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日本が国難で危ないと自覚できる首相だけが日本を守れる

令和4年11月22日

社会資本研究所

南 洋史郎

直近30年の世界主義の時代に日本経済は衰退して国民生活は窮乏し続けた

2020年の春以降、新型コロナの大流行やそれを原因とする経済活動の抑制など不安定な社 会情勢が続いている。 極め付きは7月8日の安倍元首相の暗殺事件であり、その後の自民党の 政治に対する国民の不安や不満も高まっている。 さらに日本を取り巻く国際情勢は、中国によ る香港の実質的な組み込みや尖閣諸島への度重なる領海侵犯、習近平主席の3期目の就任と独裁 体制の強化、台湾への武力進攻の可能性の高まり、ウクライナへのロシアの侵略戦争、4月以降 の世界的な資源インフレと急激な円安による物価上昇など次々と国難と言える状況が続いている。

社会資本研究所では、長期の未来予測に取り組んでいるが、過去150年間を30年毎に区切 りをつけて分析してから、今後30年間の動向について考察している。 1870年から190 0年を「近代工業化(Modern Industrialization)の時代」、1900年から1930年を「近代 的帝国主義(Modern Imperialism)の時代」、1930年から1960年を「米国覇権(U.S. Hegemony)の時代」、1960年から1990年を「冷戦構造(Cold War Structure)の時代」、 1990年から2020年までの直近30年間をグローバル化が進み、コスモポリタニズムの思 想が強くなった「世界主義(Globalization)の時代」と位置付けている。

1990年から始まった世界主義は、冷戦構造が終結しソ連邦が解体、ベルリンの東西の壁の 崩壊、世界中が民主化、富裕化を指向する中、金融市場や貿易取引の世界から国境を超える世界 主義の考えが広まっていった。 1992年に欧州で西ドイツのコール首相とフランスのミッテ ラン大統領が中心となってマーストリヒト条約が発効され、フランス、西ドイツ、イタリア、オ ランダ、ベルギー、ルクセンブルグの6ヶ国による欧州連合(European Union)が結成された。 2002年に加盟国間で通貨ユーロが共通貨幣となり、2007年にリスボン条約が発効、政治 経済体制の統一化が進展、現在27か国が加盟する米国に次ぐ規模の国家連合となっている。

世界主義による欧州連合EUの経済活動が活発になる中、急激な民主化の社会変化についてい けない地域では利害の分裂がより激しくなった時代でもあったと言える。 1991年から20 01年までユーゴスラビアで紛争が起こり、スロベニアに始まり、クロアチアやボスニア・ヘル ツェゴビナで衝突が起こり、セルビア、コソボ、モンテネグロ、北マケドニアも分裂していった。 イスラム圏を中心として、世界主義の流れに抵抗するテロ活動も活発となり、2001年9月に 米国で同時多発テロ事件が起こり、イスラム世界との激しい武力衝突、対立が続いた。 200 8年9月には世界経済を震撼とさせる金融恐慌のリーマン・ショックも起こっている。
世界中が混乱と紛争で混沌とする中、世界主義のグローバル化の恩恵をもっとも受けた国が中 国であった。 GDPが世界2位になるまで経済が躍進し急成長を遂げた。 逆に日本は世界主 義の流れに乗って、力のある大企業がどんどん中国などの海外へ活路を見出して積極的に事業を 展開する中、国内経済が疲弊、消費市場も低迷する失われた30年のデフレ経済を経験すること になった。 グローバル化とは聞こえは良いが、日本がひたすら衰退する社会経済を歩み、国内 の富める者と貧しき者との生活水準の差が広がった魔の30年であったと言える。

世界主義から国家主義への大変化を先取りできる国や企業だけが生き残る

次の2020年から2050年までの30年間は「国家主義(Nationalism)の時代」になる と予測している。 その契機が2020年春の新型コロナ感染の世界的な大流行によるパンデミ ックであり、一部の軍事専門家の分析による中国で開発中の生物兵器の漏洩事故という見方が有 力である。 コロナ・パンデミックを契機として、各国の国民が自分たちの国の安全や防衛、国 益を優先するナショナリズム、国家主義の意識に目覚め、富国強兵による自国経済の強化の重要 性に気づき、覚醒したとみている。 国家主義の時代は、ある意味で各国の利害関係や政治スタ ンスが明確となる中、逆に国家同士の連携、連帯を促すアライアンスが重要になるとみている。 日米欧では民主的で保守的な価値観が重視され、米国一強から互いの国々が連携して、多極的な 国際関係の中で、自国の国益を優先する動きがより顕著になるとみている。

国家主義の時代になりもっとも困る国は中国である。 従来のような中国を安価で良質な労働 力の豊富な国とみなして、世界の工場と位置付ける考え方は消え失せるであろう。 むしろ、米 国や日本、欧州が自国で製造工場を維持、発展させる重要性に目覚め、自国のモノづくりを再び 大事にする動きが顕著になっていくと分析している。 AIロボットによる自動生産やIT物流 システムの無人化もその動きを加速し、先進国ではどれだけ省人化、無人化した製造物流システ ムを国内に構築できるかが、国富のバロメーターになる時代がやってくるであろう。

つまり、従来のような安価な労働力を求め、中国へ進出する先進国、特に日本のメーカー系の 大企業は、様々な国際規制、ウイグル強制労働問題や半導体技術規制などの影響を受けて現地の 投資活動を大きく縮小するであろう。 さらに安価な労働力の移民に対しても国内需要が減って、 各国で規制が強まり、人手が足らない時はAIロボットを活用して、いかに自動化、省人化を進 めるかが全産業共通の課題となるであろう。 国家主義の社会では、少子高齢化を嘆くマイナス 思考の発想はなくなり、「人とロボットとの共存」、「徹底した省人化、無人化発想による新たな 事業の仕組みの構築」というプラス思考の産業革命が起こり、その革命の流れを見誤ると生き残 れない時代が到来する。 単純な繰り返し作業の製造物流の工程はなるべく無人ロボットに任せ、 その分野の労働者の雇用需要が減り、多品種少量のニッチ市場に向けた個性的な労働サービスの 需要が増大する時代になるとみている。

国家主義の時代変化に翻弄される岸田政権に逆風が吹き荒れ、暗雲が垂れ込む

国家主義の世界的な変化が進展するとその変化に取り残される独裁体制の中国との貿易取引は 先細る傾向が顕著になるとみている。 政治家も従来の中国との密接な関係を志向し続けると自 国民からNOの審判を受け、政界から去らざるを得なくなっていくであろう。 親中議員や海外 投資を促す議員が活躍する時代は終わり、脱中国、脱海外の発想で国内産業の育成強化に政策転 換できる政治家だけが評価され、生き残れる時代になっていくのである。 この国内の大変化に 一番乗り遅れている政党が、自民党と公明党の与党であり、今や親中派の烙印を押されることは、 政治生命の終焉を意味する時代に様変わりしたという自覚、認識が必要になっている。

要するに日本人の日本人による日本人のための政策を推進できる政党が、国民の高い評価を受 ける時代へ大転換が起こっているのである。 もう海外、特に中国の留学生を優遇、歓迎する時 代ではなくなった。 むしろ日本人の大学の学費負担を軽減し、自国民を優遇する政策が評価さ れる時代へ変化しているのである。 一昔前であれば、鎖国的で閉鎖的、内向きになった日本人 を国際センスの無い人たちと揶揄、非難する評論家やマスコミが目立ったが、今ではそうした論 調は影を潜め、国民の反発を招く傾向がより顕著になっている。 この国家主義の動きは、日本 だけでなく、欧米やインド、中国、韓国、その他のアジア、中南米の国々でも強まり、自国の社 会経済の発展に貢献したいと考える若者が増えていくであろう。

これがネットメディアを中心として親中色の強い岸田政権が支持されず、バッシングが続く根 本的な原因ではないかとみている。 実際、政権への風当たりも日に日に強まっている。 その 影響からか、10月24日の山際大臣、11月11日の葉梨法相に続いて20日には寺田総務大 臣も更迭されることになった。 これで3大臣が1か月以内に相次いで辞職、英国のような政局 混乱の様相が強まっている。 過去、日本では3大臣が短期間で相次いで辞職した政権でその後 長続きした政権は存在しない。 岸田首相も国会の混乱だけは避けたいという釈明をしていたが、 半ば自らの運命を覚悟しているような口ぶりであった。 後任は元民主党の外務大臣で2017 年に自民党の麻生派に鞍替えした松本剛明氏が就任したが、急場の一時的な人事としか思えない ところに岸田政権の混迷ぶりがより鮮明となっている。

さらにこれからの政局の混乱を暗示するようにNHKより11月14日に支持率が公表された。 岸田内閣を支持するが33%、支持しないが46%、自民党を支持するが37.1%であり、青 木率は70.1%となった。 9月、10月の青木率は76.2%、74.9%であり、下げ続けて いる。 また、毎日新聞の20日の調査結果では、政権を支持するが31%で前回より4%アッ プ、支持しないが62%で3%改善したが、岸田首相の継続について、早く辞めて欲しいという 回答が最も多く43%、再来年の9月の総裁選まで続いてほしいという回答が31%であった。 ANNの21日の調査では、支持するが30.5%、支持しないが44.7%と悪化し続けている。

このままではどの調査でも、支持するが20%台の危険ラインへ突入する可能性が強まり、物 価抑制や国防強化など何も有効な対策をうてない、リーダーシップのない首相への不満がさらに 高まり続けるであろう。 内閣改造で親中と噂される議員を全て一掃、派閥を超えて国家主義を 先取りできる有力な減税、積極財政、国防強化が期待できる議員を大臣に登用する大胆な人事を 断行できない限り、すでに岸田政権の命運は尽きたという見方も強まっている。 党内には内閣 改造だけでは、国民の支持を取り戻すことは難しく、今の日本が困難で危ないと自覚できる首相 でないと日本は守れず、新たな党首、首相を選出する危機的な状況だと主張する声もあるらしい。

国家主義の時代は松下政経塾出身の政治家がクローズアップされるようになる

国家主義の世界的な変化が進展する中で、どのような政治家が活躍するかを予測しているが、 少なくとも過去30年間の世界主義の時代に高い評価を受けてきた政治家にとっては受難の 時代がやってきたとみている。 1990年代以降の米国を中心とするグローバル民主主義 全盛の時代には、ハーバード大学の公共政策大学院であるジョン・F・ケネディ行政大学院、 通称ケネディスクール出身の政治家が幅を利かせてきた。 90か国から将来は大物政治家 になると期待される優秀な若者が集まり、互いに交友関係を深める中、世界主義を共通の価 値観としてキャリアを歩んできたのである。 日本でもケネディスクール出身者は高く評価 され、自民党の茂木幹事長や辞職した寺田稔元総務大臣もその卒業生である。 毎年、有能 な日本の官僚数名を選抜派遣、世界主義の流れに取り残されないように将来は様々な国の政 治エリートになる学生との交流で人脈づくりを推進してきたのである。

ところが国家主義の時代は、自国独自の政治家を育成する教育機関で育った政治家が重宝 がられるようになる。 日本では、ケネディスクールに対抗する次世代の政治家の育成機関 の松下政経塾(「政経塾」と略)の存在に注目が集まっている。 大学ではなく、少数精鋭 の優秀な日本人の政治家を育成する特殊な私塾であり、毎月20万円の給与をもらい、自衛 隊の訓練を体験し、日本の伝統文化を学び、実学を重視する4年間の経験は、政治家や政策 を云々する前にまず日本人としての人間力、胆力を磨き、精神力を高め、タフな生き方がで きる人材の育成に重きを置いている。 政経塾出身の政治家は、とにかく逆境にめげず、強 靭な精神力を発揮するタイプの人が多いという世間の評価も定着している。

岸田政権で有名な政経塾出身者と言えば、官房長官の松野博一氏や復興大臣の秋葉賢也氏 の名前が挙がる。 ただ、二人とも国難の日本における次期リーダーとしての存在感はなく、 性格にもよるが、一時の政治パフォーマンスに酔わず、メディア露出の演出は地味で目立た ないが、しっかりと与えられた職責を全うするタイプなのであろう。 自民党には、自己主 張の強い政治家もいるが、与えられた職責をこなす実務的なタイプの政治家も意外と多い。

日本が国難で危ないと自覚できる頼りになる松下政経塾出身の政治家は誰だろうか

今の自民党の中で、国難の日本を担える次期リーダーとして、TVメディアへの対応がう まい政経塾の出身者として、日本を護る会の山田宏氏、保守団結の会の高市早苗氏、宏池会 の小野寺五典(いつのり)氏の3人が注目されている。 TVメディア露出で難しいのは、 様々な番組に出演し過ぎでタレント化してもいけないし、かといってTVメディアから全く 注目されず、ネットメディアだけでは、広く国民からは支持されにくい。 その意味で、山 田氏、高市氏、小野寺氏の三人の議員とも日本の国防や経済を考える場合にその言動や動向 が注目されてきた。 この3人の政治家の過去の経歴で共通するキーワードは「苦労人」と いうところであろう。

山田宏議員は、様々な政党を渡り歩いてきたキャリアが災いして、自民党内の存在感、影 は薄いが、2019年に熱血漢の青山繁晴議員が提唱した従来の派閥を超えた「日本の尊厳 と国益を護る会」の結成に参画、NO2の幹事長として難しい会の運営を仕切っている。 この会は今や80名(衆議院議員42名、参議院議員38名)の大勢力になっており、党首 選でも無視できない規模に成長、高市議員もこの会に所属し、昨年の党首選では、この会の 議員票が高市議員に相当数まわったとみられている。

高市早苗議員は、男性優位の男社会の政治の世界で常に異色の扱いを受けてきた。 彼女 が知的水準の高いネット言論界で注目され、高い人気を誇るのは、女性という性別の違いに よるものではない。 むしろ性別を超え、中国の政治工作の影響が疑われる議員があまりに 多く、国民の信頼を失ってきた自民党の中で、中国に真っ向対峙し、国防に対する堅実な考 えや政策能力の高さが保守系の国民から評価されているからであろう。 政治家としての能 力、実力はトップクラスという評価もネットを中心とする論客の間で定着している。 また、 今の混迷する日本経済を救済するためには積極財政の政策を講じざるを得ないが、そうした 新しい金融経済の仕組みについても造詣が深く、アベノミクスを無理なく継承できるとみら れている。 まさに日本の国難を乗り越えるために必要不可欠な二大課題の国防と経済の両 方の政策に詳しい数少ない政治家と言える。

前出の二人の濃いキャラクターと比べるとTVやネットのメディアから、次世代リーダー としては全く注目されず、地味な存在だが、ポスト岸田候補として注目されている一人が、 元防衛大臣の小野寺五典氏である。 海洋系大学を卒業、県職員となりその職を辞めた後に 政経塾を11期に卒業、法系大学院でも勉強し直し、議員になって東日本大震災で家を失い、 復興に尽力してきた紆余曲折の異色の経歴をもつ。 苦労人らしく、政経塾は11期卒だが、 遅咲きの1960年生まれで、5期卒の高市早苗氏や伊藤達也氏の1961年生まれより年 齢がいっている。 ものの言い方が優しく、柔らかく、日本人受けする性格のため、臭みの 無い政治家として重宝がられ、BSフジの看板番組プライムニュースに度々出演している。 意外に思われるが、パパ活や中国ハニトラ、中国人秘書の工作協力など数々の疑惑の議員の 不祥事が続く宏池会に所属している。 ところが、その政治スタンスは、国家主義の世相を 反映した現実路線を歩み、むしろ日本中心で中国へ厳しく対峙する姿勢を貫いており、国防 予算でも真水での予算増額を首相へ進言している。

岸田政権が番頭政治へ転換すれば来年5月の広島サミットまでは政権維持は可能

今年の臨時国会の会期は10月3日から12月10日までの69日間となっており、主に 補正予算の取り決めがおこなわれる。 例年、通常国会の会期は1月中旬から6月中旬まで の150日間あり、次年度予算や様々な法案の審議、取り決めがおこなわれる。 岸田政権 への厳しい評価が続いており、ゴタゴタ続きの今の政権では12月の年内の臨時国会での補 正予算の成立すら危ぶまれており、来年1月中旬までの年末年始に支持率回復を狙ってまず は大胆な人事の内閣改造が実施される公算が強まっている。

内閣改造人事における顔ぶれにもよるが、新内閣の人事が国家主義の潮流を先取りできそ うな親中色を一掃した経済と国防に精通した能力の高い議員で固めることができれば、ある 程度の支持率の回復は期待できるとみている。 とにかくネットメディアや世間を驚かすよ うな内閣改造が望まれる。 特に国難の日本を守り、経済と国防を強化してくれそうな官房 長官や財務大臣、防衛大臣、外務大臣、経産大臣、政調会長の人事は重要である。 例えば、 小野寺官房長官、萩生田財務大臣、岸防衛大臣、高市外務大臣、青山繁晴経産大臣、山田政 調会長などの派閥を超えた国家主義の政治を推進してくれそうな陣容に一掃できれば国民の 期待も大きく高まるであろう。 内閣改造と同時に身内の秘書官を更迭、実力者へ変更する 人事も欠かせない。

ただ、失礼ながら、岸田首相ご自身に日本が国難で危ないという自覚が全く感じられず、 次々と先手必勝で有効な対策を講じる強いリーダーシップがあるとも思えないのが最大の難 点と言える。 昨年9月の党首選、10月の内閣の頃の覇気のあるキリっとした表情が消え 失せ、日に日に疲れ切った表情で元気のない青白い顔でカメラの前に登場する首相のお顔を 拝見すると首相という仕事がこんなに大変なもので激務なのかと驚くばかりである。 日本 が国難と言う前に首相ご自身が危機的な状況に陥っておられるような様相なのである。

テレビ画面に登場する疲れ切った表情の岸田首相をみると哀れで気の毒にも感じられるが、 こういった状況でアドバイスできるとすれば、自分より優秀な人材を周囲に揃え、最終責任 は自分がとる覚悟で、思い切って政治を任せる「番頭政治」に徹することではないだろうか。 当然ながら、政治的な主張も采配能力も大臣の方が上で優秀と割り切る度量と度胸も必要と なってくる。 トップが裏方に回って陰で支えるきめの細かな配慮も必要となる。 「聞く 耳」より番頭たちを支える「支援力」が必要となるのである。 この支援力の発揮で初めて 番頭連中から慕われ、人望も生まれ、組織自体がリーダーシップを発揮するようになる。

国難で危ない日本を守るために岸田首相はまず何から着手すべきであろうか

国難で危ない日本を守るためには国防強化が何より最優先の課題となっている。 それに 経済をけん引する一石二鳥の政策を推進するとなれば、防衛産業の早期の強化が欠かせない テーマになってくる。 1月からの通常国会では、憲法9条改憲に向けた審議を優先しない といけない。 継戦能力強化のための武器弾薬類の装備品の早期拡充だけではなく、次世代 の高機能ミサイルやレーザー兵器、無人機ドローンなどの幅広い分野の開発が求められるの である。 その国防強化にはかなりの資金が必要になってくる。

国難の日本を守るためには、健全財政より国防優先という考え方が欠かせない。 次年度 の予算を組む場合も、従来の防衛予算の常識の枠を超え、防衛国債の発行という財政的な裏 付けをつけて、単年度で15兆円程度の巨額資金を投入する覚悟も必要となる。 この3倍 予算の情報が海外へ喧伝されると欧米からいよいよ日本が本気になったと高い評価を受け、 中国等の近隣諸国からは、日本をなめてかかったら大変と巨額の予算情報そのものが抑止力 につながるようになる。 それだけ今の防衛省の装備や国防体制は著しく脆弱である。 仮 に数発のミサイルが日本へ飛んできても、それを確実に打ち落とせるという裏付けとなる防 衛能力があるという情報を見つけることができないのである。 素人がネット検索でちょっ と調べただけでも、日本の国防の脆弱性が簡単に認識できるので、中国やロシア、北朝鮮で あればもっとその弱さに驚いて、逆に 馬鹿にしていることであろう。

例えば、日本に向けて弾道ミサイルが発射されると同時にその軌道を瞬時に自動計算して、 日本国内へ確実に落ちると判明すれば、射程50km 圏内で陸上自衛隊の純国産の地対空ミ サイルの「中SAM改」という03式中距離地対空誘導弾(改)が発射される。 それが外 れた場合、今度は射程20~30km の米国製の高性能のPAC3のパトリオットが迎撃す る二段構えの防衛となっている。 ただ、日本全国を網羅しておらず、数十発の弾道ミサイ ルが同時発射された場合、広範な地域が無防備のままとなっている。 迎撃ミサイルがある と言っているが、守れるのは一部の国内の地域だけで、数十発以上の飽和攻撃を受けたら、 日本全てを網羅して、1発のミサイルも日本に着弾させないという完全防備の防衛体制にな っていないのである。 要は広範囲の日本の都市部などがやられっぱなしで、ミサイル防衛 が全く効果無いといっても過言ではない状況なのである。 この状態を改善する目的に絞っ ただけでも、数兆円以上の予算をかける必要があり、短期間に独自に国産で大量の迎撃ミサ イルを生産、配備する必要がでてきているのである。

それが核兵器ともなれば、さらに深刻な問題になる。 すでに中国は日本の主要都市を数 回壊滅できる数千発以上の核ミサイルを日本国内に向けていつでも発射できる状態にあると 言われる。 これが日本国民の潜在的な恐怖心にもつながっている。 そこで完全、完璧な ミサイル迎撃体制を一刻も早く構築できる状態にする必要がでているのである。 また、相 手に対して抑止力となる強烈な反撃能力も必要不可欠となっている。 その抑止力として一 番大きなものは核兵器であり、非核三原則の見直しは必要不可欠となっている。 まず、核 兵器の技術的なFS、フィージビリティスタディ(実現可能性の調査)を始める政治判断が 必要なのではないだろうか。 これは核兵器の保有を意味しておらず、今までの政府方針と は矛盾せず、かつ、敵対する相手国に対しては相当の抑止力となる政治決断になるのではな いかと考える。 核兵器技術のFSと完璧なミサイル迎撃反撃体制の構築が、まず何より岸 田首相が着手すべき最優先の国防テーマと言えるのではないだろうか。 残された時間はあ まりなく、一刻の猶予もできない国難の状況を脱するためにも、早く国民が安心できる国防 体制を構築して欲しい。

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