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地方選挙で保守回帰・リベラル回避の社会変化が読める

2023年5月15日

社会資本研究所

南 洋史郎

社会変化に逆行する政治判断を繰り返す岸田政権や自民党が延命し続ける不思議

政治の流れは、人々の意識変化、社会変化に大きく影響を受ける。その意識変化を引き起こす最も大きな要因は、日々人々が接するテレビ、新聞などのマスコミやネットなどのニュース報道である。調査に費やす時間的制約から、ネットメディア中心に国際社会、日本社会の意識変化の潮流を分析している。今までの分析では、日本で起こっている大きな変化は、「日本人の保守化」、「経済の日本回帰」、「国益重視と国防強化」の3つであり、これらの社会潮流がこれからの日本の政治を大きく動かすのではないかとみている。政治、政党も、保守回帰、リベラル回避を鮮明にできる政党だけが高く評価を受け、生き残れる傾向が顕著になってきており、4月の地方選挙の結果からも、リベラルな印象の強い候補者や政党が嫌われる傾向が鮮明となってきた。

意外にも、こうした保守回帰、リベラル回避の社会変化に逆行する政治判断を繰り返してきたのが岸田政権と自民党である。国民意識と逆行する間違った政治判断で一昔前ならとっくに政権交代があり、旧態然とした政党や政権が長く続くことはなかった。自民党延命の要因として、保守層に絶大な人気を誇る高市大臣の存在や安倍派の保守議員の活躍が大きいとみている。20年前の平和な時代なら、党が割れ大分裂したと思うが、それをつなぎとめてきたのが、中露による平和を脅かす国際情勢の変化とみている。要は、有事なのに内部で勢力争いを繰り広げる悠長なことを国民が受け入れるとは到底思えないほど国際情勢が逼迫(ひっぱく)しているのである。

一昨年11月のCOPでの欧州の化石燃料批判をものともせず、岸田政権が現実的な化石燃料重視の流れをつくった功績は高く評価されている。その後のウクライナ戦争を契機とした世界的な石油、天然ガスなどの資源不足もその判断の正しさを後押ししてきた。昨年7月の安倍首相の暗殺後の唐突な8月の内閣改造に国民は驚いたが、さらに統一教会の問題を発端とする山際、葉梨、寺田、秋葉の4閣僚や杉田政務官の更迭などで政権人気は落ち込んだ。ところが、その後、安全保障3文書で反撃能力を明示し、中国の脅威に正しく対峙する国防強化の姿勢に評価が高まり、政権支持率が20%台に落ち込まず、危機を脱したのである。12月の暮れになり、防衛のための増税を突然、首相が主張し始め、これで政権が引っくり返る動きが出るかなと観察していたところ、いつの間にか増税の話が消えて無くなった。むしろ、2月初旬になり中小企業の人気が高い黒田総裁の金融緩和路線を踏襲する学者出身の植田総裁のサプライズ人事で評価が高くなったともいえる。3月になり参議院の予算審議で保守層に人気の高市大臣の更迭を強面に主張する立憲議員の審議荒らしがあり、その背後に自民党幹部や岸田政権が関与しているというネットの噂話も流れたが、首相自らが高市大臣を守る発言をおこない、その後の首相のウクライナ訪問の評価も高く、G7広島サミットが終われば解散総選挙の道も開かれるとみられていた。

ところが、なんとここで順風満帆な様子の岸田政権にとって、致命的な大きな落とし穴があらわれたのである。それは保守と真逆の極左のリベラルが大喜びするLGBT法案である。すでにネット上で猛反対の論陣を張った有名な評論家や言論人の間で大騒ぎとなっている。新宿の歌舞伎町にできた新しい高層ビルに男女の区別がないジェンダーレストイレが物議を醸(かも)し、渋谷の銭湯でLGBTの男性による問題行為が頻発しているのである。差別問題に理解がある米国でさえ、さすがにLGBT法案だけは問題が多すぎると受け入れ拒否の州が多数となっている。あろうことか、自民党がこの問題だらけのLGBTの理解増進法なる駄目な法案を審議し通そうとしているのである。法案とは、あらゆる法規制の大元となる大事なものである。理解増進という表現でも、様々な問題が起こる可能性が極めて高い。

つまり、もし法案が通れば、全国の小中学校で不可解なLGBT教育が強制され、至る所で男女共同トイレやわいせつな行為が頻発する銭湯が増え、それに対し国民から怒りが巻き起こり、女性からは憎悪のクレームが増え、そんな馬鹿な法案を通過させた左翼の自民党に批判が高まることが明々白々となっている。しかも、解散総選挙の前にわざわざ自分たちの政党のネガティブ・キャンペーン(ネガキャン)となるリベラルな法案を出そうとしているのである。新しい政治勢力として保守系の受け皿になり始めている維新や国民民主などにとって、リベラルな自民党は願ったり、叶ったりであり、今回のLGBT法案について、解散総選挙前のネガキャンでどこまで票を伸ばせるかを計算し始めるであろう。

「日本人の保守化」で保守回帰・リベラル回避を鮮明にできる政党だけが生き残る

日本の古き良き伝統に根ざし、理想論を避け、現実的で思慮深く、多数が歓迎し受け入れる実現性の高い政策を主張できる政党を保守と呼んでいる。自由民主党は、その保守政党の代表格であり、戦後は多くの日本人の高い支持を受けてきた。逆に革新という名のもと、古来の伝統文化を否定し、現実味の無い理想論を振りかざして、十分な議論もせず、思慮浅く、困る人も増えるのではないかと懸念する政策、法案を平気で主張できる政党をリベラルと呼んでいる。戦後、知識人を中心に一定数の支持層はあったが、多数の国民からは敬遠されてきた。その結果、社会党は、分裂を繰り返して消滅、日本共産党も縮小し続けている。立憲民主党もリベラル色が強く、今回の地方選挙や補欠選挙では苦戦している。自民党も公明党と一緒になってから、保守というより、リベラル色が強く ったと批判されてきた。保守的な考え方が強い一般の日本人からすれば、リベラルな政党の主張や政策は、受け入れ難いものが多いのである。ある意味、真っ当な考えで生きてきた一般大衆、多くの日本人の保守回帰の流れは自然な流れとも言える。戦後、日本はGHQの占領政策の悪影響で、日本の古来の伝統文化を否定する考え方、生き方が主流となり、革新的な考えやそれを主張する知識層や富裕層の一部の社会階層にリベラルな政党の支持者が多かったともいえる。

ところが、大きな社会変化の中で、日本人の古き良き伝統文化を見直す動きが強くなってきている。日本人の原点回帰、アイデンティティー(Identity)を追求する動きが、「日本人の保守化」であり、これが第一の社会の大きな変化となってきている。大方の日本人が、古来の日本の良さや伝統を再認識し、白人、コーカソイド(Caucasoid)が主流の米国や欧州の国々の社会変化や革新的な動き、いわゆるリベラルな変化を先進的な流れと感じなくなってきた。むしろ日本の独創的なアニメやキャラクターが欧米で流行(はや)り、古来の伝統、歴史上のもの、例えば、忍者やサムライ、日本食がグローバル化することで日本文化に自信をもつ人も増えてきた。
地方選挙でも、日本を否定するリベラル・イメージの強い政党は嫌われ、保守的な日本人のために立ち上がるイメージの強い政党の議員数が急増する結果となっている。地方選で維新や参政党が議席を大きく増やす理由もそこにある。地方の自民党の中にそうした日本人の保守化の動きを読み違え、有権者から露骨に嫌われる候補を擁立したところも多かった。例えば、大阪府知事選や大阪市長選では、リベラル色の強い候補を擁立、大阪自民党から保守のイメージが消滅して、それが府議や市議の選挙にもマイナスに影響したと分析している。4月の地方選挙は、リベラル化した自民が地方選で敗退、保守の自民の良さ、必要性を再認識した選挙ではなかったかと思う。

一方で、保守政党を自認しても、親中色、親露色、左派的なリベラル思想のイメージが強く、国益重視でないと受け取られることは、政党にとって致命的なダメージとなる時代がやってきたのである。維新も地方選で善戦したが、日本維新の会では、親中的な発言が目立ち、上海電力への利権供与が噂される創設者や親露色の強い副代表の存在が今後の国政選挙で大きなマイナス要因になると分析する専門家もいる。最近10年以上のユーチューブ、ツイッターなどのSNS、虎ノ門ニュースなどのネットメディア番組の隆盛が、日本人の意識変化に与えた影響は大きく、地上波テレビの異常なモリカケ報道やコロナ報道なども契機となり、リベラルなテレビ報道より保守的なネットメディア報道を正しいと信じ、情報源として重視する視聴者が増え、その結果、大手企業もWEB集客へシフトする中で、大手新聞系列のテレビ放送局の広告収入が減少する傾向が顕著となってきている。新聞もリベラル色が強いと売れない時代となり、近い将来に廃刊となる大手新聞社もでてくるであろう。極論すれば、保守系言論人の評価や何気ない意見が、政治家の当落の勝敗を決定づけるネットメディア中心の政治評論の時代になってきたといえる。

「経済の日本回帰」を先取りした地方経済の活性化に実績のある政党が評価される

二つ目の潮流の変化は「経済の日本回帰」である。福澤諭吉の脱亜論から明治時代は脱亜入欧、富国強兵が政治的なスローガンとなり、戦前はアジアでなく欧米のような先進国を目指してきた。戦後、欧米並みの先進国となり、中国や韓国など近隣のアジア諸国との経済交流を通じて、互いの共存共栄の道を模索してきたが、20年以上前から中国や韓国の内政干渉的な露骨な反日政治、中国共産党の軍拡や尖閣諸島での嫌がらせのような威嚇行為、武漢発のコロナ・パンデミックで、大方の日本人が反中、反韓の意識へすっかり変わってしまった。最近は、中国で現地日系企業の日本人幹部の不当拘束や反スパイ法の成立の動きをみて、多くの日系企業の中国撤退が本格化すると言われている。一般の日本人は、表立って反発的な言動や行動、主張をせず、近隣の迷惑な国々を静かに無言で避け続け、一方で欧米のような政治スタイルを目指すことも無く、日本の国益を守り、「日本人の日本人による日本人のための政治経済」を主張する政治家、政党や経済人を熱烈に歓迎、支持するようになってきたのである。

今後、中国からの本格撤退が進み、民主的な欧米や豪印との経済連携による日本製にこだわるメード・イン・ジャパンや日本の高機能な部材を中核にしたメード・ウイズ(バイ)・ジャパン等のサプライチェーン網が急速に発達するであろう。地方政治でも、食やエネルギーの安全供給につながる政策を主張する政党の評価が高まる傾向となっている。また、昔から地方経済の活性化のため企業誘致などで実績のある政党を評価する有権者も多い。民主王国の大分の衆議院議員の補欠選挙で立憲民主党が自民党に惨敗した。選挙直前の3月に異常発言を繰り返した同党議員の自滅的なネガキャンも多少は影響したと思うが、地方経済の活性化に実績のある自民党へ期待する有権者の評価も大きかったのではないかとみている。日本の有権者は馬鹿ではない。意外と政治実績を正しく評価し投票する。安倍政権の自民党の経済政策のお陰で、九州エリアの半導体やIT関連の企業誘致、投資が続き、それが高く評価を受けたからだと分析している。万博誘致などで大阪の経済活性化に実績を示した維新系の候補者が、和歌山の補欠選挙で勝利した理由も地方経済の活性化への期待にあったとみている。パンダで評価される時代は終わり、万博誘致で実績のある政党により地方経済の活性化を目指す「(生活の糧となる)パンだ」という方向へ住民意識も変化しているのではないだろうか。維新が躍進した最大の理由は、大阪への万博誘致の成功にあったと分析している。逆に今後、埋め立て地の地盤沈下やギャンブル依存症など深刻な問題が多いIR投資で、有権者の反感を買うと一気に大阪の維新ブームは終焉するとみている。

「経済の日本回帰」に障壁となる中国からの日系企業撤退が大きな政治課題となる

「経済の日本回帰」を考える上で大きな問題は、電機や自動車などの部材を含む大手メーカーで中国に深く根を下ろし事業を展開している日系企業の撤退をどのように円滑に国内生産や中国以外の民主的な国へシフトさせることができるかという政治課題である。すでに大手の日系企業は、ネットメディアの情報だけでなく、中国事業の先行きが不透明で、産業や市場が崩壊し壊れていく深刻な様子を体験している。コロナの感染流行の前までは、どんなに中国経済の崩壊が叫ばれても、中国ビジネスは日本の商取引と変わらず、むしろ、中国の経営者の方が大胆果敢に投資決断する姿をみて、日本企業の経営が遅れて駄目と感じるビジネスマンすら存在した。ところが、コロナ感染流行以降、その見方や考え方は一変した。つまり、自民党の岸田政権がどのように撤退支援できるかが大きな政治課題になっているのである。

特に習近平主席の三期目からは、中国の国内市場が急速に悪化、縮小しており、中国国内の大手企業と生き残りをかけた価格競争も激烈となり、採算がとれず、事業継続が難しいと感じている日系企業が急増しているのである。ただ、大手の日系企業には、中国共産党の高飛車で高圧的な役人が経営へ深く関与していると噂されており、撤退を阻止するためにあの手この手で恐喝めいた妨害工作を仕掛けられ、日系企業そのものが人質化しているらしい。この経営責任は、日本の親会社で中国事業の継続を決断した経営者が100%負わざるを得ないが、なにしろ有名な日系企業は人質としての価値も高く、責任逃れの優柔不断で頓珍漢な判断も続いている。経営者の中には、うまく退任して後任へこの難題を処理させる会社もでているが、最悪、人命に影響がでる流血事件も覚悟しながらの撤退は生易しいものではない。

皮肉にも事業撤退が簡単にできる絶好の機会は、中国と台湾との武力衝突が起こってからではないかという見方もでている。その時は空港から帰国しようにも、日本人とわかれば、不当に拘束、拉致される可能性が高いので、工場や事務所、居住地の近くの欧米や日本の大使館、領事館へ逃げ込むのが得策ではないかとまでささやかれているらしい。日本からの渡航者や短期出張者も例外ではない。中国の経済発展に貢献してきた日本人を不当に拘束する限り、外務省公表の海外安全情報の危険情報を中国全土は少なくともレベル1の「十分に注意してください」にして、特定地域をレベル2の「不要不急の渡航は止めてください」にすべきである。ところが、ウイグルやチベット、香港だけをレベル1、その他の中国各地を安全とすることは明らかに間違いである。ちなみにインドやインドネシア、タイをレベル1のままにしており、差別的で不可解な外務省の評価にネットメディアでは岸田政権の外務省は親中過ぎておかしいという意見もでている。

習近平政権が続くと台湾侵略を云々する前に中国経済の破壊が急速に進み、ある日突然、取引や資金の流れが止まり、元通貨が紙くず化、元の暴落、広範囲な都市や田舎での食えない庶民の暴動が起こると予測してきた。様々なネット情報から、あくまで憶測であるが、着々と想定通りの動きになっているような気がしている。中国内の治安をいくら日本の警察にあやかり、同じ警察の名称や110番で頑張っても、一旦、国内で暴動が起これば、最初の標的は共産党幹部であり、民衆による人民裁判とすさまじい幹部処刑が始まるのではないかとみている。米国はすでに中国共産党の幹部が入国できないように空港などの通関体制を強化しており、日本でも共産党幹部へのビザ発給の規制強化の必要性が叫ばれ始めている。暴動が怖いのは、中国の警察の無力化であり、一度、治安崩壊が起こると現地の日本人の安全をどのように確保できるのかという問題も発生する。独裁政権では、中国国内の暴動などすぐに鎮圧され、起こりようもないというリベラルな専門家の意見もあるが、あまりに無責任で楽観的過ぎるのではないかと批判されている。

「国益重視と国防強化」は憲法9条改正と護国神社の信奉復活につながる

三つ目の潮流の変化は「国益重視と国防強化」である。オーストラリアやG7のカナダも含む日米欧の先進7か国を中心としたロシアや中国の専制権威主義の国家に対抗する民主的な政治体制を守る民主主義の国同士の連帯、連携が強まっている。当然、日本や韓国、台湾、東南アジア、インドというアジアの民主主義の国家との連帯を強め、日米同盟や米英豪のAUKUS、米欧のNATOの軍事同盟や日米豪印の安全保障協力体制も強化されてきた。特に2022年2月に起こったロシアのウクライナ侵略戦争や10月に台湾への武力行使も排除しないと主張する習近平主席の3期目の独裁体制が決まって以来、これらの民主主義の国家間の連携や同盟の関係はさらに強化されるようになってきている。すでに中国を取り巻く民主主義の国々の軍事を含む連携や同盟が日本人の国防意識を大きく変え始めてきた。北大西洋条約機構、NATOも日米同盟の米国との軍事同盟の関係から、2024年中にサイバー防衛などの日本拠点を置く予定であるが、極東のロシアや中国の軍事の動きを調査する諜報目的もあるのであろう。

コロナ前までこうした日本の国益重視、防衛強化、さらに憲法9条改正の話を選挙で主張することはご法度であった。票につながらず、むしろ反発をまねくという見方が強かった。ところが武漢発のコロナ感染流行以降、有事の危機感が強まり、様々な意識調査でも、憲法9条改正が必要という意見が、必要がないとする意見より多くなる傾向が強まり、自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党などの保守系の政党は、仮に解散総選挙が実施され、各党の全国遊説がはじまった場合、憲法9条改正をどのように主張、アピールするかが課題になるとみている。憲法改正では自民党に対する評価はかなり低い。ヤルヤル詐欺とまで言われ、岸田政権の発足時にマニフェストに明記しながら、いまだに具体的な改正案や改憲手続きの提案すらできていない。むしろ、この問題では、維新が積極的で自民党よりかなりリードしている印象がある。リベラルな公明党との意見調整がうまくいかないなど何かと理由をつけ、放置してきた責任は重く、戦後80年近くもなるのに自民党のやる気の無さに辟易(へきえき)して、もう無理だろうと憲法改正をあきらめる保守系の識者もでてきた。LGBT法案で岸田政権によるリベラルなネガキャンの印象が強まっている自民党にとって、起死回生の保守復活のための政策主張がこの憲法改正なのである。

憲法改正と同時に軍法会議などの軍事裁判制度の導入や国防軍の防衛強化のために組織体制を再編成する必要もでてくる。特に既存の自衛隊病院を国防軍病院として、国家防衛の有事に想定される遠隔地の国防戦地との連携を強化する医療バックアップ体制の強化も必要不可欠になってくる。また、戦死された場合に国防軍の方々を手厚く葬る戦没者のための国立墓地の整備や靖国神社を中心とする全国の護国神社との連携についても、国防軍関係者の名誉と栄誉のために国家主導で手厚く弔う必要がでてくる。流石にこればっかりは国防軍人の士気に関わることであり、政教分離で政府が関与しないという言い訳は絶対に許されない。戦没者の御霊(みたま)を鎮め、日本の守り神となって奉る護国神社の役割は、国防軍にとって必要不可欠なものとなってこよう。すでに全国の護国神社の総本山である靖国神社だけでなく、各地の護国神社を参拝する人も増えているそうだ。当然ながら、日本を守るために亡くなられた方々なので、自衛隊時代に訓練などの事故で亡くなられた方々も戦没者として護国神社に神として手厚く奉るべきであろう。

リベラル色の強い自民党は選挙で苦戦し、保守の高市大臣や安倍派が救世主となる

日本で国政政党として認められている10の政党を縦軸に「資本主義/会社経営的な発想の強い政策」、「社会主義/共同組織的な発想の強い政策」、横軸に「リベラル志向(グローバル志向)」、「保守志向(国内志向)」という方向で、マトリックス分析により各政党を位置づけ(ポジショニング)して分析をおこない、図表にとりまとめてみた。研究所独自の分析のため、偏った部分や異論も多いと思うが、一つのトレンド分析の考え方として参考にしてもらえればと思う。
これらの分析から、意外なことが判明した。まず、保守色が強いと思われていた自民党や日本維新の会が、どちらかと言えばリベラル色の強い考え方の議員を多くかかえているのである。

例えば、親中議員や外国人の参政権に賛成の議員が多く、一方で会社経営的な発想でリストラを推進する行政改革や身を切る改革のコストダウンを志向する考え方も強い。驚いたことに大阪では維新の政治になってから、中国共産党直下の上海電力へ太陽光発電の利権が売り渡されており、一帯一路の発信源として警戒されてきた港湾情報にアクセスできる管理ソフトに情報漏洩の疑念の強い中国製が使われているのである。これで大阪港に出入りする全てのコンテナの入出荷情報を中国当局も知っている可能性が高くなっている。また、西成では中国資本によるチャイナタウン計画が進み、市内のビル投資も活発なようである。一方、大阪府や大阪市の職員数は毎年少しずつ減らされ、公立学校や病院、保健所も大胆なリストラが進められてきた。まさに会社経営のような発想で行政改革が進められたが、一方で南港の埋め立て地は毎年5~10cmの地盤沈下が続いており、その土地改良に800億円以上の予算が投入されるなどIR誘致への投資へリストラで浮いた予算を湯水のように注ぎ込んでいるのである。企業経営なら理解できないこともないが、地方自治体の重要な役割の一つとして、地域行政での雇用促進や行政サービスを充実させるべきという考え方があり、果たして維新の政治は大丈夫なのかという素朴な庶民の疑問が日に日に大きくなってきている。

最近、安倍首相の時代の自民党は本当に良かったという声が強まっている。岸田政権になって実感としてインフレの影響もあり、生活が以前より苦しくなったという意見も中小企業の経営者や従業員などから聞くことが多くなった。例えば、障がい者の法定雇用の義務を課せられている中堅、大手の企業は大変だなと感じることも多い。企業の法定雇用率は、今年は2.3%で据え置かれるが、来年に2.5%、2026年から2.7%まで急激に引き上げられる予定である。年々、障がい者雇用に適した人材を採用することが難しくなっており、企業から実質、形を変えた増税ではないかという本音の声も漏れ聞こえてくる。一事が万事で、様々なところで実質的な形を変えた増税、あるいは緊縮財政と感じられる施策も多くなってきているのである。

日本人の保守化という大きな社会変化は、向こう数十年は変わらないと予測している。図表でも解説しているが、保守化の流れには、大きく資本主義的な保守化と社会主義的な保守化に大別されると分析している。維新のように企業経営の発想によるドライな保守化も考えられないこともないが、それを突き詰めすぎると庶民の反発も強くなるので注意が必要である。一方、れいわ新選組のように共同組織的な保守化を追求する動きも評価される傾向となっているが、注意しないとネットメディアから特定利権をもった左翼系団体への「公金チューチュー」システムだと批判される可能性もでてくる。要は中庸(ちゅうよう)が肝心であり、資本主義的な政策でもなく、社会主義的な政策とも言えない、中立的な社会資本主義的な保守的な政策が求められる時代が到来しているのではないかと分析している。

この中道的な社会資本主義的な保守とは何なのか、その輪郭を求めるとすれば、日本列島改造論で日本中が公共投資で沸いた高度経済成長時代の自民党の政策の一部が参考になるのではないだろうか。当時は建設国債をバンバン発行して、国主導で積極財政は当たり前で公共投資へ莫大な資金を投入したのである。中国共産党は、その手法をそのまま模倣し、中国国内でのインフラ投資をおこない、短期間で都市部は近代的なビル群へ変身したと言われている。現在の有望な公共投資の分野は何なのか、それは防衛産業分野であり、次世代のエネルギー分野であり、空飛ぶ自動車などの新交通機関など、あげればきりがないほど多くの製造や土木建設、新サービス分野などが公共投資分野として有望なのである。当時は金融機関には資金はあまりなかったが、今は黒田総裁の異次元の金融緩和のお陰で5百兆円近い余剰資金が早く使ってくれとウンウンと日本の金融機関のデジタル金庫の中で唸(うな)っているのである。こんなに恵まれた国は世界中どこにも存在しない。やはり日本は神の国なのかもしれない。

自民党が日本国民のための中道保守として再び脚光を浴びるためには、自民党内の貴重な人材資源をフル活用するしか方法はなく、それは安倍政権以来の保守の流れを知っている保守派の幹部議員やネットメディアから次期首相として嘱望されている高市大臣しか適任者はおらず、これからの選挙は、彼ら保守派議員の活躍があって初めて自民党が再び国民から政権与党として信頼され、頼られる存在になるのではないだろうか。自民党の保守派の議員を冷遇することは、自殺行為であり、過去リベラルな発言が目立ち、国民から失望をかってきた議員も、大改心して21世紀に信頼される新しい保守としての政党を構築していくことが大事である。そのためには、ポスト岸田首相として高市大臣は、自民党にとって欠かすことが出来ない貴重な存在となるような気がしている。

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