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今年は政治リスクを回避し国内回帰する絶好の機会

令和4年2月4日

社会資本研究所

南 洋史郎

北京冬季オリンピック後にサラエボの悲劇が起こらないことを祈りたい

本日4日の開会式より20日の閉会式まで2週間余り、外交ボイコットやウイグル非難決議で世界中が騒いだ北京冬季オリンピックが開催される。日本はIOC主催の冬季オリンピックに選手を派遣し競技を競うだけなので、アスリート・ファーストの精神で、競技そのものだけに集中して欲しいと願っている。ただ、開催地となった中国は、いろいろ政治的に危険性が高く、問題が多すぎるので、競技が終わったら、本人の安全のために早く無事に帰国されることを祈りたい。開催地の国の政治と一切関わらないこと、そのためにスマホはレンタル品を使い、様々な人的なトラップに関わらず、注意することである。

冬季オリンピックは今まで政治経済が安定した欧米日を中心とした国で開催されてきたが、どういう訳か、2014年のロシアのソチ、2018年の韓国の平昌(ピョンチャン)、2022年の中国の北京と日本周辺の開催地が選ばれてきた。2026年は再び欧州のイタリア(ミラノ近郊)で開催されるので、運営ノウハウをもつ欧米日の特定地域の開催へ戻るのであろう。韓国や中国は、日本への対抗意識が強い国柄である。開催はかなり無理をしたのではないかと思う。人工の積雪量も相当の費用を投入したのであろう。

自然の積雪が多く、山間部の起伏もある晴天の多い自然条件に恵まれたエリアは意外と限定され、経費もかかり、政治経済も安定していないと開催は難しい。そのため冬季オリンピックは、冬季スポーツが盛んな国での2回以上の持ち回り開催が多かった。米国4回、フランス3回、イタリアが次回で3回、オーストリア、スイス、ノルウェー、カナダ、日本が2回の開催を引き受けたが、英国は一度も開催していない。イタリアの後、2030年は政治が安定した日本の札幌になりそうで年内に決定される見込みである。

ウクライナも初めての開催を目指しているが、IOCは北京でヤキモキしたので、選考基準として政治の安定が重要となり、選考は難しいと思われている。過去を振り返ると、平和の祭典を追求するIOCにとって、1984年の社会主義国のユーゴスラビアのサラエボで開催された冬季オリンピックの苦い経験はトラウマになっている。独裁者の大統領チトー亡き後、国家分裂を避ける目的があったが、7年後の1991年に社会主義の解体の過程で、ユーゴスラビア紛争が起こり、2001年までの10年にわたり、悲惨な戦争が続き、スロベニア、クロアチアなどが分離独立、サラエボではセルビア人によるボスニア人大量虐殺が起こり、マスコミからスタジアムと対比し「サラエボの悲劇」と騒がれた。

ロシアはソチ開催後の8年目にウクライナで紛争が起こり、サラエボのような血みどろの軍事衝突にまで発展しないか心配されている。もしロシアや中国で何か不吉な紛争が起これば、ネットでは「サラエボの悲劇と呪い」といった表題をつけ、新たな冬季五輪の都市伝説、ジンクスとしてネット動画ではやし立てるだろう。ウクライナと台湾の有事が危惧されるだけにサラエボの悲劇と呪いがロシアや中国で起こらないことを祈りたい。

 

北京冬季オリンピック後に中国への関心が薄らぎ、脱中国が鮮明となる

                         

北京で2月4日から冬季オリンピックが開催され、1か月後の3月4日に冬季パラリンピックが3月13日まで開催される。3月14日以降は、日本は中国への関心が急速に薄れ、3回目にワクチン接種を受ける人が増えるので、マスコミは再びコロナ対策一色になっていくとみている。その頃に岸田政権への国民の評価もある程度、はっきりしてくるのであろう。今の支持率を維持できるかどうかと考えた時、結構厳しい結果になっているような気もする。

米国では、6月の最高裁判事の退任人事にからみ、不人気な副大統領のカマラ・ハリスが交代し、クリントンやケリーなど民主党から新たな大物政治家が副大統領に就任するのではないかという噂がでている。11月の秋の中間選挙で共和党圧勝の予測を覆(くつがえ)すため、バイデン大統領の辞任、新しい副大統領の大統領への昇格までささやかれている。また、ネオコンとディープステートが結託し、ロシアと中国を挑発して、部分的な軍事戦争が起こり、11月の選挙予測を覆(くつがえ)すという物騒な憶測情報までネット上で流れている。

今年9月に日中国交正常化50周年となるが、モンゴル、UAEとは外交樹立50周年、バングラディシュとは国交樹立50周年となる。地上波のマスコミが、中国との国交だけを祝うべきといった論調だが、むしろ昨今の中国との冷えた関係から、大多数の日本人は、中国より相撲でなじみが深いモンゴルとの50周年を祝いたい気分だと思う。また、インド、パキスタン、スリランカとは、国交樹立70周年となる。インドとの70周年を祝う方が大事な気もする。

コロナ流行以降の戦狼外交や香港介入、さらに台湾への武力侵攻まで公言する横暴な中国に対し、過去のような友好な気持ちや中国だけを特別視する気持ちは、日本人から完全に消えた。むしろ、日本人の気持ちの中に、中国との関係は50年が経過し180度変化、今年は本格的な脱中国が始まる年と感じている人が多いのではないだろうか。日本の政治家の国会議員が、この大きな日本人の気持ちの変化に気づかず、いつまでも、親中のマスコミの力を借り、中国との50周年だけを特別視し祝ったりすれば、国民からそっぽを向かれ、それが投票に反映されて、次回の選挙で落選する結果をまねくことになるであろう。
今年は、日中国交正常化50周年というより、脱中国の日本の正常化が始まる元年といっても良い記念すべき年となろう。

    

日本企業にとって脱中国は政治リスクを回避し国内回帰する絶好の機会

大方の日本企業にとって、今年は、コロナ感染で振り回されてきた2年間を何とか乗り越え、オミクロンはまだ猛威を振るっているが、3年目となり、アフターコロナの新たな社会経済の事業環境の中で、今後の事業の方向性、未来のビジョンを決める大事な1年となる。そのため、経営者は、巻き込まれるべきで無い経営リスクを極力回避し、必要な活動だけに専念、集中できる事業環境を自ら生み出す努力が必要となっている。

つまり、何かと物議を醸(かも)しだし、手間がかかり、いろいろと経営資源を消耗する政治リスクの高い面倒な国での事業は縮小、撤退し、もっと自由に活動ができ、政治リスクが低く収益の上がる国で人やモノ、資金の経営資源を投入し、事業シフトを進めていかないと企業として生き残りは到底望めない。そこで多くの企業は、コロナ流行前から思い切った海外とのサプライチェーンの見直しを進めてきた。特に中韓での事業戦略の抜本的な見直しをおこなった企業は多いと聞く。

例えば、過去5年間、強烈な反日政策を推し進めた文在寅大統領の時代に、多くの日本企業が事業の舵取りを脱韓国へ切り替えている。次の韓国の大統領選挙が、1か月後の3月9日におこなわれ、与党の「共に民主党」の李在明候補、保守系野党の「国民の力」の伊錫悦候補、中道系野党の「国民の党」の安哲秀候補の3候補のいずれの候補が当選しても、日本とのこじれた外交関係を直ぐに修復できるとは考えにくい。特に3候補の中で、文大統領以上に反日色が濃く、さらなる規制強化も危惧される李在明候補が有力視されている。李大統領が誕生すると、残った日本企業の多くも、事業継続を断念すると思われ、おそらく経済面でも断交した状態になると予測されている。

次に経営リスクとして多くの経営者の悩みの種となっている問題は、中国とのビジネス取引である。政治リスクが増大している中、社会主義化する中国と決別、脱中国を鮮明にして、生産、サービスの国内回帰へシフトせざるを得ない状況となっている。コロナ対策では、思い切った在宅勤務を導入して、経営リスクを回避してきた。中国との取引では、輸出だけの関係なら、少しずつ受注を減らし、輸出額を抑制し始めている。突然、代金支払いが凍結され、未払いの危険性があり、少しずつ脱中国の輸出体制へ切り替えている。

事業進出している企業の場合、いよいよ今年に事業撤退の時期を決める必要がでている。体力のある大手は、撤退より事業縮小を選択、日本人の従業員をほとんど帰国させ、有事の時に、残ったわずかの経営者、管理者が予め確保している国外脱出ルートを活用し帰国する段取りまで準備していると言われている。むしろ、脱韓国、脱中国、国内回帰の流れは、多くの日本企業にとって、悩ましい政治リスクから解放され、生産自動化、無人化などの知恵を使って、国内で採算がとれる事業モデルを新たに構築できる絶好の機会という考え方になっているようである。

向こう数年間で、国内回帰した日本企業が、国内事業に集中することで次々と収益を復活し、元気を取り戻すことが期待されている。その時に国内回帰した企業の願いは、過去、事業でお世話になった韓国や中国で、サラエボの悲劇のような悲しいことが起こらないで欲しいということだけなのかも知れない。

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