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プーチン撃退がウクライナ戦争終結の唯一の方法

令和4年4月13日

社会資本研究所

南 洋史郎

ブチャの虐殺はプーチンがマフィア政治の独裁者であることを立証した

3月30日にロシア軍がキーフ近郊のブッチャから撤退した後、4月2日にAFP通信の記者が現地取材をおこなったが、おびただしい損傷を受けた遺体が道路上に散乱、その悲惨な惨状が、世界中に配信されることになった。腕を後ろ手で縛られ後頭部を銃で撃たれた若い男性の遺体、激しく拷問され損傷した老人の遺体、強姦され殺された女性の遺体、手足を切断された子供の遺体などその数は4百人を超えた。ロシア軍が去った後、その他のキーフ近郊の町や村でも、同じようなおびただしい遺体が発見され、その看過できない状況に対して、欧米や日本の政府首脳から厳しい口調でロシアへさらなる制裁を実施するという糾弾がおこなわれた。

問答無用でロシアへの経済制裁、すなわち天然ガスや石炭などの輸入をさらに減らし、ロシアの逃げ道がなくなる完全禁輸、取引の完全禁止に向けG7が足並みをそろえることになった。日本も今後、原子力発電の本格的な再稼働をいつ実施するかが大事な政治課題となってくる。国民がロシアの許せない蛮行を見ており、さすがに原子力発電に反対する勢力へも風当たりが強くなり、再稼働へ反論できないであろう。原子力発電の本格的な再稼働を前提にいつまでに実施するかが議論されることになろう。プーチンは、ドイツなどの欧州はロシアの天然資源の取引を完全には止められないと主張してきた。しかし、数か月以内に需要の大きい欧州でも代替のエネルギー手段への完全シフトが実施されるとみている。これはロシア経済にとって致命的なものとなる。

ロシア経済の完全封鎖となれば、ロシア国内の餓死者、自殺者は相当数に増えるであろう。欧州をそこまで厳しい決断に踏み切らせるほど、ブッチャの虐殺はえげつない。間違いなく、マフィアやメキシコの麻薬カルテルなど世界の凶悪犯罪集団のどこも顔負けとなる集団虐殺、ジェノサイドであり、その悲惨な光景に世界中が震え上がることになった。旧KGBを母体とするロシア連邦保安局(FSB)による市民に恐怖を与える目的のためのプロの仕業と言われている。KGBはプーチンの出身母体であり、FSBはプーチンによる直接命令により、今まで国内や旧ソ連の国々へ数々の残忍な事件を引き起こしてきたと言われている。

思い起こすと20年以上前にプーチンが大統領を目指す際、ロシア国内でマンションの連続爆破事件が起こり、たくさんのロシア住民が亡くなり、チェチェンの過激派の犯行ということで、プーチンの判断でチェチェンを武力制圧したことがある。その活躍ぶりに人気が高まり、当時、大統領への異例の就任につながったのである。当時の状況証拠からFSBの工作部隊がその爆破に絡んでいたという証言があり、今でも密かに調査がおこなわれている。もしこれが事実なら、プーチンはもともと政治家というより、KGB出身の裏工作が得意なマフィアのような犯罪集団となんら変わらないマフィア政治の独裁者と形容した方が良いということになる。

つまり、プーチンはウクライナ侵略で戦争犯罪人と騒がれているが、もともと大統領の資質に大きな疑問があって、政治家というより、1億5千万人のロシアを牛耳る凶悪なマフィアのような政治集団のトップと形容されるべき人物なのである。従って、彼が歴史書を読んで、昔のロシア帝国やソ連のような大国になる夢を語る政治家という話は、いかにも美しいストーリーに聞こえる。ところが実際は、ロシア国民やロシアの行く末、将来のロシア国家のあるべき姿を考えず、自分の思いだけで勝手に残忍なマフィア政治の利権や勢力範囲の拡大を追及してきた冷酷な独裁者なのである。そのような凶悪集団へいくら停戦交渉を持ち掛けても真剣に交渉する気などは無く、相手を打ち負かすまで「やるか」、または再起不能なほどに徹底的に「やられるか」の二者択一の選択しかプーチンの頭の中にはないのであろう。

プーチンけん制のためにはマフィアを怖がらないタフな政治家が必要

おそらく、ウクライナ侵略は、プーチンが正しいと思う考え方で「落し前」をつけない限り、本人は戦争をやめる気は一切なく、仮に一時的に停戦しても、遠からず再び侵略を始めるであろう。その証拠にマリウポリの都市攻略に執着し、8割以上を破壊しながら、まだ攻撃を続け、そこを完全破壊する気なのである。すでに2万人以上の市民が殺害され、
子供を含め、そこの住民が、次々と強制的にロシア国内へ移されており、今までの前科から、どんな扱いを受けるか心配されているのである。ついに、「シリアの虐殺者」の異名のあるドボルニコフ将軍まで駆り出し、総司令官として赴任させている。

プーチンの戦争に参加するロシア軍はすでにロシア国民のために活躍する正規軍とは到底言えない。マフィア的な邪悪な独裁者のために戦う凶悪な武力犯罪集団に成り下がっており、ウクライナとしては、何としても勝たないと負けはそのまま恐ろしい虐殺につながるのである。他人の家へ勝手に入り込み、荒しまわり、やめて欲しければ、金を用意して、俺たちの言いなりになれと脅かす暴力団の言動や行動とそっくりなのである。実に迷惑な話である。こうした凶悪な連中を撃退する唯一の方法は、徹底的に痛い目にあわせ続けることであり、実際、ウクライナ軍は、そうした暴走的な武装集団のプーチンの軍隊へ果敢に戦いを挑んでいるのである。まさに正義の戦いとなっている。

その凶悪なテロリストのような武力集団と必死に戦っているウクライナ軍に、欧米や日本など民主的な価値観を共有する国民は、心底、感謝の気持ちをもって、武器の供与も含め、ありとあらゆる支援を継続する義務がでているのである。ところが、ここで気になる大きな問題は、NATOや米国の弱腰姿勢である。従来のような国連平和維持軍の組成は難しいので、ウクライナ軍を徹底支援する多国籍軍を組成して、ロシアの武装犯罪集団への厳しい軍事制裁は欠かせない。しかし、今のところ本格的な核戦争をまねくという言い訳でその動きは全く見られない。要は核使用までちらつかせるプーチンが怖く、何もできないのである。まさに核の恫喝に屈した格好となっている。

一方、プーチンは、自分と同じ強面でタフな政治家か、国土愛の強い右翼的な政治家でないと相手の話に真剣に耳を傾けない傾向がある。米国では、ニューヨークの不動産王、トランプが大統領の時代に不思議と意思疎通がとれていた。ニューヨークといえば、マフィアの本拠地で、不動産事業と言えば、その筋の怖いお兄さんたちとうまく渡り合える度胸がないとビジネスは成立しない。トランプがプーチンをうまく交渉でコントロールできたのも、その時の経験が役立ったのであろう。フランスで大統領選挙が行われているが、マクロンより右翼で怖そうなルペンの方がプーチンをけん制できると見ている。日本も、岸田首相より高市氏の方がプーチンをけん制できるので適任である。青嵐会出身の森元首相がプーチンと意思疎通をはかれた数少ない政治家であった。青嵐会はハマコーこと浜田幸一氏のような武闘派議員も活躍した政治集団で、当時マスコミから右翼と言われていた。

プーチンに馬鹿にされないために米国は一刻も早く多国籍軍を組成せよ

逆にプーチンが小馬鹿にし、なかなか話を聞こうとしない相手は、エリート官僚出身の政治家に多い。今の米国のバイデン政権には、サリバンやユダヤ系ウクライナの血を受け継ぐブリンケンなど高学歴で優秀な人たちが数多くいる。彼らは賢く、核戦争をまねきかねないマフィア的なロシア軍との直接対決、武力衝突を避け、ロシアの動きに関する機密情報を公表し、ウクライナ軍へ武器だけを供与するバックアップ戦略をとり続けている。逆に言えば、恐喝が大好きなプーチンにとって、彼らエリートを脅かすため、再三再四、核攻撃の可能性をほのめかし、NATO介入や国連多国籍軍の組成を阻止しているが、その弱腰に米国国内では失望感の声が日に日に強くなっている。

ロシア生まれのゼレンスキー大統領も、ユダヤ系ウクライナ人だが、米国がロシアとの直接衝突を怖がって、ウクライナ上空での飛行禁止区域の設定や、戦闘機の供与をためらっていることに苛立ちを見せている。核保有国同士の衝突を避けるためという大義名分であっても、プーチンの恫喝を跳ね除け、ウクライナが求める飛行禁止区域の設定は、NATOや米国でなくても、米国の国連での政治力があれば、短期間で多国籍軍を組成して十分に対応可能である。そのあたり、米国のバイデン政権は、プーチンを脅かすマフィア的で恫喝的な政治交渉は極めて下手である。もし米国や英国が多国籍軍の組成を公表、飛行禁止区域の設定に言及すれば、プーチンは相当に慌てるであろう。従来のような市民を無差別に殺戮するミサイル攻撃もかなり減るとみている。

ただ、今回、米国が供与する武器は、ロシア軍の完全敗北を印象付けるかなり強力的なものである。爆弾を搭載し、戦車などに体当たりし攻撃する「カミカゼドローン」の戦略無人機100機の供与は、ウクライナ軍がマリウポリなど東部戦線を掌握する強力なものとなろう。携行型の地対空ミサイル「スティンガー」800基、対戦車ミサイル「ジャベリン」2000基もドボルニコフ将軍の指揮下のロシア軍殲滅には有効である。ただ、戦局がウクライナ側に圧倒的に有利でも、プーチンは虚言を駆使し、あくまでもロシア軍が東部を制圧していると主張を続け、5月9日の勝利宣言も、ほとんど東部地区を掌握できていなくてもロシアは勝ったと言い続けるとみている。

今のロシア軍をみると1939年にロシアと日本が戦ったノモンハン事件を思い出す。日本側の死傷者は2万人余り、戦車30両、航空機180機を失う大損害を被った。日本陸軍は、事件後に完敗したと勘違いし、勝利を主張するソ連軍を過大評価、その後ロシアを攻める北進論は影を潜め、南進論が中心となり支那や東南アジアを攻める転機となった。ところが、それはソ連の真っ赤な嘘だったのである。実際は、ソ連側の死傷者は2万5千人以上、戦車、装甲車400両、航空機350機を喪失し、明らかにソ連は敗北していた。ところが嘘の勝利宣言を真に受けた日本は、その後ロシアと日ソ不可侵条約を結び、ロシアを攻めるのをあきらめたのである。ロシアの大嘘がわかっていたら、北進論が正しいと理解し、ドイツ軍と日本軍でソ連を東西で二分割統治したのではないかと推察している。

おそらく、今回もロシア得意の虚言発表で、ウクライナの東部地区を完全占拠したと主張し続けるであろう。実際は、住民を人質にして、勝手に自分たちの占拠を主張しているだけで、すでにロシア軍は士気がかなり低く、敗退し続け、ウクライナ東部の都市や町、村を占領できるだけの兵站も相当に欠乏しているとみている。つまり、ウクライナ軍が多国籍軍の支援を受けて本格的に軍事侵攻すれば、東部地区どころか、クリミア半島も奪還できるとみている。クリミア半島には、民族的には、スラブ系ロシア人よりタタール人が多く、ロシアのプーチン政治にはうんざりしているのではないだろうか。

ロシア反乱軍によるプーチンだけを退治する制圧軍を組成、進軍させよ

今回のウクライナ問題は、侵略戦争という名のプーチンというマフィアも顔負けのたった一人の狂気の独裁者が始めた民間人の大量殺戮であり、無意味なウクライナ市民を一方的に虐殺する重大な国家犯罪なのである。ある意味でソ連の独裁者スターリンの時代にウクライナで起こった数百万人規模の大量の餓死者をまねいたホロドモール事件やポーランドの軍関係者などが大量殺戮されたカティンの森事件に匹敵する、いやそれ以上に残虐な戦争という名の集団殺戮なのである。

そのため、ロシア国内やロシア人から、従来のような国民が大義、威信をかけ、自分たちのために戦う正義はみじんも感じられない。これはあきらかに狂気のプーチンによる戦争という名の民間人に対する大量殺戮犯罪なのである。そして、民主主義の価値観を共有する国々で生活する人たちにとっての最大の脅威になっている。つまり、21世紀になっても世界中にはびこり続けるマフィアのように怖くて恐ろしい独裁者たちを撲滅できるかどうかという米国のような大国でも対処できない非常に大きな政治課題なのである。

ついにその横暴についていけないとロシアの正義を追及する自由ロシア軍という反乱軍まででてきた。今後、東部のマリウポリなどで情け容赦なく都市破壊を命令し続けられても、それに反発する心あるロシア兵士も増えていくと信じている。つまり結構な数のロシア反乱軍を組成できる可能性が強まり、かれらを中心に据え、多国籍軍は裏方となって側面支援に徹し、プーチン制圧だけを目的とする新しい21世紀の目標攻略戦争を展開できる可能性があるとみている。丁度、明治維新の頃の官軍と幕府軍との戦いに似ている。

戦争犯罪者のプーチンを取り押さえ、プーチン政権打倒を錦の旗にして、その目標の達成だけを目的にして、堂々とウクライナからクレムリンまで反乱軍が進軍するのである。従来の常識をはるかに超えた戦い方であるが、ロシア国内に入っても市民を攻撃することは一切せず、むしろ、市民を巻き込んで、プーチン政権打倒、プーチン逮捕、国際刑事裁判にかけるという錦の旗を合言葉に進軍するのである。当然ながら、プーチンはあらゆる手段を使って阻止しようとするが、もはや、その流れには全く対抗できず、ロシア国民が立ち上がる大きな流れになるとみている。

プーチン制圧後は欧米を中心に習近平政権を打倒する動きが顕著となる

すでにわれわれ人類は21世紀になっても、恐ろしい独裁者の恐怖を体験している。それは2020年から世界中でパンデミック流行した新型コロナウイルス、武漢コロナの感染爆発である。3月20日時点でついに累積の感染者数は4億7千万人、死亡者数は6百万人に達した。中国の武漢の研究所から発生、軍事専門家の多くは生物兵器由来と結論づけている。その後、習近平は、香港を治安法で実質的に中国に組み入れ、尖閣諸島の領海侵犯を繰り返し、台湾を必ず併合すると主張、米国や日本とは真正面で対峙してきた。ウイグルやチベットで民族浄化の虐殺が繰り広げられ、特にウイグルでは今でも深刻な集団洗脳や殺戮が繰り広げられていると言われている。

その習近平は、プーチン独裁の力の政治を信奉し、今回のウクライナ問題は、将来の尖閣諸島や台湾の問題とも密接に関係している。マフィアのボスのような威圧感、恐怖感があり、いつ何をするか予測できない怖さをもっている。すでに中国国内の経済は、民主的な資本主義が完全に否定され、大手の民間の不動産会社は実質破綻し、強引に国有化がすすめられている。まさに独裁政治そのものである。

プーチンを反乱軍が制圧した後、世界中の眼は習近平にそそがれるであろう。すでにコロナパンデミックを引き起こし、香港の民主化の動きを弾圧し、ウイグルでジェノサイドの虐殺行為を続ける習近平は国際刑事裁判の重要参考人となる十分な資格を有している。
国連でプーチンのロシアを擁護し続ける中国の姿勢は、欧米、特に米国からは容認し難いものになっている。中国国内の権力闘争も激化しているとも聞く。共産党政権と習近平の今までの所業は、生物兵器開発やウイグル虐殺など数々の国家犯罪を主導しており、すでにプーチンの次の攻略すべき制圧標的となっている。この動きがますます顕著となっていくであろう。

ウクライナ問題は世界秩序のグレート・リセット、国連大改革につながる

世界経済フォーラム(WEF)という国際機関が、世界110か国の主だった影響力のある政治家や実業家を年に一回一月にスイスのダボスで集め、ダボス会議を開催している。2020年と2021年はコロナの影響で開催時期をずらし、オンラインで対応したが、2020年6月に設定された2021年の会議のテーマが、コロナ後の新しい世界秩序を見通すための「グレート・リセット〔Great Reset〕(偉大なる再出発)」となった。リセットとは、電卓の数字を一旦ゼロにして、心機一転、新たに出直し再出発する意味がある。2022年のダボス会議も1月を5月へ延ばし、主催者側は今度こそ皆が一緒に集まって議論する会議にしたいとしている。

さて、今回のウクライナ問題は、まさに世界が災い転じて福となす発想で、このグレート・リセットを追求すべき大事なテーマにつながっている。ネットで言われる陰謀論風に言えば、世界を主導する政治家や経済界のリーダーたちが、彼らが最も嫌うロシアのプーチンをウクライナで見事にはめたのも、世界の秩序を取り戻すためにあらかじめ仕組まれた罠であり、グレート・リセットの一つという誇張された表現となる。もしその陰謀論の延長上で思考するなら、習近平の中国へも厳しい鉄槌がくだされるという話になる。

グレート・リセットとウクライナ侵略との因果関係は不明だが、一つ正しいとすれば、今回のウクライナの問題は、世界の秩序、平和を追求してきた国連のグレート・リセット、大改革につながるということである。一番大きな改革は、連合国の国連として、ソ連や中華民国、その継承者のロシア連邦や中華人民共和国が、安全保障の常任理事国から外れ、もしかすると常任理事国そのものも考え方が大きく変化するであろう。さらに敵国条項のドイツや日本の名前が抹消されて、戦後の連合国中心の国際機関ではなく、自由と民主主義の価値観を共有する国々による国際機関に大きく生まれ変わることが期待されている。

国連憲章も大きく見直され、世界の平和と秩序に脅威を与える国への軍事を含めた制裁もより厳しくなるということが想定される。まさに国連大改革によるグレート・リセットが静かに、かつ確実に遂行されていくのではないだろうか。日本もその時は、9条改憲は当たり前で平和維持のための自衛隊の国連軍への参加も、もっと軍事的なコミットメントを求められていくのであろう。

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