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7月参議院選挙で自民は完敗、与党から脱落する

令和4年1月28日

社会資本研究所

南 洋史郎

ネット批判の影響で7月の参議院議員選挙は与党完敗が予測される

ネット報道では、岸田政権への猛烈な非難が巻き起こっている。ネット番組の評論家やコメンテーターの岸田首相に対する批判は、弱まるどころか、ますます辛辣で厳しくなっている。今や30歳から40歳以下の若い人たちは、ネット番組やSNSがメジャーな情報ソースである。テレビは見ないが、ネット番組は必ず視ると答える若い人たちも増える一方である。その選挙への影響力は、すでにテレビのマスコミの影響力をはるかに超えた。

ネット報道ではテレビでは言えない核心に触れるきわどい情報も多い。若い人たちだけではなく、多くの国民が、テレビとネットの両方の番組を視聴し、テレビでは報道できない情報の解説に聞き入っている。ネット報道は、老舗のチャンネル桜や人気の虎の門ニュース、新興の文化人放送局など保守系番組が主流となっている。その影響で日本の選挙民の若年層の多数が保守系となっており、リベラルは、若い頃に過激な学生運動で名をはせた元活動家が多い団塊の世代の70歳代を中心に、高齢者層に多い。

選挙には投票に行く高齢者のリベラル層の票を狙って、昨年10月に立憲民主党は共産党と組んで選挙戦をたたかったが惨敗した。新しい保守の顔として、高市人気で多数票を獲得した自民党があまり議席を落とさず、一方で、維新は保守の大きな流れに乗り、国民民主は過去人気があった民社党のような中道路線を鮮明にして大躍進を遂げた。選挙に強かった公明党は、ウイグル弾圧の中国を擁護していると受けとられる数々の不用意な党首発言もあったが、意外にもその影響は軽微で議席数を若干増やした。

昨年9月に総裁選で勝利した岸田首相も、10月の選挙では、保守的な様々な政策を掲げ、 高市人気も後押しして、10月末のハロウィーン衆議院議員選挙で善戦した。昨年11月以降も国民の期待が高まり、内閣支持率も高止まり、1月初めには2年から3年以上の長期政権も予見された。ところが、オミクロンの感染爆発で状況は一変した。11月の第二次政権の発足後、わずか3ヵ月が経過し、政局は大きく揺れて変化している。

おそらく今のネット報道の勢いだと、2月以降に岸田政権への支持率は下降線をたどり、7月の参議院議員選挙は自民党と公明党が完敗し、政権与党として過半数を大きく割り込み、参議院議員の過半数を維持できなくなるであろう。そして、保守系の日本維新の会、あるいは、国民民主党とも組まなければ、過半数をとれない状況も予測されるようになってきた。このまま岸田政権が何も手を打たなければ、7月の参議院選挙で自民が惨敗どころか、完敗し、それ以降、厳しい政局の秋を迎え、9月に再び自民党総裁選がおこなわれる可能性が高いとみられている。その時に新たに真正保守である高市総裁が誕生する可能性が極めて高い。いまやネット保守層の間では、7月の参議院議員選挙は、自民、公明以外の保守系政党への投票が合言葉になり始めている。

それでは、なぜ岸田政権の人気が急落しそうなのか、その原因は何なのか、選挙まで残り6ヵ月弱だが、支持率回復のリカバリーショットを打てる可能性はあるのか、どうすれば自民は選挙に勝利できるのか、いくつか分析を試みたので、以下、私見を述べたい。尖った意見が多く、この記事にアクセスする政治家も少なく、採用される可能性は皆無に近いと思うが、何らかの参考になればと願っている。

首相主導で厳しいウイグル非難国会決議を北京オリパラ直前に公表する

現在、与野党を問わず、国会で日本としてウイグル非難決議を採択、公表する準備を進めている。親中と噂される岸田首相や公明党の影響で、非難という名称も、国名も省かれ、人権侵害ではなく、人権状況と文言が柔らくなった骨抜きの決議であっても、2月1日に採択しようとしている。2月4日の北京オリンピック前に中国というより、むしろ、欧米など国際社会へ向けて、日本も一緒の思いだということをアピールするのが目的と言われている。

ついには、BSフジの報道番組で、あの共産党の小池書記局長からも、こんな骨抜きされた決議文なら何の意味もないとダメ出しをされる始末で、岸田政権の弱腰姿勢を非難する声は最高潮となっている。維新やあの立憲民主党からも疑問を呈せられる始末で、詳しい事情を知らない一般国民からみても、首相の駄目ぶり、無能さが広く周知される結果となっている。まさに首相自ら票を失うための真逆な選挙対策を推進されているのである。

今まで、ネット上では、岸田首相は、この件では、さんざんにこけ下ろされ続けてきた。その影響で、今度の首相や取り巻きの自民や公明の議員たちは、どうしようもないリベラルの本丸という印象が強まっている。コメンテーターの中には、こうした親中議員たちを「獅子身中の虫」、当て字で類推すれば「死屍親中の虫」と揶揄している。いまや自民や公明の親中議員たちは、ハニトラ(ハニートラップ)に引っかかり、中国共産党の工作、当局の思い通りに政策を捻じ曲げ、日本を貶(おとし)める「反日売国」という不名誉なレッテルまではられる始末となっている。

思い起こせば、一昔前、1980年代や90年代は、当時は貧しかった発展途上の中国からの色仕掛けのアプローチは、政治家や霞が関の官僚、経営者などからすれば、自分が高く評価されている証(あかし)であり、中国共産党側も露骨に見返りといった下衆(げす)な要求をすることも少なく、それが超限戦の彼らの作戦、狙いでもあったのだが、御馳走さまといった様相を呈していたのではないかと推察している。仮に何か見返りを要求され、きわどい写真を週刊誌へ持ち込むと脅かされても、やるならやってごらん、その時はこちらも当局と相談して、厳しく対峙させてもらうよと脅し返す豪傑で強かな政治家や官僚、経営者なども多かったのではないかとみている。

例えば、ダンディな橋本元首相が、見目麗しい中国人女性との華麗な関係が週刊誌に載り、マスコミに大きく騒がれても、当時は、英雄色を好むで、内心では羨(うらや)ましいと思った男性諸君も多かったのではないだろうか。それが21世紀になり、ユーチューブのような動画サイトの登場で、事態は風雲急を告げることになった。特に2020年の米国大統領選で、現大統領や下院議長などの有名人のご子息などが、中国女性とのきわどい動画を掲載され始めたことで、大きく騒がれるようになり、中国共産党からすれば、恐喝効果がメガトン級となったのである。

いまや議員にとって、中国共産党に対しての弱腰な姿勢は、それだけでハニトラ恐喝を受けているのではないかと勝手に疑われ、政治生命の終わりを意味するようになってきた。それゆえ、自民党や公明党の与党の議員こそ、ウイグル人大量虐殺(ジェノサイト)に対峙し毅然とした態度で、厳しく非難することが求められているのである。

ハニトラへの有効な対策としては、古今東西、昔より秘密警察やCIA、公安などのその筋のプロの連中へ密かに後始末の処理をさせるのが通例となっている。日本はスパイ防止法がなく、CIAのような過激な諜報、工作機関も存在しないので、映画やドラマにも登場する警視庁公安部外事課(中国なら外事第二課)、通称、外事警察が担当することになる。日本の政治中枢に入り込む中国共産党が仕掛けるハニトラこそ、日本の国益を大きく棄損する恐ろしい工作活動であり、政治家は深刻な国家犯罪であるという認識をもたないといけない。

日本の安全保障の最重要課題として、早急に抜本的な対策を講じないといけないのである。そのためには、少しでも心当たりのある政治家がおられるなら、恥ずかしがらず、厳重に機密を守って、胸襟を開き気楽に相談できる窓口を国会内にもうけ、その情報から慎重かつ迅速な刑事捜査を始めていく必要がある。自民や公明の政党幹部は、政権与党としての責任があり、国家安全保障会議、NSCの事務局を通じて、外事警察とも連携しながら、中国の工作活動への疑念一掃という活動目標を強化しないといけない。

そうした目標強化のためには、中国の脅しには一切乗らないという毅然とした態度が必要不可欠となる。今回のウイグル非難の国会決議はまさにその試金石であり、厳しい内容の決議の採択こそが、何より求められているのである。いまやハニトラは、深刻な国家犯罪であり、テロリストと同格の国家転覆を狙う海外工作と位置づけ、恐喝には一切屈しないという強い国家姿勢が必要となっているのである。

ロシアのウクライナ危機に対抗し北海道で自衛隊の軍事訓練を実施する

ロシアがウクライナ国境沿いに10万人規模の軍隊を集結させ、ウクライナのNATO加盟をけん制し、一触即発の軍事衝突が懸念されている。ただ、ロシアのプーチン大統領は、駆け引き上手な曲者(くせもの)であり、典型的な権謀術数型の政治家である。北朝鮮の最近のミサイル発射も、背後にロシアが存在すると言われている。果たして、大規模なウクライナ侵攻が起こるかと言えば、今のところ、その可能性は低いとみている。

軍事侵攻すれば、即座にSWIFTでの国際通貨のドル決済が完全停止される。その時点で、ドイツなどの欧州EUは、天然ガスなどの天然資源が入手できないという問題に直面するが、米国が働きかけ、中東が緊急輸出に応じれば、ある程度の混乱は避けられる見込みである。それより困るのはロシアの方である。あらゆる輸入物資が完全に止まり、人々の生活が困窮する。特に加工食品や様々な日用品の輸入が止まると庶民がかなり厳しい経済状況に追い込まれることが予想される。中国が支援するといっても限界がある。国連は大多数の先進国が制裁へと動けば、常任理事国のロシアが拒否権を行使しても、国連ルールそのものが見直され、いろいろな制裁処置が発動される可能性も強まってくる。

中国とは、仲が良いと思われがちだが、1月9日のカザフスタンの大暴動は、160人余りの死者、6千人の逮捕者をまねき、ロシアの軍事介入により暴動が鎮圧され、一応、混乱が収拾している。トカエフ大統領の現政権は、中国と関係が深かったナザルバエフ前政権時代の影響を排除し、政権基盤を強めようとしており、中国の影響を薄め、ロシアとの関係強化をはかった意図的な暴動であったとも憶測されている。

ロシアのプーチン大統領は、ロシアの天然ガス利権を欧米メジャーから奪い取った経緯があり、米国の特権階級層のディープステートと常に様々な利権を争ってきた。今の米国の民主党政権は、その米国特権階級層が背後に控え、政権を支持している。ところが、オバマ時代にウクライナへの軍事介入を躊躇したため、クリミア半島のロシア支配をまねいた経緯がある。

今回も当時の副大統領のバイデンが大統領であり、オバマと同様に何もできないとなめ切って、ウクライナへ軍事侵攻する可能性は高く、ハイブリッド戦が仕掛けられるとみられている。しかし、前回と異なり、あの広い国土のウクライナが戦場となる可能性が高く、ロシアでもかなりの戦力を投入しないと対応はできない。賢明なプーチン大統領がそこまで大きなリスクを冒して戦うとは考えにくい。

欧州各国、特にNATO加盟国は、ロシアのこうした横暴を許さず、有事の場合は、経済取引の遮断などロシアへ何らかの制裁処置を講じるべきだと主張する国が増えている。日本は、有事に米国や欧州のNATO加盟国の制裁処置に歩調を合わせ、何らかの制裁処置を講じざるを得ないという立場を明確にする必要がある。さらに以前より北海道へもいつロシアの大群が押し寄せるかもしれないと危惧する声も高まっている。

そこで、意表をつき岸防衛大臣とも相談して、ロシアとの緊張が高まっているこの時期に敢えて、北海道で自衛隊の陸海空の大規模な軍事演習を実施すべきではないかと考える。さらに日本のロシアの軍事専門家などが、テレビなどで北海道有事の時は、国内に侵入するロシア軍へ徹底抗戦を仕掛け、その後は、北方4島だけでなく、日本古来の領土でロシアに不法占拠され続けている千島列島や南樺太も専守防衛の守備範囲として、軍事侵攻する可能性があるとコメントをし、細かい牽制をロシア側へ仕掛ける必要もある。つまり、ロシアへは、万一、日本へ攻め込んだら、遠慮せずに日本の領土と認められているエリアをすべて奪還する可能性があると主張し、ロシアを強くけん制する対外宣伝も必要になってくるのである。

なお、1875年の樺太千島交換条約と1905年のポーツマス条約で、千島列島と北緯50度以南の樺太(サハリン)が日本領であることは確定しており、1951年9月のサンフランシスコ平和条約は、北方4島だけが日本領としたが、ソ連は批准していない。従って、ロシアとの間では、1905年の条約の決まりごとが有効であるというスタンスをとっている。つまり、千島列島と南樺太は、ロシアとの間では、いまだに日本の領土という理解となっている。

コロナ分科会の解散と首相責任で感染症を5類へ変更し早期復帰を促す

昨年11月に発覚したオミクロンは感染力が強く、特に子供への感染が広がっている。飲食店への規制より学校で感染し、家庭に持ち込み、家族が全員感染するケースが増えている。すなわち、人流抑制というより、家庭内で家族が感染した後の、自宅療養における診療所やクリニックと連動したきめの細かいアフターケアと感染者の10日間の隔離義務をやめ、数日以内の早期に学校や職場へ復帰させる政策が必要となっている。首相も国民の不満を敏感に感じ取り、早期復帰を約束しているが、その迅速な対応が求められている。

すでに昨年12月に経口薬が認可され、厚労省から診療所やクリニックが対応するためのコロナ対策ガイドラインまで提示されている。後は首相自らが腹をくくって、年初に感染症2類から5類への条件付きの変更をアナウンスしておけば、感染者数が増えても問題にならなかったと考えている。条件付きとは、PCR検査やワクチン接種、重症者になった場合をすべて無償化するという2類相当の厚遇条件を付与することを意味する。すでに安倍元首相は5類にすべきという忠告をされたが、岸田首相は、年初にコロナ感染症は2類のままでいくと宣言、それが結果的に自分たちの政権を苦しめる元凶となっている。

過去、行動制限を促す発言を繰り返し、多くの国民の不評を買い、幽霊病床で助成金不正受給の疑いまでもたれている分科会の会長まで、マスコミに復帰、過去と同様に、政府見解と異なる意見を述べて、いろいろ物議を醸(かも)しだし始めている。過去、不思議と分科会の会長がマスコミに露出し、いろいろな勝手な意見を述べ始めると、安倍首相や菅首相の政権支持率が大きく下がり、不支持率が急増してきた経緯がある。

今回も、分科会の会長がマスコミに登場し始めると、ジンクス通り、岸田政権の政権支持率は少しずつ下がり始めてきた。FNNなどのいろいろな支持率の数字が飛び交っているが、共同通信社が1月23日にまとめた調査では、支持が56%、不支持が25%となり、12月と比べ支持が4%落ち込み、不支持が3%増えている。政権発足後、支持が高止まりできたが、徐々に低下する傾向となっている。ちなみに保守層が圧倒的なネット調査は、岸田政権の不支持98%、支持2%を維持し続けている。片寄った人が多いからと無視し続けるのは自由だが、参議院選挙前に大変なしっぺ返しが起こるような気がする。

分科会の会長は、このままべったりと岸田政権に寄り添い、いろいろマスコミへ好き勝手な発言を続けてもらうことで、専門家としての見識を社会へ広く伝える任務もあると思う。しかし、2類から5類へ感染分類を変えると、分科会の必要性はなくなる。そこで5類への分類後は、分科会を一旦は解散し、新たにコロナ感染を調査研究する専門チームを立ち上げ、ワクチンの中和抗体効果の調査など今後の政策判断に役立つ科学的なデータの収集に注力してもらえればと思う。

公明党との与党関係を解消し9条改憲案を今国会で審議し可決させる

1月17日から始まった通常国会は、7月の参議院議員選挙に悪影響がでないようにするという配慮から昨年10月の選挙期間中に約束した憲法9条の改正は先送りすることになったとのことである。中国共産党による台湾有事が迫っており、いつ戦争が勃発するかわからない危機的な状況が続く中、選挙公約を反故にする深刻な話であり、自民へ投票した人たちは、岸田首相に騙されたという悪感情をもったと推察される。参議院議員選挙があろうがなかろうが、必要な政策なら今国会で議論すべきであり、憲法9条の改正こそ、自衛隊が日本を守るために最低限、国会で議論すべき最優先に決めるべき政策なのである。

警察官の延長のようなポジティブリストで自衛官が国を守るために戦えるかと言えば、答えはNOである。今のままでは、台湾有事に、自衛隊は国防軍でなく、警官の延長のような不自由な立場で、国民を守るために命を懸けて戦わざるを得ないのである。憲法9条を改正しないで、まともな国防を自衛隊へ期待するのは酷な話である。煩わしい理解不能な法律を意識し、自衛隊員が戦うことは不可能であり、命の危険を大きく高めることにもつながる。一刻も早く憲法改正に踏み切るべき時期にきており、その約束を無視することは、国防の観点から許されないのである。

公明党が反対するから、憲法9条改正の議論ができないと恥ずかしげもなく、堂々と述べる自民党議員がいる。もしそれが事実なら、国民を守るべき政権与党の政党として完全に失格である。議論の余地なく、公明党と与党としての政権合意を即刻破棄すべきである。それができないなら、公明党が悪いのではなく、自民党が悪いのであり、自分たちの無責任さ、能力の無さを猛省すべきなのである。自民党こそ憲法改正を党是として発足した歴史的な背景がある。公明党との関係から憲法改正ができないといった言い訳は、自分たちが無能な馬鹿だと公言しているようなものであり、与党としての資格はないのである。

新しい資本主義の看板を下ろし積極財政の政策看板を掲げて実行する

岸田政権は、昨年の10月の選挙から、新しい資本主義を掲げられ、経済の成長と分配を重視し、企業が従業員の所得を積極的に上げるようにしていくと公言されている。その肝心の新しい資本主義なるものが何なのか、すでに3カ月以上が経過しているが、未だ中身が理解できず、経済政策として具体的に何をしたいのか全く理解できない。市場原理だけに任せる新自由主義を否定し、人々のためになる新しい資本主義を導入するという格好良さそうな触れ込みだが、もともと市場原理だけに任せる経済システムといったものは、この世には存在しない。

経済活動は、必ず政府や中央銀行の関与があり、社会システムの中で資金が円滑に循環し、経済活動が活発になっていくのである。株式市場や債券市場などの金融市場、あるいは、消費市場などは、その社会経済の仕組みの中の一部を構成しているに過ぎない。また、企業のバランスシートに人財資産を明記できる新しい仕組みも取り入れたいと主張されている。実はこの議論は30年前からあり、欧米系のコンサルティング会社が中心となって、ヒューマンキャピタル、人的資本勘定と称し、企業評価の基準にしようと躍起になったことがある。だが、結論としてどの企業からも評価、理解されず、雲散霧消した経緯がある。駄目な理由は簡単である。ある優秀な人物を給与以上の価値があると資産計上を提案したら、そんな価値があるなら、給与を上げてくれと主張され、資産計上されない従業員は怒り出し、ドロドロの人間模様が展開したのである。今ではその考え方は愚策となっている。

また、新しい資本主義では、ベンチャー精神やアニマルスピリットを発揮してもらえるように、大学の研究ファンドを充実させ、資金調達もし易くするという話である。過去、小泉政権の時にも同じようなセリフを何度も聞いた。ただ、キャッチフレーズだけが躍るだけで、経済はさほど活性化しなかった記憶がある。それより、いろいろ批判はあったが、アベノミクスという単純な積極財政の経済システムは、確実な成果が得られ、市場が評価し、GDPも500兆円から550兆円へと10%も上昇したのである。

半導体産業へ政府主導で巨額投資が計画されているとも聞く。こうした具体的な政府主導の投資案件を公表する方が、国民には理解されやすいのである。新しい資本主義といったわかりにくい漠然としたキャッチフレーズの看板を早急に降ろして、積極財政推進委員会といっただれでも理解できるわかりやすい名称へ看板を掛けかえるべきではないかと思う。財務省のあの話題の矢野事務次官が頻繁に首相官邸へ出入りしているという噂もある。積極財政を従来のような赤字国債で賄うのではなく、理財局の財政投融資で投資資金としてガンガン投入すると公表すれば、矢野次官が嫌いな借金の扱いではなくなり、政府のバランスシートでも、投資扱いで資産勘定が増える話となり、理論上は借金の増加を大幅に軽減できる効果が期待できるのである。

高市政調会長との連携を強化して様々な政策プロジェクトを組成する

岸田首相は、聞く耳は持つが、意外と頑固なところもあるという噂である。政治家としては珍しく、素直で真っ直ぐな善良なイメージをもっておられる。魑魅魍魎のプンプンと臭いにおいを感じる海千山千の政治家が多い中、無臭なさわやかイメージは好感度が高くなる傾向があり、政権支持率が高いのもおそらく政治家らしくない好感度評価から来ているものなのであろう。政治家も、ルックスはとても大事なのである。

ただ、政治家である以上、好き嫌いの感情を押し殺し、周囲の様々な海千山千の政治家たちに気持ちよく協力、支援してもらえるようにうまく使っていく器量、通称「人たらし」と言われるような魅力も必要となってくる。安倍首相の人たらしパワーはすごかった。あまりにすごいので、野党やマスコミの嫉妬をまねき、モリカケの誹謗中傷でも苦労されたが、その人気は今も絶大である。その最有力な後継者が高市政調会長である。この力をうまく活用できるかどうかが、政権維持に必要不可欠な要素となっている。

一般に偉くなればなるほど、知らないこと、わからないことが幾何級数的に増えてくる。その中で、次々と舞い込んでくる難問奇問の政治課題を卒なくこなしていくには、しっかりした参謀、ブレーンや政権を支える献身的な政治家が必要となってくる。高市政調会長を女性ごときがと思ったら駄目である。どうみても強かな鋼(はがね)の根性を持った突出した能力の政治家である。そのオーラ、パワーはものすごいものがある。

高市パワーをうまく活用できるかどうかが、長期政権にできるかどうかの最大の鍵となるのである。つまり、高市政調会長に次々と政策を立案してもらい、政策プロジェクトを推進してもらって、すべてを任せる度量、器量、度胸が無いと長期政権は無理と悟ることである。岸田政権の一番の欠点は、このブレーンが木原氏含めた財務官僚の出身者で固められ、国民から見るとまるで財務省の傀儡政権ではないかと勘違いされるところにある。

財務省のポチでそのうち増税する気ではないかと疑われること自体大きなマイナスなのである。岸田首相の良いところは政治家らしくない素直なところであるが、人に対する好き嫌いもわかりやすく、政治家として必要不可欠な度量、力量は小さいのかなと誤解を受ける欠点がある。むしろ財務官僚出身者を敢えて排除し、耳の痛いことばかりを聞かされるかも知れないが、その痛い話に聞く耳をもち、高市政調会長を腹心の参謀として、思い切ってやらしてみることで、そこに人望が生まれ、はじめて長期政権の道が開かれるのである。泣いても笑っても残り6ヵ月、もともと期待値は低いので、今まで述べた尖った政策を少し実現させるだけでも、評価が大きく高まるとは思う。首相が見事に変身されて、バリバリ活躍されることを期待したい。

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