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明るい日本人の人生行路を暗くする政治行政にはNOを言おう

2023年3月13日

社会資本研究所

南 洋史郎

幸せな日本でなぜ日本人の人生行路を暗くする政治家が次々出没するのだろうか

万博が近いからか、コロナが5類になる予定で感染の恐怖が減ったためか、大阪市内の本町へ通う電車の中は、元気溌溂な若いビジネスマンが多く、商店街や観光地も活気があり、なんとなく幸せな雰囲気を感じる。2020年春から始まり、3年続いた武漢発のコロナ感染流行やウクライナ侵略戦争、安倍元首相の暗殺など暗い世相から解放され、さあ、これから人生前向きで頑張ろうと思った矢先に明らかに稚拙な政治行政の対応のまずさで暗くなりそうな問題が次々と噴出(ふきだ)してきた。

2月7日に「国交省の大臣以下役人の怠慢でMRJのジェット旅客機事業からの撤退」が公表され気落ちした中、3月3日には「総務省の携帯通信行政の不備による楽天モバイルの不正取引事件の全容」が明白となり、3月7日には「H3ロケット打ち上げ失敗」という暗い話が続いた。極め付きは3月8日になって特定議員が自分の入手した行政文書で8年前当時の高市元総務大臣の発言を追求するという常識では信じられない問題をテレビや新聞で大きく取り上げていたことである。唯一の救いは、3月9日から始まったWBCの野球中継の日本選手の活躍である。大谷やダルビッシュ、ヌートバーといったメジャーのスター選手も加わったサムライ野球には日本を明るくする起爆剤になって欲しいと願っている。

1970年代に今は亡き人生幸朗(じんせいこうろう)・生恵幸子(いくえさちこ)の大阪の夫婦(めおと)漫才の絶妙のやり取りシーンが思い出される。「責任者出てこい!」「このボケナス!」という言葉が飛び交い、そのたびにどっと笑いが起こった。紹介のたびに「人生行路(じんせいこうろ)」という言葉が想起され、毎回、たわいもない内容の笑いの中にどのような人生を歩むべきか、歩んではいけないかを考える良い機会になった気がする。今の心境は、日本を暗くし続ける政治行政の問題に関し、それを引き起こしている一部の政治家や行政の官僚、メディアや専門家の方々へ同じように考え直して欲しいという思いであり、早く普通の常識的な感覚を取り戻して、正気になってもらいたいと願っている。

海外の様々な国々を旅行して、現地の悲惨な生活を知るようになると日本ほど幸せな国はないと言い切れるようになる。日本は世界で最も成功した社会主義国という賛辞を受けるほど、大方の日本人はある程度の豊かさで満足して生きている。大金持ちで海外に住む人もいるが、節税も考えてかなり無理をした生活をしている。大方の日本人はそんな金持ちになりたいとは思わず、小金(黄金)持ちでピンピンコロリの人生が幸せな人生行路だと悟っている。こんな恵まれた幸せな国で生きていると幸せボケとなり、いつしか警戒心が薄れ、寛容的な心になりすぎるのであろうか、日本人の人生行路を危うくする非常識な言動や的外れな主張をする政治家や官僚、専門家たちがあまりに多すぎる気がしている。とくにテレビの国会中継に登場する野党議員の人たちが、本来、国民のために議論すべき行政テーマをないがしろにして、必要の無い不毛で無駄な政治テーマを取り上げ、政府を糾弾する姿には失望している。このような不毛な議論を展開する政治家が次々と出没するのはなぜかと不思議に思い、このままでは日本はおかしくならないかと心配になるのである。

立憲議員の高市大臣追求の国会審議は時間の無駄で不毛な議論ではないだろうか

3月8日の参議院の国会審議における立憲民主党の小西議員の高市大臣追求の審議にはとても驚いている。まず何より行政文書と認められた80ページ近くの極秘扱いの文書を入手した経路や経緯の正当性が全く説明されていない。拙(つたな)い経験だが、仮に企業に勤務していた元社員が、現役社員から社内文書を勝手に入手し公表した場合、2つの大きな問題が発生する。一つ目は現役社員の守秘義務違反であり、二つ目は元社員がその文書が守秘義務違反と知りながら勝手に公表したことによる企業に対する背信行為である。それによって企業が多大な金銭的な被害を受けた場合、民事訴訟で損害賠償を受ける可能性すらでてくる。しかも入手経路の正当性がはっきりしないのに文書に記載されている企業の元役員の言動を追求、その元役員が捏造と反論をしたところ、社内文書は間違いない、だから元役員は今の仕事を辞めろと恫喝しているのである。しかもそれが録画され、記録として残った場合には深刻な結果をまねくことになる。

もし元役員が怒って、刑法222条で規定される「自分の名誉や(今の仕事の収入の)財産に危害を加える恐怖を与える脅迫行為だ」と警察へ訴えた場合、すでに証拠が残っているので、警察も動かざるを得ず脅迫罪が成立し逮捕される可能性が高まるのである。また、その録画をみた関係者が警察へ訴えた場合、当事者である元役員がその訴えの取り下げをしない限り、警察は動かざるを得なくなる。こうした違法行為を知りながら、テレビの放送事業者が一方的に元役員の過失を攻め続け脅迫罪の成立後に元役員から民事訴訟を受け、そのテレビ局が放送法違反という判決を受けた場合、電波権限はく奪の可能性すらでてくる。もし自分が民法テレビの経営者なら、報道部局へ絶対に元役員を追求するニュース報道だけはするなと厳命するであろう。

国会中継で驚いたのは、立憲民主党の小西議員が、機密性の高い行政文書が正しいと説明して、そこに書かれたことが許せない、だから捏造と主張する高市大臣は辞職しろと主張されている点である。そもそも機密性の高い行政文書をどのように入手したのか、総務省のだれがその情報を持ち出したのかについて、その経路や経緯の正当性に関する説明が一切ないのである。行政文書の取り扱いについて詳しくないが、そもそも総務省の行政文書の公表は、その経路や経緯に正当性がない場合、先ほど述べた民間企業の社内文書の漏洩事例に比べ、もっと厳しい処分が下される可能性が強いのではないだろうか。たしか、国家公務員法百条で は、職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならず、職を退いた後も同様と規定され、法令による証人など、職務上の秘密を発表するには所轄庁の長(総務省の場合は総務大臣)の許可を要するとなっている。違反者は懲役や罰金の対象となる。行政文書の場合、それが情報公開制度の公表の対象でなければ、文書を勝手に持ち出した時点で、総務省の現役官僚は百条違反となる。さらに総務省の元官僚の国会議員も、その行政文書が総務大臣の許可を得ていないと知りながら公表した場合、百条違反に加担した責任を問われる可能性が強まる。

つまり、立憲民主党の小西議員は元総務省の官僚だが、参議院の審議委員会で質疑をする前に今回の問題だと指摘している80ページ近くの行政文書を入手し国会審議で公表した経路や経緯の正当性について、説明する責任がでているのである。その説明責任が果たせないなら、参議院で審議することは時間の無駄で不毛な議論となる。そうした事前説明もなく、審議委員会で質疑応答を繰り返し、高市大臣や松本総務大臣、その他の総務省の官僚を呼びつけ、行政文書の内容は捏造と主張する高市大臣へ行政文書は正しいので大臣、議員を辞職すべきだと恫喝し、それがテレビ中継で全て記録、放送されているのである。そもそも国会審議の場で不正な経緯で入手された公表が認められていない資料に基づく質疑応答そのものが許されないのではないだろうか。まさに時間の無駄であり、不毛な議論だと思うのである。

テレビ朝日やTBSといったリベラル色の強い放送局では、今回の小西議員の国会審議による高市大臣の捏造発言をさかんにニュースで報道していた。高市議員を応援する保守層は相当に多いので、先ほどの民間企業の事例のように万一、警察が動けば、むしろ、議員辞職の可能性もでて、立憲民主党としての党の立場も相当に揺らぐ話に発展するのではないだろうか。テレビ朝日やTBSも放送法4条を遵守する気があるのなら、今度は小西議員の行政文書持ち出しの正当性への嫌疑については公平に報道する必要がでてくるであろう。

国会で早期に審議すべきは電波行政の規制緩和や楽天モバイル支援の議論である

先ほどの放送行政について、本来国会で審議すべきは、1980年代の土光臨調で実施された国鉄や電電公社をJRやNTTへ民営化したようなNHKの民営化の議論である。2023年の令和臨調ではこうした議論をして欲しいと願っている。ただ、地震や津波、戦争のような有事発生の緊急事態が起こった時の国営の放送局は必要なので、NHKのいくつかある電波放送のうち、一つの放送チャンネルだけは国家が運営する完全無料の国営放送局として残す必要があるだろう。それ以外のNHKの放送局は民営化することで、自由闊達に活躍できるようにすれば良いのではないかと考える。今のNHKの有料課金の制度も見直し、スクランブル放送で加入したい人のみが見られる仕組みの方が発展する気がしている。NHKの受信料を支払う人とそうでない人が混在する状態は不自然であり、そこは受益者だけが番組をみられるようにして、面白い番組や優れた情報番組を増やし、月500円程度に受信料を思い切って下げれば、むしろNHKへ加入する人が増えるのではないかと予想している。

今の民放のテレビ放送会社の番組の内容や体制では、大手企業のスポンサーが激減し5年以内に経営的に成り立たないところが増えてくる。そうした「放送事業クラッシュ」の危機的状況に陥る前に早い時期から電波オークションやプラチナバンドなどの未利用の電波放送帯域の自由化について国会で議論する必要がでている。早め早めに政府主導で放送局が生き残れる道を模索する必要があるのではないかと思う。例えば、ユーチューブに対抗して、民放の放送局が独自運営するネット動画配信サービスの立ち上げを国が資金支援することで、新たな広告宣伝収入を得る機会を模索する必要もでてくるであろう。また、未利用のプラチナバンドなどの電波帯域を規制緩和で無線通信の携帯会社が利用できるようになれば、携帯事業の競争環境を高め、携帯料金をより安くすることも可能になるとみている。

楽天モバイルで起こった元幹部社員による不正が大きな社会問題となっており、大手の日本ロジスティックも役員が不正にかかわった容疑で昨年8月に民事再生法を申請している。さらにその基地局の設営工事を請け負っていた零細、中小の業者の多くが連鎖倒産の危険な状態となっている。そのため、楽天モバイルの基地局設営工事の不正事件で資金回収できずに苦しむ工事会社などを国が関与して救済支援できるかどうかを議論する必要もあるのではないだろうか。

もし楽天モバイルが未利用の電波帯域を携帯通信に活用できていれば、これほど巨額の投資を無理して推進せず、相当な数の基地局の建設をしなくて済んだ訳で、適切な競争環境の中で国民が安価な料金の携帯を利用できるようにするために寡占化された携帯産業への新規参入を促す規制の緩和とその促進策が必要不可欠となっている。このあたりを国会で議論する必要があるのではないかと考えるのである。  

国会審議では、以上のような本当に国民のためになる規制緩和や放送、電波のあるべき行政を議論して欲しいのである。80ページ近くの誰が何を言った、言わないという枝葉末節な議論など国民にとっては何の意味もないのである。今回の問題を契機として、国会議員の皆さんには、NHKの民営化と民放生き残りのための新たな事業展開、未利用電波の有効活用と言った問題をどんどん議論して欲しいのである。そうすれば、政治家の皆さんの人生行路も良い方向へ向かっていくのではないかと思う今日この頃である。

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