党の習近平主席による独裁専制政治は、深刻な経済破綻をまねき、いよいよ国家運営がうまくいかず、中国国内で大きな騒乱が起こる気配が感じられる。恒大など巨大な不動産会社や関連する建築土木などの様々な企業が、連鎖的に次々と破綻を迎える可能性も高まっており、すでに欧米の金融市場において、デフォルト率の大きい中国の企業の社債取引を控える動きも顕著となってきた。

SECの米証券取引委員会は12月2日、当局の会計監査を義務付ける新規則の最終計画を発表、会計監査を受け入れない場合、3年以内にニューヨーク証券取引所またはナスダックから上場廃止となる恐れがでてきた。米当局は2002年からこの要求を行ってきたが、今まで20年間も無視し続けたのは、中国と香港の企業だけである。アリババや百度を含め、中国企業200社余りが上場廃止となる可能性があるが、そんな金融パニックとなり、自分で自分の首を絞めることはできない、オオカミ少年と馬鹿にする習近平政権や中国共産党はその要求を無視し続けてきた。

ところが、来年はいよいよ中間選挙を前に民主党の気変わりで、いよいよ最終計画と称して規制を実施する可能性がでてきた。もし実施されたら、粉飾だらけ、中国共産党の財閥利権と密接につながる不透明な財務実態の中国企業200社の株価が暴落する可能性も強まっている。過去に何度も騒がれてきたが、従来はウォールストリートと中国との特別な関係で、そのような規制の実施を見送ってきた。ところが、台湾進攻を公言、暴言を繰り返し、不動産事業を崩壊に導き、海外への資金返済を拒むなど、滅茶苦茶な経済政策を繰り返す習近平主席一派の今の中国政権に立腹、激怒する欧米の富裕層は増えている。

来年寅年に日本への最後通牒となったハルノートのような中国200社の3年後の上場廃止、さらに金融市場からの締め出しのSECの決断は、中国共産党にとり外貨を得るための大事な手段の一つを失うことになり、中国経済を崩壊へ追い込む強力な第一歩となるであろう。

金融、財政が破綻している中国の悪影響をいかに遮断するかが重要課題

一般的に共産主義の経済の考え方では、厳密な意味での破産、倒産という概念が大きく欠乏している。国営企業も業績が悪ければ、採算度外視で独断と偏見でいくら粉飾と揶揄されようとも、国家統制経済により自国通貨を発行し続け、資金を注入し続ければ、どんな企業も生き残ることはできると考えがちである。資本主義の論理からすれば、そんな市場の原理を無視した国家運営、企業経営は、いつかは破綻を迎え、半永久的に借金を積み重ね、企業を存続させることなど不可能である。

ところが、中国は過去、この矛盾をかかえたまま赤字の国営企業へ共産党が過大にテコ入れをした企業が多く、債務は膨張する一方で、その総額は誰にもわからず、一説には一京円を超えたとも言われている。つまり、民主主義、資本主義の国の基準では、国家財政や企業財務、個人家計がすでに完全に破綻したとしても、粉飾統計や虚偽財務申告を繰り返して存続し続けるのである。つまり、専制的な中国共産党の勝手な考え方に従って、いくらでも企業を延命、存続させることができるのである。従って、政府、法人、個人、金融の各セクターすべてが赤字でも、中国発行の元通貨を増刷し続けて延命できるのである。

このあたりの中国経済の矛盾をSECの中国企業200社調査は、その一部であっても事実関係を浮き彫りにしていくであろう。この時に、中国経済がいかに虚偽と粉飾、恫喝などで血まみれの状況かを白昼のもとにさらけ出すことになると予想している。そうなるとドル、ユーロ、円のハードカ-レンシーの供給は実質抑制されつづけ、中国が保有する外貨資金が激減、枯渇して、貿易決済までも難しくなる事態も想定される。

ここで一番狙われる通貨は、運用に苦しむ日本の地方銀行などの金融機関の膨大な日本円となる。日本の金融安全保障の対策は、中国の悪影響を遮断するため、そうした中国などの実質破綻している国や企業への投資、債券の購入を禁止、あるいは上限を決めて抑制する金融ルール、法律を制定し、厳しく自主的な金融規制をすることである。

最近の動きをみると、SBIの新生銀行を含む地方銀行の買収が、そうした中国がらみの投資とは一切関係していないことを強く願っている。SBI会長は上場廃止後に収益を短期間で大きく高める自信があると豪語されている。そのための運用手段となる高利回りの債券投資などが、実質破綻している超ハイリスクの中国への金融投資と関係していないことを祈りたい。リスクが低くリターンが大きい画期的な金融商品の開発を期待したい。

ただ、もし万一にも、中国投資と何らかの関係があったと仮定したら、財務省や金融庁の天下り規制遵守への疑問から端を発し、大スキャンダルへ発展するかもしれない。それが結果的に国民の怒りをかい、岸田政権へのマイナス評価につながり、来年の参議院選挙で自民党が大敗する要因の一つになるかも知れないのである、そのような事態にならないことを祈りたい。

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