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アベノショックで 深刻なデフレ不況に突入

10%消費税のアベノショックで日本経済は破局的なデフレに追い込まれる(1)

消費税がデフレを加速させ、日本経済に破局的な縮小を促すことは、すでに橋本政権の5%増税で立証されています。ところが、2013年10月1日に2014年4月から消費税を導入、2019年10月1日から消費税10%が導入されました。これは安倍首相による国民の期待を裏切るような増税対策なのです。

従来の経済理論(新自由主義的なものを含め)では、消費税を上げた年まで物価が一時的に上昇して1~2%のインフレとなり、その後徐々にデフレへ進行、その間にそれを防ぐためのカンフル剤である巨額の財政出動を行えば、デフレを防ぎながら、経済成長できるという考えになります。安倍首相もこの常識的な考えから消費税を5%アップしても、その経済マイナス効果を打ち消す財政支出や減税措置をとれば問題ないとする意見を最終的に採択したのでしょう。

緩いサイドブレーキ(消費税増税)がかかった状態で、アクセル(財政出動)を思いっきり押すという表現で形容されることがあります。高い馬力のエンジンの車(国内消費)でアクセルをふかせば、サイドブレーキが緩くかかっていても車は前に動き出し、そのうちサイドブレーキも効かなくなって影響は無くなくなるという意味です。

ところが、当研究所では、消費税が今より10%になると日本経済は短期間で破局的なデフレ不況に突入すると予測しています。つまり、急峻な下り坂(消費縮小傾向)を登ろうとしているトラック(日本経済)にアクセル(財政出動)もブレーキ・サイドブレーキ(減税)も効かず、荷台の重たい荷物(消費税増税)で逆送して、坂をズルズルと下っていく状況に似ています。

当研究所は、消費税3%が経済をデフレに転換させる分岐点、消費税5%が猛烈な超デフレで日本経済が縮小する限界点、閾値(いきち)であるという見方をしています。
研究所独自の計量シミュレーションでは、この限界ラインを超えて消費税を5%増税した場合、15兆円(1%・約3兆円)以下の財政支出(真水ベース)であれば、どんなに財政出動というアクセルを踏み込んでも、名目GDPを年率▲3%押し下げる結果になります。また、閾値を越えた消費税は、それを発表した時点から、将来のデフレ不況がほぼ確実に読めるので、それを見越した猛烈な買い控えやリストラ、賃金カットが進み、消費税増税の公表直後から経済が急速に悪化していきます。

つまり、消費税10%という暴挙は安倍首相による人為的な経済破局の引き金をひく「アベノショック」と形容できる破滅的なマイナスの心理的影響を国民に与えた日といえます。アベノショックとは、“アベノ”ミクスで経済が良くなると信じて経済活動を行っていた人が、突然、全く逆のこれから大不況がやってくるというリーマン“ショック”のような衝撃を受けた状態を意味する造語です。アベノショックで焦燥感にかられ、頭の中が真っ白の状態になる人が急増します。
周囲の経営者の何人かにヒアリングしました。零細企業の経営者が「アベノショックだ!買い控えに備え、無駄金を使わず、資金を蓄え、売上が落ち込んだらさらにリストラも覚悟する」と悲痛な声を上げていたので、この言葉を今後使っていきます。

10%消費税のアベノショックで日本経済は破局的なデフレに追い込まれる(2)

アベノショックで落ち込んだ国民に対して、安倍首相は、賃金上昇を企業にお願いして、内部留保を溜めている企業は、従業員の給与を上げるような政策を推進すると宣言しました。ただ、常識で考えて、これから数年間は消費不況で企業の売上は確実に落ち込みます。どんな経営者も給与引上げの決断をするためには、向こう数年間、会社の売上の上昇が読めないと踏み切れないため矛盾する話です。

ある経営者は、「これから景気を悪くするという公表をした後で、すかさず企業に景気を良くするために従業員の賃金を上げてくれだと、一体全体、日本はいつから共産主義の国家になったのだ! 安倍さんの頭や精神の状態は大丈夫か、財務省という魔物に憑依されておかしくなったのか」という増税を扇動した財務省へ怒りの声を上げていました。
  この経営者は、アベノミクスを賞賛して安倍首相を支持していただけにアベノショックは大きく、数日間は落ち込んでいました。また、福祉関係の経営者は、「リーマンショックのときは、会社を解雇され行くあてのない人たちが倍増して収容しきれず、業績は急上昇したが、当社のような貧困層相手のセーフティネット事業が繁盛するのを喜んで良いのか悲しんで良いのか複雑な思いだ!」と吐き捨てるように言っていました。

アベノショックの人たち(アベファン)は、丁度、惚れた相手にふられた失恋や信じた相手に裏切られた失望の喪失感に似たものがあるのでしょう。 それでも惚れて信じた首相を慕い続ける姿に“いじらしさ”の同情心すら感じます。安倍首相には、正常な頭脳をもった実態経済の厳しさを指南できる経済の専門家、御用聞き学者でなく、天を仰いで意見する経済コンサルタントのような人物が側近として仕えて欲しいと願っています。

既にネットではアベノショックを引き起こしたノーテンキな首相を揶揄して「裸の王様」と形容する意見が展開されています。財務省という「詐欺師の仕立屋」に操られているみじめな姿を嘆く意見も聞かれます。首相には、一刻も早く裸姿に気づいてもらい、再び威厳ある服装をまとって欲しいと思います。

当研究所では、今回のアベノショックの原因となった消費税10%がどれだけ日本経済に致命的なマイナスの影響を与えるか、最新の統計数字を集め、警鐘を鳴らし続けます。

10%消費税のアベノショックで日本経済は破局的なデフレに追い込まれる(3)

当研究所の分析では、デフレ経済が深刻になると税収が大幅に落ち込み、それを防ぐために財政赤字が幾何級数的に増えます。分岐点の消費税3%までは、所得税も法人税も大きく落ち込みませんが、分岐点を過ぎて閾値の消費税5%までは、何も手を打たなければ消費税1%あたり所得税3兆円(家計消費280兆円の1%相当)、2%増税で6兆円以上が落ち込みます。 閾値の5%を越えて消費税が8%さらに10%になると税収入が大きく落ち込み、所得税が貧困層の急増により、富裕層・中流層からの数兆円だけになり20兆円以上減損します。法人税は既に減損していますが、消費税10%で消費者の買い控えが深刻となって、ほとんどの企業は利益を上げることはできず、法人税も減っていきます。

つまり、消費税で10%でデフレはますます深刻となり、日本企業の海外生産は再び増加、国内企業は賃金上昇どころか、賃金カットやリストラを強化して失業者が急増することになります。

失業者や貧困層が急増してその対策費に資金が要るので、財政赤字は減るどころか、加速度的に増加します。政府が一所懸命せっせと増刷した1500兆円の国債のお金は、記録上は消えないので、一部は米国などの海外資産として流出、残りは国内の富裕層や中流層中心に大量の資金が特定階層の国民や勝ち組企業(リッチウイナー[Rich-winner]階層)に流れ込み続けます。

彼らは全人口の10~20%(推定)の少数派であり、消費や投資を増大する力は小さく、余剰となった莫大な資金は「過剰貯蓄」となって金融機関を介して金融市場で運用され、お金がお金を生む強欲な金融帝国はますます膨張し続けます。金融帝国は米国など金融機関やヘッジファンドが主に運営、管理しており、その経営者の多くがユダヤ系なので、彼らにとって市場で運用できる資金を供給してくれる日本のデフレ不況、その原因となっている消費税増税は大歓迎です。ちょうどラスベガスやマカオのカジノ経営者がギャンブル好きなリッチなお客様が増えるのを歓迎する状況と似ています。 政府の借金(実は借金で無く国民資本といわれる国民資産)と言われている赤字国債の1000兆円の資金は、富裕層や中流層の金持ちの「リッチウイナー階層」にどんどん吸収、移転され、米国同様に政治や政策を動かす大きな力を持つようになります。その証拠に富裕層や中流家庭、高齢者の金融資産は、どんどん増加して2000兆円を超す規模になります。数年前の金融資産は1400兆円で、1990年の金融資産は1000兆円程度だったので、2020年までの30年間で政府の赤字国債1000兆円を国民は政府から巻き上げ、政府へ税金の形で還流せず、過剰貯蓄で貯金し続けたことになります。

10%消費税のアベノショックで日本経済は破局的なデフレに追い込まれる(4)

問題は国民に移転される国債資金1000兆円のほとんどが国民の中でも勝ち組企業や富裕層、中流層といった少数派であるリッチウイナー階層に吸収されて偏在し続け、一方で金欠により貧困層が苦しみもがき、中流層が減少、中流から貧困層へ転落する人たちが増え、貧困層が拡大する点です。その意味で消費税の増税は、典型的な「国民貧困化政策」あるいは「貧富拡大政策」の一つといえます。

困ったことに日本の富裕層は、自分が金持ちという自覚はなく、欧米のように遊ばないで生涯働くことに生きがいを見つけ、高齢でも一所懸命働く人が多いので、自分が政府や世の中に資金還流せず、銀行に資金を預けたままにしていることに罪悪を感じません。彼らは働いて世の中に貢献しているという自負が強いので、なんで一所懸命に稼いだ金を政府や公益組織に税金以上に還元しないといけないのか疑問に感じ、意識せず偏狭な守銭奴、スクルージの発想になり、公益貢献や寄付などによる資金還流をしません。

税金は節税して無理な借金はせず、人は極力雇わず、雇っても非正規雇用で内部留保を厚くし企業や組織を守り続けます。 つまり、消費税増税で明るい上向きの経済が信じられないので、企業防衛のためにひたすら守りの経営に徹するのです。こうして勝ち組企業の内部留保は増える一方ですが、バブル崩壊の時代に銀行から貸し剥しや融資抑制の嫌がらせを受けた苦い経験が足かせとなって、困った時にお金を貸さない銀行からお金を借りるより、人件費を抑制して無借金経営を志向するようになります。

貧困層も手厚い社会保障を受け続けることで、ある程度の生活を維持できる「セーフティネット[Safety-net]階層」と逆に失業手当がなくなり、生活保護の受給が難しく、健康保険の支払いも滞って、社会的なセーフティネット支援から隔絶されたギリギリの厳しい生活を選択せざるを得ない「ノンサポート[Non-support]階層」に分かれます。
例えば、貧困層でも生活保護に認定されれば、最低の生活費をもらい無償で手厚い医療を受け続けることができます。日本人にとって当然の話ですが、海外の多くの国では、とても恵まれたセーフティネットと感じるところが多いのです。一方、派遣社員で定職に就けず、派遣の仕事も無くなり、アルバイトなどで食いつないでいる方で、国民健康保険の支払いをせず、国民年金すら加入しない極貧層の方々も増えています。特に元中流階層で生活を送りながら、独り身で病気になり失業したことでこうした極貧層に一気に転落する人も増えており、加入義務のある国民健康保険に加入しないため、病気の治療を受けられず、厳しい寝たきりの生活から、自ら孤独死という自然自殺(自分でこのままだと死ぬと分かっていても、放置して誰にも看取られず死を選択する自殺)を選ぶ不幸な人もいるのです。

中流から貧困層に転落しても、セーフティネット階層で救済できる人たちは何とか食べていけます。 ところが転落後にノンサポート階層に一旦落ち込むとデフレ不況が深刻化していくので、企業もますます余裕がなくなり、再起のための就職はますます難しくなって、どんどん追い込まれ、最後に極貧の「サバイバル[Survival]階層」(毎日どうすれば生き残れるか、食べれるかで腐心するギリギリの生活水準の極貧階層)にまで転落、精神的に大きく落ち込みます。       

消費税増税の悪影響は軽減税率の対象品目を増やすことで回避できる(5)

日本の社会経済の風土には、消費税という売上に税を徴収する付加価値税の制度は経済成長にマイナスに働くので駄目というのが結論です。

つまり、当研究所では、5%の消費税は深刻なデフレ経済不況に突入する限界点、閾値(特異点)という見方をしています。その限界点を大きく超えて、10%した場合、どんなに優れた財政的な支出を増やす政策、対策を講じても、経済規模のGDPが成長するどころか、マイナスに減衰、縮小する確率が高くなると考えています。

こうしたマイナスの影響をくつがえす画期的な方法が消費税の軽減税率そのものを大きく下げることとその対象範囲を拡大するスキームです。食費、外食、自動車、家、衣服など生活出需品あるいは生活必需サービスの全てを軽減税率の対象にして、軽減税率そのものを3%にまで引き下げれば、消費税の悪影響を大きく軽減できます。すなわち、1989年に消費税3%が導入される以前に存在した物品税のような状態に戻すことを意味します。その面で今回の消費税の増税で軽減税率の対象品目を導入できたことは画期的なことで、10%の骨抜きにもできます。

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