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地検特捜の自民党派閥への偏った捜査に国民の怒りが爆発

2023年12月26日

社会資本研究所

南 洋史郎

東京地検特捜部が自民党二階派へ調査した時点でなぜ法務大臣は辞職しないのか

検察庁は法務省の行政機関の一つで、内閣府の国家公安委員会の特別機関である警察庁とは別組織となっている。  検察庁は検察庁法に基づいて組織運営されており、その中で上位の組織が最高裁判所と連携する最高検察庁となる。  検事総長は検察庁のトップであり、法務大臣が指揮命令する。  最高検察庁の下部組織として、高等裁判所と連携する高等検察庁、地方裁判所と連携する地方検察庁、簡易裁判所と連携する区検察庁が存在する。  刑事違反など事件性が疑われた場合、最初に動く検察が地方検察庁や区検察庁となる。

ところが、社会的な影響力の大きい政治家や大企業など権力のある人たち、組織の刑事事件だけは、 東京と名古屋、大阪にだけ地方検察庁の中に特別捜査部、通称、特捜部という特別な組織が存在する。  その中でも東京地検特捜部、地検特捜は、国会議員の政治家がからむ社会的に注目される事件を取り扱っており、 東京都の警察組織の警視庁捜査二課と協力しながら、裁判で勝てる証拠を集め、逮捕、拘束にまでもっていくことが多い。  庶民からすれば、地検特捜は、雲の上の政治家の中で悪代官のような人を捕まえる遠山の金さんのような正義の味方と信じてきたが、果たしてそうだろうか。

もし地検特捜が国民から嫌われている政治家や財務官僚の権力者、悪代官の顔色だけをうかがい、 忖度(そんたく)して、政敵の議員だけを捕まえたと知ったら国民は激怒するであろう。  その時、遠山の金さんは、桜吹雪ではなく、背筋も凍る猛吹雪で睨(にら)みつける怖い鬼の彫りで威嚇(いかく)、 依怙贔屓(えこひいき)をする恐ろしい魔物に化けるのである。  つまり、権力者の政治家を生かすも殺すも、泣く子も黙る地検特捜の匙加減(さじかげん)一つの判断であり、 もしも特捜が正義ではなく、悪の味方に変身すれば、恐怖政治が始まるのである。

そのような事態を防ぐために 一般の行政組織と隔絶(かくぜつ)した組織に地検特捜は位置しており、 その采配に何らかの影響を与える権限をもつのが法務大臣なのである。  ところが、これはネットで騒がれている妄想的な陰謀論になるが、裏金の脱税情報は、財務官僚しかもっておらず、万一にも、 捜査の過程で財務官僚と地検特捜とが結託し、国家権力を自由自在に操(あやつ)り、首相すら自分たちの思い通りに動かす、 日本のディープ・ステイトになろうと思えば、いとも簡単に彼らが政治家の生殺与奪(せいさつよだつ)の権利を自由に掌握できるといわれている。  もしそうなら実に恐ろしい話である。

法務大臣はこうした財務官僚や地検特捜の横暴を防ぎ、正義を追求する組織のトップとして、日本の法秩序を守っており、 週刊誌などマスコミに何らかの否定的な噂がでれば、その真偽はともかく、即座に辞表を提出して職責から降りる判断をしないといけない。  2019年に河井法務大臣は公職選挙法に違反した疑いを週刊誌の記事で暴露されたが、直ぐに辞表を提出、 その後、地検特捜の取り調べで有罪となり服役された。  国民の目は節穴ではない、過去、地方議員へお金を配る悪しき慣習は、自民党の重鎮であれば、 身に覚えのある人がほとんどで金権政治の仕組みが組織末端にまで及んでいたのである。  これを機にさらに厳しい特捜のメスが入るかと思いきや、この問題だけで事件は終わった。

ところが、今回、政治資金規正法の違反容疑で二階派への調査が始まってから、二階派に所属していた小泉龍司法務大臣は辞任するどころか、 長年お世話になった二階派を離脱、大臣を続けると堂々と宣言している。  小泉大臣と言えば、元大蔵官僚であり、財務省のキャリア官僚なら特捜調査はされずに特別な待遇を受けるのかという疑念さえでている。  一方、悲惨な扱いを受けている派閥は安倍派の清和会(せいわかい)出身の議員たちである。  特捜の調査が入る前に安倍派の松野官房長官や西村経産大臣、鈴木総務大臣、萩生田政調会長の派閥の幹部クラスは全員辞任している。  その扱い方が別格であり、憶測として地検特捜の捜査の対象は、清和会の事務総長などの幹部クラスに絞られてきたのではという噂も漏れ伝わっている。

なぜ特捜は宏池会の調査をしないのか、財務官僚や岸田首相にどんな忖度をしたのか

庶民の頼もしい味方であるべき地検特捜が、なぜ自民党の安倍派の清和会と二階派の志帥会(しすいかい)にだけ、 政治資金規正法の違反容疑の調査をおこなうのか、全く釈然としないのである。 国民目線からすれば、パーティ券で集めた資金の不記載、 裏金流用、脱税の疑いは、自民党の全ての派閥に共通する問題である。  当然ながら、特定の派閥だけを調査するのではなく、パーティ券で資金集めをおこなった全ての派閥やグループへも公平に調査すべきである。  むしろ、岸田派の宏池会(こうちかい)や麻生派の志公会(しこうかい)、茂木派の平成研究会でも、今まで活発にパーティ券により選挙資金が集められてきた。

特に岸田首相は最近になって派閥の会長からおりたが、それまでは首相に就任してからも、宏池会のトップとして、 過去に何度も大規模なパーティ券で資金集めをおこなったことは周知の事実である。  しかも政治資金規正法の第22条の5で外国人からの寄附金は禁止となっているが、 パーティ券は寄附金でも国籍が明記されていないという勝手な解釈、詭弁(きべん)が通用して、外国人、特に中国人によるパーティ券の購入がおこなわれてきた。  ただ、国民目線で素直に法律を解釈すれば、いかなる政治資金も第22条の5は有効であるという解釈が成り立つ。  従って、宏池会における中国人などの外国人からのパーティ券購入による寄附そのものが違反の対象になると考えられるのである。

ところが、このあたりの地検特捜の捜査について何も情報が提供されていない。 万一にも特捜が捜査員百名体制で調査をしておきながら、 安倍派しか摘発をしなかった場合、岸田首相や宏池会、さらにその背後の財務官僚に配慮して、著しく偏った捜査をしたのではないかと言わざるを得ないのである。  万一にもそんなことが起これば、公正さを追求すべき地検特捜の捜査が、意図的に安倍派だけを狙った職権乱用的な捜査という解釈もできるのである。  公務員職権乱用罪とも言われる刑法第193条は、公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、 刑事罰になると規定している。

まさか、今回の地検特捜の偏った捜査が、その刑法第193条に該当するとは到底思えないが、特定の派閥だけを狙った捜査の場合、 他の派閥との公平性を著しく欠き、恣意的(しいてき)に狙い撃ちをしているような捜査となるので、広義の意味で職権乱用の解釈となるのであろう。  さらにパーティ券で集めた資金の流用、脱税を立証するためには、 意図的に裏金をつくるために不記載にしたことを証言する録音テープや自筆のメモ書きなど個人の責任を特定できる何らかの物的証拠が欠かせない。  ところが、その証拠を見つけることがかなり難しいといわれている。  もし特捜が誘導尋問のようなやりとりをして、政治家が見覚えのないことまで強制的に立件しようとすれば、これは逆に違法捜査といわれかねない。

以上のような問題を全てクリアして、新年1月の中旬から始まる通常国会までに安倍派の政治家だけを特捜が摘発することは難しいのではないかと推察している。  むしろ、最初から宏池会も含めて全ての派閥へ平等に内偵調査をしておけば、違反摘発も円滑にいったと思うが、 そのためには膨大な時間とかなり多くの数百名以上の捜査員を投入する必要がでてこよう。  公職選挙法と異なり、政治資金規正法は政治家に対する立件が難しいといわれている。  過去の政治資金規正法の違反告発の事件を振り返ってみても、2009年の鳩山総理による株の売却益の記載漏れの問題は無罪となり、 2012年の陸山会事件では秘書は有罪になったが、政治家である小沢一郎議員本人は無罪であった。

9月総裁選まで岸田首相は生き残りトランプ再選にあわせた新首相の誕生が期待される

岸田首相は、ネット中心に評論家から、自分の考えが無い、何をすべきかわかってないなど痛烈な批判や非難をさんざん浴びてきた。  ところが、驚いたことにどんなに貶(けな)されても類(たぐい)まれな強靭(きょうじん)な精神力をもって耐え忍んできたのである。  まさに蛙(かえる)の面(つら)に水、いや今や小便という厄介なものに変化したと思うが、 少なくとも逆風の嵐の中でひたすら耐える主義主張のない珍しい首相であることには間違いない。  日本では、このような空気のような存在感のないトップが意外と延命し長生きするものである。

恐らく、今回の特捜の騒動劇も、大山鳴動(たいざんめいどう)して鼠(ねずみ)一匹の結果となり、通常国会も何となく乗り切って、 来年9月の総裁選まで首相を続けるような予感がしている。 もちろん、9月までの早い時期に解散や次の総裁候補へ切り替わる可能性も残っている。  ところが、2024年は多くの国で政治のトップが入れ替わる政治の年となっており、1月の台湾総統選に始まり、11月の米国の大統領選挙まで、 特に米国の新大統領に対応して、日本も新しい政治体制を組み直す必要がでてくるであろう。  おそらく、現状分析から推察するとトランプが再び大統領に返り咲く可能性が高いと予想している。

そうなると日本側も今までのような何もしない政治体制では駄目になるので、新しい自民党の総裁、首相が必要になってくる。  今回の特捜の派閥捜査を契機として、有力候補は、派閥政治と無関係な無派閥の中から選ばれる可能性が高い。  その最有力候補として、高市氏が新首相となる可能性は十分にあるとみている。  新総裁が決まれば、10月に衆議院議員の総選挙となり、自民党は岩盤支持層を呼び戻すことに成功して、 今までのような自民党ではなく、新しい党体制の組織による自民党が誕生するのではないかと予想している。

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