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提言5=国家証券機構・社会資本市場・金融保証機構の連携

消費税10%不況はこのまま政府が無策で財政出動が終われば、ヒタヒタとボディブローのような痛みをともないながら日本経済を襲ってきます。その深刻さに驚いて、首相や官房長官が再び財務省に騙されたと嘆いて経済対策を施しても、その時には手の打ちようもないほど深刻なデフレ不況に突入しているので、日本経済はかなり悪い状態になっていきます。

大手の食品会社が倒産、金融機関も中小企業の倒産に耐えかね、数行が倒産の憂き目にあいます。すると預金の大規模なシフトが起こって、人類史上、前代未聞の預金倒産が起こります。 預金保険機構では対処できなくなり、金融機能が一時的に麻痺します。既に中国経済や韓国経済は実質的に破綻しているので、それが徐々に顕在化するとその深刻さをマスコミが喧伝して、日本の消費者がますます萎縮し、ものを買わなくなり貯蓄にはしります。 欧州も財政均衡論者のドイツが主導権を握ってデフレ不況が深刻化します

以上がぜひ外れて欲しい消費税10%不況の予測シナリオですが、これを防ぐためには、回避策の一丁目一番地として国民の財政不安を解消する1000兆円の財政赤字を解決するための国家証券機構の創設を提案しました。さらに国民に偏在する金融資産を有効に活用するための社会資本市場の創設とその市場で公共セクターの公益法人を公開する必要性を述べました。 また、金融保証機構で社会の底辺でうごめくデッドゾーンにいる中小、零細企業や個人、個人事業者に救済資金を供給する金融制度の重要性について説明しました。

以上の財政健全化のための一連の対策を整理し、その関係を図式化すると図表のような政策関係図になります。この3つの新しい金融組織がうまく機能すれば、消費税10%のデフレで経済が一時的に後退しても、消費は減退せず、投資も抑制されず、経済が順調に拡大することになります。図表に示されるように、国家証券機構が50年を超える超長期の国債や地方債、あるいは永久国債、永久地方債などの国や自治体が発行する債券を優先的に買い取って、その100%支払いを保証して金融機関へ販売します。国家証券機構が管轄する社会資本証券取引所は、国や自治体、公共セクターの様々な公益法人や組織が社会資本証券を発行、それを金融機関や指定の証券会社経由で特定の個人や法人が節税目的で購入します。

金融保証機構には、毎年、膨大な信用保証料が舞い込みますが、代位弁済の費用もかさむので赤字の可能性もでてきます。その時は社会資本証券を発行しそれを国家証券機構が買い取り、日本銀行や郵貯銀行などの特定金融機関が優先購入します。

国家証券機構、社会資本市場(社会資本証券取引所)、金融保証機構の3機関が本格的に動き始めると消費税10%という閾値を越えた消費抑制の状態から、国民の多くが消費税を気にせず力強く消費や投資をおこなう世の中に変わっていきます。 世の中の金回りが急に良くなるので、高級品も売れ始め、景気が徐々に上向いていきます。

まず元気の無い中小、零細企業の資金繰りが良くなって、積極的な投資や雇用が生まれます。既に信用金庫は預貸率(預金に対する企業への貸出比率)が平均で50%を切って、預金倒産の危険水域に入っていますが、セーフティネット信用保証協会のお陰で塩漬けになっているリスケ中の中小、零細企業に100%保証の安全な融資という名の救済資金がガンガン注入されるようになります。するとデッドゾーンで苦しんでいた数十万社を超える中小、零細企業の資金繰りが急に良くなって、仕入れ業者や関連の取引先に対して未払いになっていた買掛の支払いも進み、末端の資金循環がとても良くなります。

万一、財務内容が悪くなり、雨が降ったような状態になっても、傘も避難所も貸して、暖かいお茶も出すようなサービス精神で、積極的に融資に応じてくれる信用金庫や地方銀行、都市銀行が増えると健全な財務内容の中小、零細企業も少し背伸びして金融機関から借り入れをして前向きな投資をする気になります。

特に製造業の分野では、中国や東南アジアなど労賃の安い国にシフトしてきた製造工場の生産システムに打ち勝つため、全自動ロボットやオーダ-メイドの自動化製造装置、三次元プリンターなど新しい製造装置への投資が必要になってきます。この分野に積極的な投資が行われ、経営体質が徐々に強くなっていきます。

〔図表〕 消費税8%大不況回避のための財政健全化の政策関係図

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  国や自治体も従来の緊縮財政の暗い世界がまるで嘘のように様々なプロジェクトにガンガン予算がつき、公共事業や新しいプロジェクトに資金が投入され、地域経済が急に活気づいてきます。地域経済の中核となるコンパクトシティー構想による地域開発が至るところで進められ、建設、土木、住宅の業界が急に成長産業に変わり、減る一方であった雇用が再び増加に転じていきます。 地域経済が活性化し始めると地域の雇用者の所得を増やすため、自治体が率先垂範で財政の収支バランスに注意しながら職員の給与を引き上げる努力をします。

自治体自ら収入を増やす新たな事業を模索するようになり、地域の防災対策も兼ねた様々な自然エネルギーを活用した発電事業に投資して、エネルギー、電力の地産池消を推進するようになります。農業も自治体主導で各地域の特産品に応じた大規模集約化、自動機械化、農作物工場生産化の技術開発が進み、海外の輸入農作物より安く作れるところもでてきます。

国家証券機構により、国や自治体が負債財政から資本財政へ発想を180度転換できるようになります。資本財政で資金的な余力が出てくるので、先に税金を徴収し財政均衡をはかるという間違った考え方を捨て、公共投資や公益事業を優先し経済を良くしてから、税収を増やして財政を健全化するという正しい考え方ができるようになります。 経済が良くなってから増える税収とは直接税の所得税や法人税であり、間接税の消費税は消費や投資を抑制し経済を悪くするので間違った税制度であることに気づくようになります。

そもそも間接税とは、たばこ税や酒税、ガソリン税などをみても分かるように、物品やサービスの購入時に痛みをともなうように設計された税金であり、そうした税金を払って、体を悪くし、環境を汚しても、消費して利用したい人から強引にむしり取る性格の税金です。環境、健康、風紀などを悪くするペナルティとして間接税を課し、それでも利用したい人から徴収するのが基本です。人々の生活を良くする経済活動全般に課する間接税である付加価値税の消費税は、国が消費や投資を活発にして経済を良くすることにペナルティを課すようなもので、百害あって一利なしの意味の無い税金であることがわかるようになります。
国や自治体は、税金を先に多く徴収して財政均衡をはかり、財政支出を削減するという経済を悪化させる本末転倒の考え方を早く捨て、税金の徴収は景気を良くすれば後でいくらでも増えるから、まずは公共事業や新たな公益事業への投資を増やし、国富、社会資本の充実を目指す中で、経済が活性化し所得税や法人税が増える仕組みへ変えることに発想の大転換をはからないといけないのです。

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