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中国の台湾有事とバブル崩壊により経済破綻は起こるか

2023年12月5日

社会資本研究所

南 洋史郎

中国による台湾有事はどのような段階を経て中国の経済破綻を顕在化させるか

中国共産党の人民解放軍による台湾有事が懸念されている。 2024年1月の台湾総統の選挙で民進党が勝利すれば、 台湾の防空識別圏の中に中国の戦闘機が頻繁に飛来する可能性もでてくるであろう。  あるいは、尖閣諸島沖の武力的な挑発行為も危惧されている。  いずれにせよ、不幸にも血の気の多い軍人が武力衝突を起こす事態も危惧され、 中台間や日中間、米中間での争いにまで発展すれば、それを心配する株式市場や債券市場が大きく変動することになる。

当然ながら、人民元のオフショア債券市場やパンダ債のオンショア債券市場、上海の株式市場、 あるいは人民元の為替市場が機能不全となり、取引停止にまで事態が悪化するであろう。  もっとも影響を受けるのは、為替市場であり、ドルペッグで固定相場を維持してきた元とドルとの為替取引が崩れ、 元安へ大きく振れるどころか、暴落する事態も想定される。外交的な解決策が見えない場合、 返済が滞って債務不履行となるリスクも高まるであろう。

さらにエスカレートして人民解放軍が万一にも台湾の海上封鎖や台湾侵攻を始めた場合は、 米国債の取引停止やSWIFTからの完全排除が実施されることになる。  ロシアのウクライナ侵攻時のように中国共産党、党幹部、党と関係の深い中国企業が、 日米欧の国々に保有する対外資産が凍結され、戦争被害が深刻になると全て没収される可能性が極めて高い。 当然、中国は対外債務への返済ができず、債務不履行のデフォルトとなるが、 同時に貿易取引は資金決済ができなくなるので完全に止まる。

中国が米国やオーストラリアなどから輸入してきた穀物の入荷が止まり、 日本や欧米の国々へ輸出してきた日用品や加工品などの商品の出荷も止まる。  この事態を想定し、日米欧の大方の企業は、中国からの商品入荷の停止に備えて代替えの調達ルートを開発していると思うが、 狼狽(うろた)える企業も一部にでてくるかも知れない。  残酷かも知れないが、世間は同情するどころか、その会社の経営者がいかに無能で無防備なのかを知り、 上場会社なら経営への信認が失われて株価は大きく下がるであろう。

最悪の事態への備えがない中小、中堅企業の中には倒産するところもでてくる。  武漢を震源とするコロナパンデミックの発症や戦狼外交、香港問題、尖閣での挑発行為、 ゼロコロナ対策など過去3年間の中国による非常識な政治行動に何も対策を講じてこなかった経営者の方が 悪いと非難されることになるであろう。  おそらく、取引先や顧客、従業員などステークホルダーの人たちからは冷たい視線を浴び、 同情する声は少なく、甘いと経営者が笑われるだけの話なのかも知れない。  

不動産バブル崩壊後に関連産業の不況が深刻化、インフラ産業もバブル崩壊となる

                         

入居者のいない閑散とした高層のオフィスビル、ゴーストタウンの映画のセットのようなマンション群など不動産バブルが崩壊した 中国の悲惨な街並みをみると復活のためにこれから数十年以上、いや一部については、破壊し建設し直さないと復活は無理と感じるかも知れない。  当然ながら、高層ビルの建設に使われる建機や鉄鋼、コンクリートなどの建設機械や建築資材の関連産業も不況がひどくなっており、 日本のバブル崩壊とは比較できないほど不況の度合いは深刻である。 おそらく建設関係の大多数の外資系企業は撤退し、国内の中国企業の多くも、 国営化されない場合は廃業に追い込まれるとみている。

すでに中国国内の不動産関係の失業者数は、末端労働者も含むと数千万人という推計もあるらしいが、 誰も正確な数字を把握できず噂話(うわさばなし)の域を出ない。  10年ぐらい前から塩抜きがない海砂をコンクリートに混ぜたビルの違法建築の問題が指摘されてきたが、 事実なら、早ければ、建設後20年から30年が経過した高層ビルで、構造鉄骨の腐食による大規模な倒壊が危惧されている。  すでに地方都市での中規模なビルの倒壊事故は頻繁に発生している。  また、インフラ関連工事では、安全基準を無視した拙速な設計、施工は厳禁であるが、 中国国内の高速道路や鉄道、橋梁などのインフラ施設の倒壊や陥没などの事故は度々起こっており、 安全検査や保守メンテ体制の強化が必要となっている。

第一生命経済研究所によれば、中国の不動産産業は150兆円(1兆ドル)、 建設業などの不動産関連産業は700兆円(4.7兆ドル)という数字となっている。  都市部を中心とする上下水道や電力、道路、鉄道などの中国のインフラセクターの市場規模は150兆円(1兆ドル)と 推計されており、不動産とインフラ、その関連産業のトータルな市場規模は1000兆円(6.7兆ドル)になるが、 正確な数字の把握は難しく、ラフな目安程度で理解すべきであろう。  全て自国内の経済活動で資金循環できれば、外資の影響を考える必要はないが、おそらく少なくとも20%、 200兆円程度は、ドルや円、ユーロの外資の金融資金を調達したと推計している。  経済破綻となると今後この資金が焦げ付く可能性が高い。

   

電気自動車からエンジン車へ需要が戻り中国のEVバブル崩壊の可能性が高まる

                              

電気自動車産業におけるバブル崩壊の懸念も強まっている。  もともと電気自動車、EV車は最低でも数十分から1時間程度の充電が必要であり中近距離に適した移動手段であった。  ところが、欧米のCO2対策の環境トレンドに乗り、 EV車で一獲千金を夢見る中国国内のベンチャーや異業種の企業参入が相次いだ。  結局、過当競争に勝てず、撤退した企業が多く、 BYDなど生き残った大手も遠距離走行に強みを発揮するハイブリッドなどのエンジン車に勝てない状況となっている。 需要にあったEV車の生産体制が組めず、売れ残ったEVの新車が、寺院や河川沿いなど空き地に大量に放置され、 EVの墓場と呼ばれる過剰在庫の問題を起こしている。  中国経済の根本的な問題点は、細かく市場の需要予測をしながら、経営戦略を練るマネジメントの基本を無視し、 国家主導の共産的な産業政策を推進するところにある。 そのため過当競争から過剰生産、過剰在庫、事業撤退、 失業増加のマイナス連鎖が発生しやすい。 それを断ち切れないところがあり、常に供給が需要を大きく上回って、 乖離し続ける産業バブルが発生しやすい経済構造となっている。

国家主導で次々と産業を創造し、旺盛な資金需要を満足させるために莫大な外資の資金を調達しても、 それらが構造的に焦げ付き、不良債権となるリスクを常に内在し続けるのである。  産業の拡大とデフォルトリスクの拡大が連動して、産業破綻を繰り返し、 国家レベルの経済破綻にまで発展する確率が非常に高い経済構造となっている。  これを自分たちは共産主義だから最終的には国が面倒を見るので安心して欲しいという詭弁を使ってきたが、 ようやくその化けの皮がはがれてきたのであろう。

日本や欧米で再びハイブリッドなどのガソリン車の需要が大きくなり、 EV車需要が減退する中、テスラの上海メガファクトリーのEV生産工場が、 2024年に計画通り稼働してカリフォルニア向け輸出が伸びるかを疑問視する声が高まっている。  中国の自動車の生産台数は年間2700万台、市場規模は100兆円(0.68兆ドル)、 電気自動車の市場規模は40兆円(0.26兆ドル)、電気自動車メーカーは100社程度あるといわれている。  ちなみに世界の自動車生産台数は中国がトップで、米国が1000万台、日本は800万台、インド550万台、 韓国380万台、ドイツ370万台と続く。 2022年の電気自動車の世界全体の販売台数は1020万台、 トップの中国は590万台で普及率は2割、欧州は260万台で普及率2~3割の国々が多く、 米国は100万台で普及率10%、日本だけは普及率が極端に低く1%、10万台となっている。

今の火力発電を中心とする電力を電源とする電気自動車の蓄電技術では、生産段階や電源供給時、 廃車までのライフサイクルで発生する二酸化炭素量を考えるとハイブリッド車と電気自動車とを比較した場合、 使用条件にもよるが、CO2の排出量に大きな違いはないということがわかっている。  特に電気自動車のリチウム電池は数年毎に交換する必要があり、その蓄電池の製造時と廃棄時に二酸化炭素が大量発生するため、 わざわざ不便な電気自動車に切り替えなくても、全体最適でCO2対策を考えれば、 ハイブリッドも電気自動車も同じようなものという結論になる。  この程度の知識は、日本の消費者なら何となく理解しており、 インフラが整っている便利なハイブリッド車や低燃費のエンジン車から不便な電気自動車へ買い替えないのである。  なぜ日本のEV普及率が極端に低いのかを分析した欧米の専門家が日本人の消費者の賢い合理的判断に感心し、 欧米のEV熱もようやく冷め始め、来年以降は、日本のハイブリッド車や低燃費のエンジン車が再び注目を浴びると予想している。

なお、二酸化炭素の低減だけで考えた場合、現段階の技術で水素エンジン車は電気自動車に比べて数段優れている。  車体に薄膜のペロブスカイト太陽電池を貼り、その上に透光性の保護膜を塗布した高機能な固体電池の電気自動車か、 スーパーハイブリッドというCO2発生量の少ない混合燃料エンジンを積載した自動車が主流になると予想している。  いずれの技術も日本だけが開発中であり、技術提携により日米欧でこうした最新技術を活用した自動車の生産販売が主流となるであろう。  外資の資金調達や技術導入が難しくなる中国では、 中進国型の少し古い技術だが価格は格安の自動車の生産や販売が主流になると予想している。

          

中国経済における台湾有事とトリプルバブルの崩壊による経済破綻の可能性

                                

中国経済における台湾有事とトリプルバブル崩壊による経済破綻の発生確率を図表1で整理、分析してみた。  台湾有事については、武力衝突などの「懸念発生」の事態になれば、債券市場や株式市場は取引停止となる可能性が高まる。  通貨元が暴落してドル債務の返済に苦労することになるが、デフォルトの債務不履行まではエスカレートしないであろう。  発生確率は4~5割とみている。 さらに「海上封鎖」や「部分侵攻」が起これば、米国債の取引停止やSWIFTからの完全排除につながるが、 デフォルトの債務不履行から経済破綻となる確率は3~4割になるので過度に心配する必要はない。

さすがに習近平自身は、ロシアのウクライナ侵攻に大失敗し、 戦争犯罪人として国際指名手配を受けているプーチンのようにはなりたくないのであろう。  トランプが再び大統領になれば、台湾で完全独立した国家を選択する国民投票を推奨、 実施される可能性が高まると予想している。 その時はG7中心に日米と欧州諸国、 ドル通貨圏の国々が台湾独立を一斉に承認、国連へ申請することになるであろう。  これで国民党による中華民国と共産党による中華人民共和国という戦後の両国関係が消滅、 台湾という全く新しい独立国が誕生するので、習近平としても面子が立つ話で内心は安堵するような気がしている。

次に不動産産業のバブル崩壊の影響を受け、「不動産関連産業」や「インフラ産業」、 「電気自動車産業」の3つの産業分野が連鎖的に「バブル崩壊」となり、これを「トリプルバブル崩壊」と呼んでいるが、 この崩壊による経済破綻の発生確率は3~4割と予想している。 「不動産産業150兆円のバブル崩壊」後に、 連鎖的に建設業や建築資材などの「不動産関連産業700兆円のバブル崩壊」が起こり、 中国の地方政府の傘下の1320兆円(IMF調査66兆元)の債務をもつ融資平台(ゆうしへいだい)の投資のうち、 少なくとも200兆円程度が不良債権化しているとみている。  融資平台はインフラ投資も促進しているため地方のインフラ整備が大きく停滞する「インフラ産業150兆円のバブル崩壊」も発生する。  その後に「電気自動車産業40兆円のバブル崩壊」も起こるのではないかとみている。

中国における外資撤退と米中衝突による経済破綻への影響に関する分析

一般に外国から借金をする場合、ドルなど信頼できる基軸通貨で借り入れることになる。  その借り入れた基軸通貨ドルの自国通貨に対する為替レートが高くなって、自国通貨の価値が下がった場合にドル高となり、 借金返済のためにより多くの自国通貨を発行、準備する必要がでてくる。 この発行量が増えすぎるとインフレとなり、 さらにドル高となって借金返済に苦しむ結果となる。 その結果、返済できず、債務不履行になることをデフォルトと呼び、 国や地方政府が資金繰りに行き詰まるので「財政破綻」とも形容している。 財政破綻が起こってから、 さらにその国の経済状況が悪化し、失業者が急増、国の経済運営そのものがうまく機能しなくなる状況を「経済破綻」という。

図表2の中国における外資撤退と米中衝突による財政破綻への影響に記載している通り、中国の経済破綻は、 2つの方向から分析してその可能性を考える必要がある。 一つ目は、外資撤退による債務不履行の財政破綻、 デフォルトへの懸念である。 外資撤退には、外資系の事業会社の撤退と金融会社の撤退の2つがあり、 いずれもデフォルトにつながる深刻な問題である。  外資系の事業会社の場合、中国から海外に向けた総輸出の35%を占めると言われている。  もし全ての外資系の事業会社が中国から撤退すれば、明らかに貿易赤字となり、 その額が大きすぎるとデフォルトの可能性が高まる。

一方、外資系の金融会社の場合、中国への資金の貸し付け、投資をあきらめ、外貨資金を引き揚げると決めた場合、 中国への信頼が無くなったということで、中国は外貨資金の調達に苦しむことになる。  その場合は、固定の為替相場で人民元をドルのレートと連動させるドルペッグといわれる為替操作を続けることが困難となり、 変動相場に移行することになる。 すると急速な人民元安となって、 350兆円もの巨額の対外債務のドルでの返済がますます難しくなる事態も懸念される。  今の中国の経済状況では、つねにドルと連動できる経済力のある人民元を維持することが何より必要なのである。

二つ目は、ワーストシナリオの米中軍事衝突による中国の外貨不足によるデフォルトへの懸念である。  外貨不足は、米中衝突時の外貨準備と対外負債残、 対外純資産にどのような影響を及ぼすかを分析して過不足を判断する必要がある。  中国の外貨準備高は495兆円(3.3兆ドル)であり、 中央銀行である中国人民銀行の保有準備資金の50%が外貨のドルとなっている。  万一にも米中衝突が起こった時に米国がそのドル資金の流通を認めず、 国際金融取引を担(にな)う日米欧の金融機関に取り扱い拒否による凍結を命じれば、 ただちに中央銀行の海外との決済機能が止まる。 つまりいくら潤沢な外貨準備があっても、有事の軍事衝突が起こった場合、 金融機関との国際取引が停止され、債務返済だけ求められるのでデフォルトとなる確率は高い。

対外負債の残高は347兆円(2.3兆ドル)もあり、2021年9月には285兆円(1.9兆ドル)も残高が急増、 急激に負債が積み上がっている。 不動産バブル崩壊により、約3百兆ドルという巨額資金を調達している。  それだけ不良債権の問題が深刻であることを物語っている。 対外債務を滞りなく返済し続けるためには、 さらに人民元のドル交換のための固定レートの維持が必須となるが、 このあたりも中国人民銀行や中国の財政当局者は抜け目なくうまく対応している。  当時は米国のバイデン政権によるアフガン撤退があった時期で、表向きは中国へ厳しい態度を貫いているが、 裏では中国に対して巨額のドル資金の調達を黙認するという甘い対応をしており、民主党のバイデン大統領には二面性があり、 表裏の両面に注目すべき政権となっている。

一方、中国共産党の対外純資産は375兆円(2.5兆ドル)もあり、 そのうち米国債の保有高は120兆円(0.8兆ドル)となっているが、 米中衝突で直ちに全ての資産が凍結され、軍事侵攻による被害が大きくなれば、 没収される可能性もでてくるであろう。 当然ながら、中国政府も不動産バブル崩壊の影響もあり、 馬鹿げた軍事衝突など起こす気力も国力もなく、ただ、国際的な面子だけは維持する外交的な演出を続ける気なのであろう。

一帯一路で、財政基盤が弱い発展途上国へ返済できないほどの債務を負わせたことは深刻な国際問題となっている。  すでに中国政府は36兆円(0.24兆ドル)の債権を保有しているが、15兆円以上は不良債権となっており、 中国企業も11兆円(0.07兆ドル)の投資をしているが、大方は回収できないとみられている。  米中衝突後は、中国が保有する全ての債権は一切無効となるであろう。

台湾有事と不動産バブルの崩壊におけるワーストシナリオとは何か

民主党バイデン大統領と中国の習近平主席との米中の間は、外交交渉の場では互いの国益を守るために厳しい言葉の応酬が続いているが、 一昨年9月に1.9兆ドルのドル資金を融通するなど中国が国の財政運営に困らないようにする配慮もおこなっている。  2024年は大統領選挙の年で、今の状況では、バイデン大統領が再選を目指して、再び民主党はバイデン、 共和党はトランプの戦いとなる公算が強くなっている。

実は日本の国益だけを考えると米国のバイデンと中国の習近平は、何かとありがたい存在であり、 例えば、米国は中央銀行FRBが理論値を超える高金利政策を続けているお陰で、 海外の日本企業が国内へ戻り生産を強化するために理想的な1ドル=150円(12月5日時点で147円)の円安が続き、 経済は活況を呈している。 中国への半導体規制や技術ノウハウ漏洩への対策強化、 さらに台湾への軍事援助を強めるなど共和党が多数を占める下院議員の活躍もあり、 日米による軍事、外交などの政治力で中国包囲網を強めることができている。

一方、中国は習近平独裁政権のもとで、ゼロコロナ政策や台湾併合への圧力、不動産バブル崩壊と失業者の急増、 反スパイ法の強化や海外警察への非難など数多くの失策を重ね、中国経済そのものが出口の見えないほど深刻な不況となっている。  当然、外資の事業会社や金融会社は、先の見えない中国の経済状況に嫌気を指して、次々と中国から脱出する準備を始めており、 その判断は正しいと言える。 中国を撤退し、国内生産をおこなうため日本へ戻る会社も多く、国内回帰の流れは当面続きそうである。

ただ、こうした米中の緩い状況に甘んじて気を緩め、ワーストシナリオを想定せずに万一のこと、 すなわち、突然、台湾や南西諸島で軍事衝突が起これば、 中国が勝利できる可能性は低いと言われているもののどのような恐ろしい事態が起こるかも知れず油断は禁物である。  中国からの核搭載の可能性のあるミサイルの飽和攻撃に対抗できる十分なミサイルの防衛準備はできているのか、 自衛隊による尖閣などの防衛力に油断はないか、最悪の事態、例えば、中国の核兵器の恫喝や日本の米軍基地への軍事攻撃に 今の憲法9条の条文変更は必要ないのかなどあらゆる事態を想定し事前に対処できる体制を構築する必要がある。

特にロシアのウクライナ侵攻でも議論されたように核兵器で武装した国へは武力を使って攻め入ることは考えにくい。  日本における米軍の核保有による防衛をどう考えるべきか、非核三原則だけの議論で逃げるのではなく、 衆議院の先生方には日本の核兵器の防衛がどうあるべきかについて、活発に議論をしていただきたいと願っている。  米国は過去、中東などでどのような軍事防衛を展開してきたのか、さらにさかのぼって朝鮮戦争の頃の米国は、 マッカーサー将軍が60発以上の核兵器を中国や北朝鮮へ打ち込む提案をトルーマン大統領へしているが、核兵器による防衛について、 米軍の基本的なスタンスや考え方はどのようなものなのか、徹底的に議論をして欲しいと願っている。 あくまで個人的な意見ではあるが、 米国はいざとなれば、核攻撃を躊躇する国ではなく、核には必ず核をもって対抗するという明確な方針があるとみている。  このように従来のタブーを恐れずに国会で議論することが、台湾有事に対するある面での牽制防衛につながるような気がしている。

〔注1〕文中の円貨の数字は、全て1ドル=150円で換算、概数で表示しています。

〔注2〕本記事の著作権は非営利運営の㈳社会資本研究所に帰属します。本記事の引用、転載、転記などは自由にご利用いただいて大丈夫です。 複写は、本データのままであれば、大丈夫ですが、別データなどへ加工しての複写はご遠慮願います。

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